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投稿者:tomo - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴代名人の人柄が出て面白かったです
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若干14才にして将棋プロになり「神武以来の天才」と言われ、名人位を一期獲得している加藤一二三九段。御歳72にして未だに現役棋士として活躍しているが、そのせっかちな話しぶりと対照的に序盤から長考を繰り返す対局姿勢、将棋会館での対局時の食事メニューは昼食・夕食ともにうな重(最近は握り寿司)一本やりと、と話題に事欠かない棋士でファンも多い。
最近ではニコニコ生動画で将棋名人戦の対局開始から終局までの生放送をやっているが、今季の森内対羽生の名人戦の放送で加藤九段が登場した際には「ヒフミン」と視聴者に呼ばれ悦に入っている姿がなんとも好ましいものだった。(参考までにニコナマは名人戦の視聴率が極めて高く平日昼間でも30万人超が観戦しており、一般では視聴ができないほどの賑わいだ。登録会員でもプレミアではないとPC経由での視聴は厳しい。が一方でiPhone経由だと何故か比較的余裕があるみたいだ。)
そんな加藤九段だが、名人位が実力制になった昭和10年以来誕生した名人は此処まで僅かに12名で加藤もその一人なのだが、残る11人と実際に対局経験のあるのは恐らく加藤一人であろうと言う。その貴重な盤を挟んだ生身で感じた夫々の名人の特徴をまとめたのが本書で、まさに加藤で無くては書けない貴重な書だ。
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勝負師は何事においても勝負の場で譲ってはならない。そして、自分の実力以上の力は信仰によって得る。自らが同じ形の将棋を指し続けるのは芸術作品を作るため、だが、多くの棋士は色々な形でドラマを作ってきた。それを「対戦相手」として分析している。ひふみんが「自分語り」を極力抑えて、かつ、たくさんの棋士仲間・先輩・後輩への敬意を表現した至高の一冊。3時間あれば読み切れます。
とりあえず、「あと何分?」
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2012年は名人位ができて400年
ということでこの本が登場!
実力名人制は昭和10年からのスタートでそれまで名人位は世襲であった。
実力名人制導入後に名人となったのは”12人”
この12人の名人の活躍が描かれる。
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加藤一二三元名人が歴代名人を語る。盤面解説が一切ない珍しい将棋本。有名な名人の解説のみで将棋初心者向け。
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加藤九段の熱い想いを時折挟みながらの名人戦の歴史を学べます。サブタイトルを見たとき、思わず吹き出しそうになりましたが、あまりにも面白い内容だったので、一気に読み終えてしまいました。
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加藤一二三は変人と言われるが、当人にとっては当たり前のことを当たり前にやっているだけなので、その部分をうまく抽出することができないのだろう。ここはやはり他者が外からの目でみて他の棋士との違いを抽出しつつ、当人の内部に入ってそれが当然である理由を明らかにしてもらわないと、その面白さが伝わらないのだと思う。
彼が歴代名人について語った部分も、興味深い記述はなくもないが、あまりにも盤面からみたものでしかないように感じられた。
ちょっと残念な一冊だった。
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昔の将棋の世界には変わった人が多いが、その中でも加藤一二三九段は、トップクラスの変人の一人である。滝を止めたとか、対局相手に向かってストーブを全開にしたとか、うな重しか食べないとか、ネクタイが長すぎるとか、対局者の後ろに回り込んで独り言をつぶやきながら検討を始めるとか、アレなエピソードを並べ始めると、もうどうにも止まらない。いくつかについては、本人にも自覚はあるらしく、本著の中で釈明していたりもするのだが、それがなんとも腑に落ちない。明かされた理由が、本人以外にわかる理由になっていないのである。
そんな一二三九段は、有名な棒銀原理主義者でもある。本書にも、棒銀について述べた箇所がいくつかあるので、引用しよう。
「私が棒銀を好むのは、銀という駒が好きだからである。金が守りの要であるとすれば、銀は攻めの駒だといえる。だから棒銀はすごく緊張感があるし、うまくいけば解消できる。それで飽きずに棒銀をさし続けているわけだ」
「タイトル戦で激突した多くの棋士が大山さんに勝てなかったのは、いま思うと大山流の振り飛車に対して、棒銀を指さなかったからである」
