投稿元:
レビューを見る
いやこれはかなり難しい、というか読みにくいものだった。苦労して通読したが、理解度低し。次、気合入れて再読が必要。
投稿元:
レビューを見る
いかに「自分の判断」というものがあやしいのかを怒涛の勢いで教えられて面食らいながら楽しんだ。
題名は切り口、とっかかり。
人間が「明日」という時間軸の未来についてうまく考察できない特性と、「幸せ」というものが想像力や感情、記憶にまつわる対象であることがあいまって、認知の歪みが特に顕著に観察できる。しかも、明日の幸せと聞いたら興味をもたずにはいられない。
一番ヘェ〜と驚いたのは、「説明がつくと幸せ感が低くなる」という指摘。
人は、説明を強く強く求めるくせに、説明がついたらついたで納得して落ち着き、印象が弱まり、感情の起伏=記憶の強度が下がり、出来事を片付けて次のことへと関心を移してしまうから、とのこと。謎が残っている方がいいんだなんて、人生訓にお墨付きが与えられたみたいだ。
他にも、「つらい方が幸せだ」とか、しかも「少しのマイナスより多くのマイナスの方が幸せだ」とか、「終わり良ければすべて良し」は本当だとか、「脳は嘘をつく」だとか、主張の以外さ+内容の面白さ+語り口の面白さで引き込まれ続けること請け合い。
投稿元:
レビューを見る
人間という動物だけが未来について考えるらしい。
(未来について考えるのは脳の前頭葉で、人間ほどこの部分が発達している動物はいないのだと)
テーマ自体は面白い。
ただ、この手の人の心理について科学する本(ダン・アリエリーとか、ナシーム・ニコラス・タレブとか)はなぜかみんなジョークを交えながらの長ったらしい文章を書く。
なんなら取り上げている研究も似たような内容で、なんか読んだことある気がする本だった。(嫌いとは言わない)
結局のところ、人間が考える幸せというのはとてもあやふやな価値観に基いている。
まずはそのことを知り、自分で納得できる幸せを手に入れることなんじゃないかな。自分でこれが幸せだと騙すと言ってもよいと思うけど。
---
70
『すべての人は幸せを求める。例外はない。』ブレーズ・パスカル
『満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがいい。満足したおろか者であるより、不満足なソクラテスであるほうがいい。もし、おろか者や豚がこれに異を唱えるとしても、それはこのことを自分たちの側からしか知らないからだ』ジョン・スチュアート・ミル
77
二つのものの類似性を正確にはかるには、測定者が二つを並べてくらべるしかなく、それには、二つを並べて経験するしかない。
96
幸せだという主張が、すべてだれかの視点からの主張だということは言える。
いったん何かを経験してしまったら、二度とそれ以前の見方で世界を見ることはできない。
211
われわれは、ひとつの経験を何度も体験すると、得られる喜びがそのたびに減っていく。これを心理学者は「馴化(慣れ)」と呼び、経済学者は「限界効用の逓減」と呼ぶ。時間と変化はそれぞれ慣れを避ける方法であり、一方があればもう一方はなくてもいい。
つぎに経験するまでにたっぷり時間があいている場合、変化は不要なばかりか、むしろ損失になる。
281
長い目で見れば、自分がした行為より自分が行為をしなかったことをはるかに強烈に後悔する
347
想像には3つの欠点がある。
一つ目は、勝手に穴埋めや放置をすること。二つ目は現在を未来に投影しがちなこと。三つ目は物事がいったん起こると、思っていたのとちがって見えるのに、前もってそれに気づかないこと。
363
ベルヌーイら、客観的に得たもの(富)が、それを得たときに主観的に経験するもの(効用)と同じではないことに気づいていた。大事なのは効用だ。
投稿元:
レビューを見る
講義のネタ探しにKindle版を購入。
読みやすさとか親しみやすさ,読みやすさを全面に押し出そうとしているのか,アメリカンジョーク的な言い回しとか比喩が多すぎて,回りくどくて逆にわかりにくいところが非常に多い。好き嫌いが分かれそう。
幸福感の心理学書というか,行動経済学的な話が中心。面白い研究がたくさん参照されているのに,文献リストが一つもないのが非常に残念。第1線の研究者だろうから,原著ではおそらくリストがあるのだろうけれども。いずれにしても,ほしい情報は得られなかった。
投稿元:
レビューを見る
