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「裸者と裸者」同様、下巻は椿子を中心として描かれている。
59歳という歳でなくなった打海氏の最後の作品。
残念ながら未完にしてこの夜を去ってしまった。
作品的には重く暗いイメージが付きまとうものの、
そこには打海ワールドならぬちょっとしたスパイスが入っている。
重いジャンルながらもちょっとしたところに
垣間見ることのできるユーモアが
読んでいる読者の心を和ませてくれる。
本当に惜しい人が逝ってしまったなと感じた作品だった。
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小説を読むときはだいたい俯瞰しているように世界に入り込むのだけど、
このシリーズはその世界に立っているような気分にたびたび陥る。
そしてよく置いてきぼりを食らう。
一言で言ってしまえば、リアルだ。
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もういい、スタバのことはもういい!!ディティールに関してこの小説に求める事自体が間違っていたのだ。
ただ、押井守とか若手のアニメの演出家が食指を伸ばしそうだか嫌だな、なんだか嫌だなそういうの。
だって戦争や内乱においてイデオロギーとか思想は理想は後付じゃないの?そこを前面に押し出されても、ねぇ。
後、下巻で若干ぼろが出たので触れておくと、日本という国はジェンダーが極めて強い国なのに、その特性を小説で上手く生かせてないので、下巻の主人公たちが類型的に成ってしまってる。それは勿体無い気がする。あと後半に行くに従って、殆ど「年表」や「ニュース記事」状態になってる事態の推移は問題である。まあでもこの小説はそういう所をつついても仕方ない気がするけど。
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パンプキン!
結局、このシリーズは、性描写は過激で、暴力の場面はかなり残酷だったけども、全くいやらしさも陰湿さもなかった。
この後、海人は椿子はどうなったのだろうと想像を巡らすと、本当にこの物語が未完で閉じてしまったのが残念でならない。(6/26)
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孤児たちの戦争シリーズ第2弾の下巻。パンプキンガールズを中心に、より差別と反差別に満ちた愚者が数多く登場します。市街戦で中心人物がまた何人も死んでいきますが、不思議と悲惨な空気が無いのは作者の狙いなのでしょう
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「出たとこ勝負だ!」
と叫びながらキュートな女の子たちがAK片手に武装蜂起するなんて、最高にクレイジー。パンプキン!
文庫下巻の解説にて「打海さんにはまだまだ書かなければいけない物語があるんだよ、と」記されています。私も同感です。だからこそ、この作品で感じたものを汲み取れたらなと思います。
時代がきっとこの作品を遠からず必要とする時がくるのではないかと思わずに入られない。
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再び椿子に視点を変えた下巻。人種差別主義の軍隊の勢力が台頭する中で、パンプキン・ガールズは恐れることなく立ち向かっていく。
と言っても、家族を養うため・自分の食い扶持を稼ぐために戦う孤児部隊とは違って、椿子たちの戦争への参加のスタンスはあくまで自主的。暴力をふるえるという理由で終わりの見えない戦争に参加し続ける椿子。いつか海人が言っていた「戦闘もビジネスもセックスもあんなにでたらめなのに、あんなにみんなに好かれている女の子を、俺は知りません」という言葉を思い出した。
内戦の様子や細部が分かりにくかったりという悪いところもあるけれど、この作品を主に海人や椿子たちの成長を描いたものとして楽しんでいる自分には、海人や葉郎の成長がはっきりと分かる描写が見ていて嬉しく、あまり気にならない。本当に面白い小説だと思う。
どこまでも「出たとこ勝負だ!」と声を張り上げて戦うパンプキン・ガールズに最後に衝撃が…。そして、いよいよ戦争は終幕へ。
もう最終巻が出ているみたいなので楽しみ。未完であろうと、また海人や椿子に会えるのかと思うと今からわくわくしている自分がいる。
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今週は結構飲み会や出張が多くて、これまた平和な一週間。
電車に乗らねばならないことが多く、電車の中や待ち時間で少しずつ本の中の内乱の様を読む。
ないのは秩序だけという革命の揺籃期に、女の指令官に率いられた国軍の残党、戦争狂の外人部隊、性的マイノリティの過激派、正真正銘のマフィア、どこへ向かうかわからない暴力的な女の子たち、などなど様々なグループが跳梁跋扈する混沌の世界。
