紙の本
優秀な遺伝子と言われても、選ばれたくない
2002/02/20 01:43
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投稿者:まめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「死んだ恋人の子供を産める」と持ちかけられて、何の疑問も差し挟まずにほいほいブラジルくんだりまで行くとは、危なっかしい主人公である。最初はそんな思いばかりが強く、精神的に参っている人間を騙して洗脳する手口も新興宗教っぽく感じて、たるい展開だと思っていたが、妊婦が殺害されたあたりからテンポが良くなって来る。
遺伝子診断チップを利用してある目的のために資金をかき集める。その謎が明らかになって行く過程はうならされた。舞子が優秀な遺伝子を持っているから“選ばれた”らしいが、その情報はどこから漏れているのかと考えると、日常の中にある怖さも感じたりして。
医学的知識ゼロの私だが、ツムラ医師と友人の弁護士・サカガミの間での遺伝子診断商用化の是非の話には、真面目に考えさせられた。
補足になるが、私が上に書いた“新興宗教っぽい手口”は、素人的には怪し気に感じるものの、文庫本解説によると「精神疾患の治療法、あるいはその意図的な悪用のお手本のような運びである」との元医学部教授のお墨付。
私のHPです。BOOK Drunker
紙の本
それなりにおもしろいけど量が多すぎない?
2001/11/19 14:14
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投稿者:T40 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「愛と生命の物語」かなぁ? ブラジルの観光と歴史と国民性の物語じゃないの?とっても枚数が多くて、読み応えはあるけど、その半分は実際のストーリーとあまり関係無いと思った。
海がめの産卵と生命の神秘をリンクさせているのは分かるけど、日系人医師とその死んだ恋人との過去なんて、ディテールとしてはどーでもいいことだと思うけど。
それに、死んだ人との交渉がなぜ可能だったのか、その仕組みの説明が不足していて、ただ「ホログラム」なんて説明では納得できないよね。だって、実際に死んだ人とSEXまでしちゃってるんだから。
れにしても帚木さんって、よっぽど「ナチスドイツ」が好きなのかな?『ヒトラーの防具』(『総統の防具』だったかな?)はおもしろかったけど。
紙の本
生命倫理を問う医学小説、ではない、少なくとも。
2002/11/16 22:52
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投稿者:のらうさぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
せっかく死んだ恋人と交歓するシーンを念入りに描いているわりには、幻想が破れたあとの描写がおざなり。受精プロセスもかなり即物的で、生命誕生の重さや、神秘性の介在する余地はない。さして専門的な知識が用いられているわけでもなく、期待はずれだった。
それにしても、いまさら悪=ナチスドイツ、なんて短絡的な構図はないだろう。
五十年間潜伏してきた理由がわからず、組織の目的も説得力を持たない。そもそもネオナチがアジア人の遺伝子を欲しがるかなあ?
オープンエンディングというわけではないのに、充分な謎解きもその後のフォローもされていない。厚みのわりにフラストレーションがたまった。
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著者は、現役精神科医。医学分野のみならず、ドイツ、第2次世界大戦にも造詣が深いようだ。
ヒトラーの陰謀(?)の一つに、完璧なる民族の存続と繁栄のための『生命の泉』とよばれる計画が、からみ、それに今ほぼ解明されつつあるゲノムを駆使して、遺伝子診断から、遺伝子差別への時代を、ぴょぴょーん、と飛び越えて納得させられてしまった。
私のお気に入りの小説家の一人なのだが、見事なお手並みである。
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昔、NHK-FMでやっていたアイラ・レヴィン原作の『ブラジルから来た少年』を思い出した。ナチスの遺伝子への関心は、そのまま現代の医学への夢でもあるけれど、ここまでプロットが重なると、少々幻滅。『ヒトラーの防具』の香田少佐が登場してしまうのも、そういう感覚の一部になっていると思う。
ただ、そうは言っても、やっぱりおもしろかった。この人の文章には想像をかき立てるものがちゃんとあって、それを邪魔しないだけの静謐をもたらす雰囲気もある。
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医療サスペンスかと思いきや、意外な結末。
著者は、九州大医学部卒の精神科医が書いたと聞けば、なんだか納得してしまう展開。
まぁ、全く予想しない結末だったので、楽しめたけど、最初の宗教チックなにおいが読み進めにくかったから、★3つ。
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こんなことが実際あったら怖いよね、と云う感じでしょうか。現代というよりは近未来っぽいかなー…という印象を受けます。屹度、事実に気付かなければ主人公はそれはそれで幸せだったのではなかろーか。ストーリーは別として、こんな凄い医療施設があったらいいですよねぇ。
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前半から中盤にかけて無意味に長くしている感が否めないけれど、
飽きながらも読み続けると
後半部分は意外性があって面白い!
好き嫌いははっきりすると思う。
ある意味、問題作。
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こういう事があったのか〜と読んでいましたが
彼氏が最初から死んでいたのには驚きました。
きっと作中で亡くなるんだろうという予想が大はずれ(笑)
何の確信もないのにそう信じていただけ、なのですが。
死んだ人間の子供を授かるのは、有り得ない事だと分かっているのに
それにも気が付かない悲しみとはどれくらいのものなのでしょう?
