紙の本
電子書籍を取り巻く国内外の事情を把握できる
2012/03/07 22:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
電子書籍に関する本の中でも、データをふんだんに示している点が、類書との違いだ。さすがに、野村総合研究所がまとめているだけのことはある。2011年3月時点ではあるが、その時点での電子書籍を取り巻く事情について、米国と日本を中心に、欧州や中国の実際が把握できる。
こうしてみると、電子書籍はiPadの登場とともに一気に活気づいたのが分かる。もちろん、それ以前からアマゾンのKindleやソニーのReaderがあったし、この2つとも米国市場では強いのだが、iPadが新しい次元を導いたのはたしかだ。
日本の市場規模が意外に大きい印象を受けるが、本書が述べるとおり、携帯電話向けコミックの割合が多い。それでも、電子書籍はブレイク間近という印象を与える。講談社が先月、6月以降の新刊はすべて電子書籍でも出していくという方針を表明したが、これに続く動きはあるだろう。
DRMによって著作権の保護がしっかりできれば、違法コピー対策は一応できる。もっともこれを破ろうとする人たちは出るだろうが、違法行為によって摘発される危険まで犯しておこなうのは割に合わないだろう。
ネットの世界では、米国で成功しているモデルを先取りすれば、日本でも成功するという法則が当てはまらなくなりつつある。つまり、タイムラグが小さくなったと言われる。しかし、電子書籍に関しては、米国が先行しているのが事実だ。
ただ、学校教科書をとりまく事情は日米で異なる。日本では、教科書は安価に供給される体制が整っているが、米国では一般的に重くて値段がはる。米国では、アップルがiBook Authorによって電子化を推進しようとしている。これは安価に教科書を供給することを可能にするので、きっと成功するだろう。しかし、日本では単純に米国のあとを追いかることにはならないに違いない。
おそらく、日本としては、本書にもふれられている韓国のデジタル教科書導入の動きを注視した方がよさそうだ。本書では、韓国での実証実験によって浮かび上がった課題を取り上げている。
バッテリーを含む端末の重さが2kgになり小学生には重いこと、バッテリーの持続時間が3-4時間程度にすぎないこと、端末価格が10-15万円にもなることである。
しかし、これらの課題はiPadをもってすれば、すべて即座に解決可能だ。残念ながら韓国での実証実験は、OSがWindowsとLinuxのものだ。iPad登場以降の韓国の事情を引き続き知りたいと思った。
最後の課題は、紙の教科書を単に電子化しただけで、まだデジタルの特性を生かしていないことだろう。これは、さすがに時間がかかりそうだ。解決策が見つかったとしても、デジタル教科書の制作には、紙よりもずっと手間がかかる事実が明らかになっていくのではないだろうか。
このコストをどこが労力として負担し、金銭的にも負担するかは、問題になるだろう。新たな産業がおこるか、それとも既存の産業が乗り出してくるか、はたして。
日本でも、教科書はもちろん、雑誌に関しても、制作コストの問題が浮かび上がってくるに違いない。動画を供給したり、グラフィックをふんだんに用意できるのでなければ、デジタルは生きてこない。逆に、うまくすれば、これが出版界や電子書店を活気づかせるきっかけになる可能性は十分にある。
関連業界への影響はp.157の第9章に述べられている。「電子書籍化によって書店が受けるダメージは比較的小さいと考えられる。同時に電子書籍化は書店にチャンスをもたらす」(p.175)
課題があるところ、解決策があり、そこにはチャンスが眠っているはずだ。
投稿元:
レビューを見る
「2015年の電子書籍 現状と未来を読む」野村総合研究所
昨年騒がれた「電子書籍」に関する情報を通り一辺倒のマーケティング的な整理学でまとめられた本。
という意味では、手っ取り早く電書どぉ~よ?という人には、去年騒いだ魅力的な新市場にまつわる情報はこれを読めばある程度基本的な部分は知ることが出来る。
が、もはや関係者は誰もここで描かれているような新市場が出来上がるとは思っていないだろうし、そうなるにはまだまだ時間がかかるはず。
なぜ、米国のように早く立ち上がらないのか、どこに問題があるのか?新市場を立ち上げるにはそうすべきなのか?といった視点は一切ないので、そういうことを期待する人には全く意味のない本です。
NRIブランドで手に取ってしまうと期待外れで顎が外れてしまいます。
投稿元:
レビューを見る
2009年 日本の電子書籍市場規模は世界一 ただし中身はコミック
Z会 一部の問題集をiOSに対応
ニッセンスマートカタログ iOS対応
投稿元:
レビューを見る
今、自分の中で最も興味のあるジャンルといっても過言ではない「電子書籍」。
なかなか、電子書籍化されない、日本の書籍に多少の苛立ちと、悲しみを覚える。
確かにフォーマットが確定していないなか、大きなリスクが伴うとは思うが、ソフトの充実が、フォーマットを確定させる要因にもなるわけで…。
このままだと、ますます自炊したデータの無料交換などで、市場がせまくなる。
現状、自炊は、機材の準備が必要なのと、手間がかかる。
出版社が過去の書籍を電子化してくれて、例えば100円200円で、販売してくれるなら、わざわざ自炊する人間は減るだろう。
そうすれば、ファイル交換のリスクも減る。
素早い対応が、電子書籍の未来を拓く。
今回の電子書籍の流れは過去のものとは大きく違う。
投稿元:
レビューを見る
今現在の電子書籍市場の分析を
野村総研が豊富なデータを元に行った書籍。
「2015年の電子書籍」と銘打ってはいるものの、
あくまで現状分析と海外との比較で
2015年はこうなる的な予想・分析はほぼ皆無。