「羽生さんには、『羽生の頭脳』シリーズという名著の数々がある。棒銀の本を読んだが、大変有益だった」
引用箇所から、何かを感じ取っていただければ幸いである。本書は、加藤一二三九段という不世出の天才のエッセンスが凝縮された、まぎれもない名エッセイだ。
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知人に薦められ、購入。
いったいどんな文章を書かれるのかな、と思いつつ読みましたが、
ずいぶん読みやすく、気づくとあっという間に読了。
将棋にあまり詳しくないですが、楽しめました。
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グーグルで「5二銀」という三文字を検索すると、そこにズラッと並ぶのは、羽生善治が五段時代の1988年にNHK杯で加藤一二三と対戦した時の「伝説の鬼手」5二銀の話である(動画も多々あり)。
しかし本書「将棋名人血風録」において著者の加藤は言う、この手は確かに妙手ではあるが奨励会の二・三段でもちょっと考えれば思いつく、したがってあの5二銀をもって羽生を天才と呼んでは羽生が可哀想である、と。
この加藤の指摘が負惜しみではないことは、本書全体に一貫している加藤の謙虚な生真面目さから分かる。とにかく真面目な人である。
その一方で、加藤のその生真面目さ・愚直さに起因する天然ボケ?ぶりも、本書中に遺憾なく発揮されている。まさに「ひふみん」という愛称にピッタリの、意図せぬユーモアが随所にあふれている。
本書のテーマはもちろん歴代の将棋実力制名人12名(加藤自身を含む)にまつわる諸々のエピソードと加藤の考えである。この12名の時系列での紹介により、名人世襲制廃止以降のプロ将棋界の歴史が私のような素人の頭にもスーッと入るところが素晴らしい。
なお本書には、東京地裁平成20年(ワ)第2785号猫への餌やり禁止等請求事件において加藤が敗訴した件に関する記載は当然ながら無いが、この事件にも、本書から窺える加藤の人柄そのものが出ていると思う。
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将棋界を描いた本は、どれも面白く読める。
登場人物も、書いている人も、それぞれ「普通」の人達ではないからだと思う。
中でも加藤一二三さんは相当有名な「変わった人」で、実際テレビで拝見するのが物凄く楽しみなのだが、意外と言っては失礼だが、本は「普通」だった。
しかし、実力制名人の全てと指したことがあるって言うのは、やっぱりそれだけで凄いよ。
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加藤九段が見た、歴代名人の姿。本人を除く11人の名人すべてと対戦経験があるとは、加藤九段こそ将棋界の生き字引ではないか。
それにしても、11人のうちでの升田幸三の存在感が圧倒的だ。さすが、名人に香車を引いた男。93ページの写真も大迫力。
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将棋を知らない人でも知ってる、「変人」加藤一二三。非常に大好きな棋士である。
独特の語り口で、大山康晴から羽生善治はもちろん渡辺明まで語る本。エピソードが経験した人間にしか書けないもので、貴重。特に渡辺明が、著者の三十年前の妙手を記憶していて質問してくるシーンは、非常にいい。それに対する答えも著者らしくていい。
とにかく五十年以上将棋に情熱をもやし続けて、引退に追い込まれもしていない強さを維持しているのは異常。
升田、大山康晴、中原誠、谷川の本も読んでみたい。
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将棋の名人位は、徳川家康が大橋宗桂に俸禄を与えたのが始まりで、名人が誕生して400年になるのだそうです。世襲制であった名人制度が、実力制にかわったのが昭和10年のこと。以来、実力制名人の座についた棋士は12名いらっしゃるそうです。著者自身、第6代名人であったわけですが、すべての名人と対戦経験をもつのは、おそらく著者ただひとりだそうです。本書はそんな著者の回想と、当時見聞きした将棋界の出来事を綴ったものです。タイトルに〝奇人・変人・超人〟とありますが、勝負師として生きる人たちの執念や気概が、そうでない一般世間の人々の目には、奇妙に映るのでしょうネ。自分は将棋を指しませんが、勝負師としての棋士の生き様には興味津々、心惹かれるものがあります。中にはもはや伝説と化した有名なお話もありますが、これから伝説になるであろう事柄などにもふれられていて、とても面白かったです。
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将棋の名人戦について加藤先生がエピソードを交えて語ってくれる一冊。実力制名人戦が始まってからの名人経験者全員と実際に対局したことがあるってのがすごいとしか言いようがないし、加藤先生の記憶力のよさというかエピソードの詳細さがたまらない。