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電子書籍
捨て童子・松平忠輝(上)
著者 隆慶一郎 (著)
捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物!徳川家康の第6子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」といわれた“鬼っ...
捨て童子・松平忠輝(上)
捨て童子・松平忠輝 上 (講談社文庫)
商品説明
捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物!徳川家康の第6子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」といわれた“鬼っ子”松平忠輝の異形の生涯を描く、伝奇ロマン傑作。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。(講談社文庫)
目次
- 序章
- 鬼子
- 川中島
- 麒麟
- 紛争
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紙の本
隆慶一郎最後の長編
2003/11/10 23:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
徳川家康の第六子で、幼い頃から容貌魁偉、鬼子と忌み嫌われた松平忠輝を主人公にした、著者が完成させることのできた最後の長編時代小説です。
まず「捨て童子」という言葉に注目。著者は「捨て子」と「捨て童子」はまるで別物、人が畏れ慄くような途方もないエネルギーを持った異形の者と説明、松平忠輝を類い稀なる能力を持った智勇兼備の男とし、将軍職を奪われるのではないかと怖れる徳川秀忠とその配下の柳生一族と戦わせ、そこに大久保長安事件や伊達政宗の遣欧使節、大阪の陣等の史実をうまく取り入れ挿みこんで、途中でだらけるようなこともなく、激動の時代とそこで凄絶に生きた男たちの姿を描ききっています。
また、『影武者徳川家康』の中でわからずじまいだった、大久保長安の暗殺者が本作でわかるのですが、それでいてこちらでは家康影武者説を採用していない。それぞれの作品がお互いにリンクしているようで、完全にはしていない。そんなつながりを見つけるのも楽しみの一つです。
紙の本
やめられない、とまらない
2001/08/30 07:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みんみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初に「上・中・下」巻の三冊セットというボリュームで圧倒されてしまって、最後まで読みきれるか不安を覚える人も多いはず。ところが読みはじめたら、そんな吹き飛んで途中で本を置く時間がもったいないくらいの面白さ。最後までぐいぐ読者を引っ張りつづけ、読ませ続けます。
隆慶一郎の世界に共通するヒーローとそれを助ける脇役たちは、この作品でも生きています。ヒーローはもちろん忠輝で波乱万丈の人生を送ります。ところが脇役達も主役に負けないほどの大活躍。明るさだけでは軽くなりがちな場面も、名脇役たちがしっかり書き込まれているのでピリッと締まります。
大阪夏冬の陣など誰でも知っている史実を隆慶一郎独特の語り口で描いた作品で、巷にあふれている歴史小説を凌駕する出来だと思います。ボリュームに圧倒されること無く読み始めれば、もうやめられないとまらない。
紙の本
ノンフィクション以上のフィクション
2001/06/14 13:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てら - この投稿者のレビュー一覧を見る
大河ドラマの「葵・徳川三代」でも軟弱で優柔不断でどうしようもなく情けない2代将軍徳川秀忠を西田敏行が上手く演じてましたが、隆慶一郎氏の手にかかると、その情けなさ、父、家康に従順なのもすべて陰険な猫かぶりになるからすさまじい。しかも、史実と照らし合わせても、隆氏の書く物語はことごとく、凡百のノンフィクションよりもずっと説得力があるから、実際の歴史の上でどうだったかというよりも、こちらの方が人間の感情に素直に入り込んでくる。この「捨て童子松平忠輝」といい、「影武者徳川家康」といい、「一夢庵風流記」といい、いずれも骨太の大作なのに一旦読み出すと、つい引き込まれ寝不足覚悟なのが、その何よりの証。この作者の物語をもっともっと読みたかった!合掌。
紙の本
歴史にもしもは通用しないけれど…
2002/02/23 22:30
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投稿者:ばんばん - この投稿者のレビュー一覧を見る
鬼っこと呼ばれた男、松平忠輝。家康の第6子として生まれながら、その才能の為に不幸だった男。歴史を知る我々は、残念ながら忠輝がどうなったのか知っている。しかし、この話を読み進む中で、もしも忠輝が将軍になっていたとしたら、と思わずにはいられない。
武将として優れているだけではなく、優しさ、いろいろな立場のものへの理解。男が惚れたとしても、それは仕方がないだろうと思わせる魅力に満ちている。ただし、その優しさは、天下を無理やり取るという方向には向かず、その才能は誰かと競争して勝とう、コンプレックスを打ち砕こうという意識には向かなかった。
早く生まれすぎた男松平忠輝。その人生を描くのに上、中、下3冊では、足りないと思うに違いない。