物語の中心は、前編の終章で桜子が吹っ飛ばされて後に残った椿子とパンプキンガールズ。
「お前が罪を犯すなら、私も罪を犯そう」をテーゼに、分かり易く言うと“たにんのために命をはるってことさ”と駆けずり回り遊び狂う、この女の子の生理がエロくてキュート。
全編を通じて突きつけられる自分が思うように生きることの尊さ(“自分で女の子と思えば女の子”)と人種性別年令主義思想の差別のない世界への希求。
作家はこの後、逝ってしまい、どのような決着をつけたかったのかは知る由もないが、凄惨な場面を描きながら最後まで血生臭くならず、折々に描かれる葉郎の成長やラストに見る生への賛歌を見るにつけ、捨てたものでもないという戦後を想像するのも難くない。
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セックスマイノリティと戦争の話。
「暗い・気持ち悪い・残酷」そう感じるのに
(性差別や偏見ではなく内容や全体の空気)、
不思議と爽快感が得られる。
読む人を選ぶかもしれないがけど、俺は好き。
この続編を永遠に読めない事は、心残り。
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裸者と裸者同様、下巻は双子の姉妹が主人公。
あらゆる差別に立ち向かう椿子の、でたらめのようで一貫した姿勢がカッコイイ。
彼女のように、自分の欲望の有りのままを素直に受け入れられたら、きっと世界は違って見えるだろうな、
パンプキン・ガールズのテーゼ、なんて力強いんだろう。
お前が罪を犯すなら、私も罪を犯そう
いろんな軍が分裂したり統合したりするから、後半はほんと混乱する。
差別が生む狂気とか矛盾とか歪みが、どんな風に人を変えて行くのか、飲み込んで行くのか、という事を描くための記号だと思えばあんまり気にならないかな。
覇者と覇者は未完だけど…
読みたいな。
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図書館で「裸者と裸者」の下巻がまだ
借りられなかったのでこっち先に読んだ。
上巻とはうって変わって
椿子が主役のお話に。
椿子は海人と同じように生き残るために戦っているが
彼女の場合は「自分らしくあること」=「生きることに」のように思えた。
だからこそ自由奔放に生きているのではあるまいか?
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「愚者と愚者」下巻。ジェンダー・ファッカー・シスターズ。
下巻は椿子率いる「パンプキンガールズ」と河野率いる「黒い旅団」との戦いが描かれる。女の子の自由を掲げるパンプキンと女性の戦闘参加を許さない黒い旅団の見解の相違から、複数の武力勢力に跨り戦いが繰り広げられる。。
今回も深いお話。万人に受け入れられず、読者を選ぶ作品。数多くの武力勢力が登場し、名前と関係がわかりずらい。それでも椿子と周りの仲間の会話や気遣いにホッとし、続きが気になり一気読みしてしまう。そんな不思議な魅力を持った作品。読後「愚者と愚者」の表題が胸に響きます。今後の展開を期待し、次は未完の完結作「覇者と覇者」を読みます。
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容赦ないな、次はだれが死んじゃうんだと思ってどきどきしながら読んでたけど、やっぱめちゃめちゃおもしろくて読み始めたら他のことできなくなる
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「吸引と販売を禁じても、ドラッグ汚染の拡大を防ぐ有効な手段にはならない。なぜか。戦争は恐怖をもたらす。前線で砲弾にさらされ、街角で狙い撃ちされる兵士たちは、ドラッグの多幸感のなかで恐怖から逃れようとする。ドラッグは確実に捌けるってことさ。仕入れに困ることなんてこともない。国内生産は過剰気味だ。ようするに、ドラッグの収益で戦争を継続する内乱の構造的な矛盾が、我々の勝利を約束してる。」
数々の矛盾を抱えながら、内乱は混迷していく。面白いな〜。でも、このシリーズ、作者の急逝で未完とのこと。ショック(~_~;)
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裸者と裸者と同様に、下巻は双子ちゃんのほうが主役。
戦況が目まぐるしく変わり、途中から何軍が何なんだか分からなくなってきます。
双子ちゃんが女の子ギャングのボスとしての活躍します。
様々な信念のもと差別をする人間と、すべての差別を否定する人間が、生きることに精一杯の子供たちを巻き込んで、戦争はまだまだ続きます。
が、作者が亡くなってしまったようなのでこの物語は未完となるようです。
残念ですね。