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サイケ
著者 姫野カオルコ (著)
東京にある総合出版社に勤務する編集者「わし」は、人知れず自らの性的な問題に苦悩していた。幼い頃に刻み込まれた、ある性的嗜好が大人になった現在も、恋愛の深刻な障害となってい...
サイケ
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サイケ (集英社文庫)
商品説明
東京にある総合出版社に勤務する編集者「わし」は、人知れず自らの性的な問題に苦悩していた。幼い頃に刻み込まれた、ある性的嗜好が大人になった現在も、恋愛の深刻な障害となっているのだ。その原因となったのが某少年漫画誌だったのだが…。モーレツでサイケな70年代が育てはぐくんだ世代の悲喜劇。鋭い時代考察と、うずくやましさ満載、姫野ワールド全開の傑作短編集。
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紙の本
サイケでナイーブな70年代を描く傑作短編集
2003/07/15 11:59
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投稿者:ひろぐう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナイーブは恥ずかしい。いや、恥ずかしいということがナイーブなのか‥‥。
万博、安田講堂、スタジオ102、ハレンチ学園、スカートめくり、Tレックス、ボイン、オー・モーレツ!‥‥。『オー、モーレツ!』『少年ジャンプがぼくをだめにした』は、モーレツでサイケな70年代に思春期を迎えた少女の、性的アイデンティティをめぐる心の冒険物語です。『オー、モーレツ!』の小学5年生の主人公は、円の面積の公式の円周率3.14に納得できない。「なぜみんなは、半径×半径に円周率を迷いなくかけられるのか」と、腹を立てて混乱します。そう、まぎれもなく彼女は「ナイーブ」なのです。当然のように自己の性についても混乱します。なぜひとつの性と折り合いをつけなければならないのか? 彼女が現代のように「引きこもり」に陥らずに済んだのは、70年代という時代そのものが「ナイーブ」だったからなのでしょうか。
『イキドマリ』はコワいサイコ・ストーリーです。そのコワさというのは、サイコの異質さが理解できないからではなく、逆にものすごく理解できるところにあります。一歩まちがえれば、自分がそうなっていたかもしれないというコワさ。このサイコも頭の良い「ナイーブ」な青年です。醜悪な現実の本性を巧妙に包み隠した偽善的な明るさと折り合いがつけられないでいる。主人公の「ぼく」が収集する温泉相撲の写真と、僕が集めている70'sの洋楽CDに本質的な違いはないのだと気づかされたのでした。
その他、やわらかな関西弁の少女の語りと、ラストの強烈なツイストのコントラストが鮮やかな『お元気ですか、先生』など、インスパイアされまくりの素晴らしい短編集でした。(→My Home Page)