2冊目より読みやすく、終わり方も納得できるものでした。
やっぱりあれはあっさり終わりすぎですw
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日本、韓国、フランスの女性。
それぞれ事故で恋人を失う。
その恋人の精子が冷凍保存されていた。
恋人の子どもが欲しい。
三人はブラジルのセンタに寮を提供する病院に受精のために行く。
三人と恋人との逢瀬が実によく描かれている。
そしてブラジルの風景、情景などが細かく描写されている。
著者の眼差しを感じる。
こういう感じはなかなか味わえない。
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恋人を交通事故で亡くした女性が、死んだ恋人の子供を身ごもる為に、ブラジルの高級病院へ旅立つことに。何やら胡散臭さがプンプンするところを、同乗の飛行機で友人になった同じような境遇の韓国人女性、日本語で意志疎通できる日系二世の産婦人科医達が手を組んで陰謀が見えてくる・・・、
全700ページという大作で、ブラジルというお国柄、風土、食べ物、、、といったあたり、自分も含めて一般人にはほとんど知られていないであろう情報も満載。このあたりをじっくり楽しむのか、ストーリーには関係無しとして読み飛ばしてしまうかで、評点の分かれるところ。
陰謀の内容については、巻半ばあたりから、30年ほど前に読んだ、アイラ・レヴィンの「ブラジルから来た少年」を思い起こして、最後には、やはりなぁ・・・の感でした。
ちなみに、この初版本(定価1200円、カバー、帯あり、ほとんどキズなし)はまだ所有していますが、現在の中古品価格は ¥2,000 コレクター商品価格 ¥7,980 だそうです(誰か買ってくれぇ!)。
(2010/11/9)
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はじめに気付くと退屈。
気付かなくても前半は退屈。が、そのせいでオチに気付かない。
主人公に共感はできないかもしれないけど、そういうものだろうなとは思う。
最後まで読めばおもしろい。
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以前読んだ「受命」につながる、その1つ前のお話ということで手に取ってみましたが、ダメでした。途中で読むのをやめようと思うほどに、読むのが苦痛に感じられるお話でした。この著書の小説はこれで3冊目ですが、多分もう手に取ることはないでしょう。
著者は医師なので、よりリアリティがあると思っていたのですが、全くない。この単行本の最後に解説があるのだけど、それを読むと、著者は精神科の医師らしい。それがどうであれ、私は相性が良くないのだと思う。
この次のお話「受命」はそれほどひどくなかった。
感想はこちら↓
http://booklog.jp/users/ray-bookshelf/archives/4043589026
以下ネタバレを含む感想。
小説の舞台はおそらく1995年ごろ。(というのは、第2次世界大戦の終わる頃に15歳~16歳だったヒトラー・ユーゲントに属していた人たちが70歳ごろとなり、裏で糸を引く黒幕の設定なので)
300年前の科学が発展していない江戸時代の頃ならまだしも、1995年なんて、受精には精子と卵子が必要なのはごく一般的な知識であり、亡くなった恋人の子を宿すことが出来るなどど吹き込まれて、遠く地球の反対側(しかも主人公は英語はおろかポルトガル語も全く知識がない)にノコノコと行くなんて考えられない。だって恋人が死んだあと、どうやって精子を用意するっていうんだ?
物語の中に、登場人物の無駄な回想と、幻想(のちにマインドコントロールと分かるけど)が非常に多いというか、多すぎる。単行本のうち最初の500ページは不要な部分と言っても過言ではないと思う。
主人公が英語もポルトガル語もわからないクセに、英語で難しい会話が成り立っている設定がおかしい。
と思うと、物語の後半でやっぱり英語がよくわからない設定が出てきたりとか、本当にメチャクチャだと思う。
一番納得できないのは、ヒトラー信奉者というか、ナチスの残党が、ヒトラーの精子をつかって、彼の子孫を世に残そうという話のくせに、つまり、ヒトラーは金髪碧眼の純粋なドイツ人の遺伝子を残そうとした思想の持ち主なのに、ヨーロッパ人ならいざ知らず、なぜアジア人の卵子と受精させて妊娠を試みるのか、全く理解できない。設定が崩壊していると思う。
これ、図書館で借りたからいいけど、お金だして自分で買っていたら、腹が立つくらい、メチャクチャな話だった。
なんだかなぁ。
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恋人を事故で亡くしてから、心を失った日々を送っていた舞子。
かつて二人で訪れたことのある寺の僧侶から「恋人は生きている」と告げられ、ブラジルへと旅立つ。
途中韓国から同行することになった同じ境遇の寛順と二人、
ブラジルの港町サルヴァドールの高級リゾートホテルのような病院へ滞在する。
目的は恋人の子どもを授かること。。。
恋人を失ってから初めて心開き輝いた夢のような毎日を送る二人。
しかしある時殺人事件を目撃する・・・。
病院の隠された目的とは何か。。。。
女性として気持ちに共感できないということもあり、少し非現実的な内容でした。
それまでの人生を断ち切ってブラジルへ向かうことも容易ではなかったはず。
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ブラジルを舞台にした小説ということで読んでみました。バイーア州サルバドールが舞台になっています。サルバドールの哀しみが所々に散りばめられていて、ブラジルの知識が増えました。