ただ、電子書籍について書かれた本にありがちな、
感情論による楽観論・悲観論、理想論ではなく、
日本と海外の比較、他のコンテンツ産業との比較を
比較的客観的な視点で行っているので
現状把握という目的を絞って読むのなら最適かも。
投稿元:
レビューを見る
2011 9/11読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
Amazonでリコメンドされた本。
電子書籍にかかる動向のまとめと将来予測。
消費者向けの電子書籍の話だけでなく教育での活用例や法人の利用についても触れていて、後者では図書館も扱っている。
ただ、まあ、なんというか・・・まさに「野村総研に電子書籍の動向のまとめと今後の予測レポートを依頼したら出てきそうなもの」がそのまま本になっている感じ。まとめとして有用ではあるが本として有益かは微妙な感じ。
とはいえ数字が必要だったり将来予測を引用する必要がある場合(それが正しいか否かとかは問わない)には使い勝手が良さそうでもあり、そこらへんもまたコンサルティング会社の作るレポートとしてはいいんじゃないかと思ったり。
投稿元:
レビューを見る
電子書籍の今と今後の予想がグラフなどを使い分かりやすく書かれていた。
電子書籍が他のメディアや法人などに及ぼす影響や、韓国の教育現場での電子書籍の進歩が特に興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
電子書籍専門での未来予想図。ドストライクのネタなので即購入。さまざまなデータが網羅されていました。
まだまだツールとして未完成な電子書籍関連ですが、これから劇的なイノベーションが起こりそうです。
投稿元:
レビューを見る
OPACへ⇒ http://www.lib.nerima.tokyo.jp/clis/detail?NUM=002782989&CTG=1&TM=132514536
投稿元:
レビューを見る
もう読んだのが遥か昔過ぎてあまり覚えていないけど、ま、電子書籍の時代がくるらしい。
自分も特にiPadの登場を見て肌で感じました。自分の家の本棚がなくなったらスッキリするだろうなーなんて思いながらそれはそれでちょっと寂しかったり。でもCDラックがなくなったように、縮小は間違いなくすると思います。
この本では様々な業界と電子書籍の関連について述べてあるが、やはり自分が興味を持ったのは教育分野で、教科書の電子化の需要と問題点なんかは面白かった。子どもに端末を持たせることのリスクやコストを考えると、日本ではまだまだ先は長そうである一方で、韓国なんかではすでに大規模な実証実験が行われていたりする。何事もとにかく動いてやってみるのが大事だと思うので積極的に取り組んでもらいたいなと。
日本で電子書籍といえばもしドラが大ヒットしてますが、それ以外に関してはまだまだといったところで、もっと電子化されていかないとスタンダードにはならないなと思う。あとはiTunesのようなプラットフォームがほしいとこですがそれもiTunesなのかAmazonなのか、また端末に関しても、iPadがKindleかソニーのリーダーかはたまた最近流行のアンドロイド端末か。
いろんなとこでバトルが繰り広げられてて当分は面白い市場となりそうです。
投稿元:
レビューを見る
電子書籍の現状を調べた本。 電子書籍の未来について述べた本ではない。著者もそれをよく分かっているようで、タイトルには「2015年の」とある。4年程度先=現在という訳だ。俺もそれは分かってて購入した。
俺は以前、紙が大量に印刷されるのがうれしい人といっしょに仕事したことがあって、紙の将来について事業観点で考えたことがあるため、紙とそれにまつわる市場に対して電子書籍が与える影響は、俺の予測を超えたものかどうかが知りたくて、本書を購入した。結論としては、本書は電子書籍の紙媒体への影響を述べた点はなかったので、それは分からなかった。しかし、電子書籍に対する俺の現状認識は大体合っていそうだということは分かった。
本書では、電子書籍の現状を、アメリカ、ヨーロッパ、日本、その他アジアについて簡単に述べている。特に日本市場について調べており、最も普及していると思われるアメリカとの比較を通して、日本市場の現状を書いている。本書の内容を一言で言えば、「日本とアメリカはステークホルダーが異なるため急速な普及は難しいが、競合市場としてではなく、新市場と捉えて、紙書籍との共存を生かすのがいいでは?」というところだ。
投稿元:
レビューを見る
公私教育のテキスト・コンテンツに支払われる規模は3000億~4000億
大学の公私図書館の図書館費が約974億。公共図書館の図書館費1207億。合計すると5000億超これの1%がシステム投資として考え、シェアを10%とすると5億。んんん~~~ん。。。。。
投稿元:
レビューを見る
電子書籍についての詳解本。
電子書籍端末そのものの情報、電子書籍に関わる各業界や企業、書籍・雑誌・新聞・音楽などのジャンル、さらに海外事情まで幅広く、かつ細かく網羅されている。
電子書籍について知るには最適の本。
これまでの「書籍(=テキスト・パッケージ・コンテンツ)」の枠には入らない、メルマガやブログなどの電子テキストの形態についても触れていたら、もっと良かった。
投稿元:
レビューを見る
資料集、データとしてよくまとまってるイメージ。関連業界への影響として、製紙メーカーの話のときに、重量ベースでいかほどってちゃんと書いてたあたりも好印象。2011年4月時点での現状報告として。この先どうなるかは、自分のアタマで考えなきゃだな。
投稿元:
レビューを見る
説得力がある。
書籍にとどまらず新聞や雑誌、また教育への影響から日米比較までうまくまとまっていて読みやすかった。