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辺境から中心へ
著者 榊原英資 (著)
榊原英資氏の日本論です。日本は豊かな自然に恵まれ、辺境にあるがゆえに外国からの侵略もなく、独自の文化をじっくり育てることができました。今後、高い経済成長こそ望めないものの...
辺境から中心へ
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辺境から中心へ 「日本化」する世界
商品説明
榊原英資氏の日本論です。日本は豊かな自然に恵まれ、辺境にあるがゆえに外国からの侵略もなく、独自の文化をじっくり育てることができました。今後、高い経済成長こそ望めないものの、成熟社会としては理想的な状況にあるのではないか、と著者は言います。ヨーロッパ人たちが森を切り開いて生きてきたのとは対照的に、日本人は自然に畏敬の念を持ち続けてきました。欧米先進国の間では、このような日本文化にあるものの見方・考え方に注目する人々も増えているようです。日本人が知らない日本を再発見させてくれる著作です。
著者紹介
榊原英資 (著)
- 略歴
- 1941年生まれ。ミシガン大学で経済学博士号取得。大蔵省国際金融局長、財務官などを歴任。青山学院大学教授。著書に「ドル漂流」「フレンチ・パラドックス」など。
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紙の本
日本こそ21世紀の世界の手本 成熟
2011/06/11 18:20
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうどう - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会の手本として、21世紀の世界をリードするのは日本である、という主張が込められた本である。豊かな自然に恵まれた辺境であるがゆえに独自の高い文明を築き、成長段階から成熟段階の社会へと向かいつつある日本は、世界の手本にならなければいけない、と著者は述べる。21世紀のキーワードともいうべき「環境」「安全」「健康」に関して、高い技術力を持つ日本は世界の先進国である。それを世界に広めていくのがこれからの日本の役割である。日本人は、自信を持って日本の良さを認めよう。そして、世界に対して発信していこう、というわけだ。
辺境という意味は、中国文明や近代西洋文明という世界の中心から離れた位置にある、ということである。これらの「表」「正」の文明に対して、日本は独自の「裏」「負」の文明を築いてきた。世界の中心にある「表」「正」を認めつつ、辺境の「裏」「負」を日本独自のものとして育ててきたのである。それが日本の二重性、デュアル・スタンダードを作り上げた。しかも、日本が外国と戦争をしたのは、国家らしきものが成立して以来千数百年の間に3度しかない。白村江の戦い(663年)、元寇(1274、1281)、朝鮮出兵(1592、1597)である。このうち、日本を戦場として戦ったのは、元寇のみである。他国に侵略された経験がないのだ。日本海の荒波が異民族の侵略を阻止し、平和が維持された。これも辺境ゆえの特権であり、そのおかげでぬくぬくと独自の文明を築くことができたのである。
その独自の文化こそが、自然を大切にする環境意識、人々が安心して暮らせる平和で安全な社会、豊かな食生活による健康長寿を生んだ。まさに、これからの世界が求めるものばかりである。西洋は再び没落しつつある。20世紀の覇者アメリカにもかげりが見られる。そんな状況で、世界が日本に注目しているのである。
ところで、日本の良さを論じるために料理や海産物に多くのページを割いている点はどうかと思う。本筋のテーマからの逸脱を感じる。全体的な構成が甘いのだ。
また、後半になると、引用ばかりである。テーマに関して著者自信の思考が熟していないという印象を受ける。もう少し論点を整理し、論証をしっかり組み立てるべきだったと思う。その点が残念である。