本の内容をきちんと咀嚼するには、体調も関係する。咀嚼して消化するのも、そう。だから、この本がイマイチ頭に残っていなかったとしても、本が悪いとは言い切れない。でも正直なところ、ほとんど残っていない。理由の一つは、読み易くする工夫だろうが、妙なジョークが混じり過ぎている。書いてある事は面白いのだが。
幸せって何だ。それに対する科学的解明の試みは分かるが、答えはない。
投稿元:
レビューを見る
本書は心理学の知見に基づいて「幸せな未来を得るためにはどうすればよいのか」を解説した本である。著者はハーバード大学の心理学部教授で,感情予測,社会知覚,信念などについての研究者だ。Scienceなどの一流誌に多数の研究を発表している。しかし本書は堅い学術書ではまったくない。ユーモアが散りばめられた軽妙な文章ですいすい読める。著者のウェブサイトを見ると学術論文のほかにSFのタイトルが挙がっているが,そうした経験がきいているのかもしれない。
タイトルからは「ひとの幸せ」が本書の主題に見えるが,幸せそのものの解説に割かれているページはそれほど多くない(第2部)。幸せの定義はひとによって違うはずなので,自分の幸せを他人の幸せと比較するのは難しい。そもそも幸せを計るのが容易ではない。それでも不十分ながらも「幸せの測定」は可能であることが第2部では述べられている。
本書の多くは,将来の自分が抱く感情についていかに精度の悪い予測しか立てられないのかについて解説している。そのために,未来を想像し,幸せな未来のために現在の自分が良かれと思って選んだ行動を将来の自分が喜ばないというちぐはぐした人生を歩む羽目になる。その原因は「想像する」ことが持つ3つの大きな欠点にある。
一つ目の欠点は不十分な想像しかできないことである(第3部)。ある場面を想像するとき,その場面の細部にいたるまで何もかも思い浮かべることは不可能だ。でも問題は限界そのものではなく,思い浮かんだことだけを考慮して思い浮かばなかったことを無視するという人間の傾向にある。将来の予測についても,思い浮かばなかった他の可能性を「実現しないもの」とみなしてしまうせいで,将来の予測を誤ることになる。
二つ目の欠点は現在の感情に大きく影響を受けながらしか想像できないことである(第4部)。人間の想像は現在の感情に大きく影響を受ける。現在の状況に依存して将来を予測する傾向があるために,「現実の今をつらいと感じることで精いっぱいのときに、創造の未来を楽しいと感じることはできない」のである。明日も今日と同じように感じるだろうという前提のもとで誤った予測をたてる。
三つめの欠点は実際の出来事の前後で感情に変化が生じることを想像できないことである(第5部)。人間には心理的防衛システムが備わっているため,たとえば辛い出来事に遭遇しても,遭遇してしまったあとには実際よりも辛くないものと感じる傾向があるという。この心理的防衛システムの働きを理解していないために,ある出来事が実現したときの感情を事前には誤解してしまう。例えば多くのひとは「静観よりも積極的にとった行動によって失敗することを後悔するだろう」と予測するが,後から振り返ると実際に行動して失敗するよりも行動せずに失敗したことをより悔やむ傾向にある。このような例はほかにも紹介されている(激しい苦痛と穏やかな苦痛のどちらが耐えやすいか,変更ができない状況と変更が可能な状況のどちらが望ましいか,など)。
これらの欠点があることを踏まえたうえでどうすれば将来を正確に予測して幸せな未来を実現すれ��よいのか。第6部は,結局のところ将来のために意思決定するために自分の感情を物差しにするのではなく,だれか他人の実際の感情を参考にするのが良いと結論している。もっとも,自分を特別な存在だと思い込んでいる人間が,その他多数のうちの誰かの感情を参考にするのが一番であるという方策を受け入れるのは難しいだろうとも著者は指摘しているが。
進化の過程で培われてきた脳が必ずしも人間を合理的に行動させるわけではないことを心理学や進化学,経済学などの知見に基づいて解説した本はたくさんある(例えばダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』)早川書房)やキース・E・スタノヴィッチ『心は遺伝子の論理で決まるのか』(みすず書房)など)。この本では「合理的」という言葉こそほとんど出てこないけれど,こうしたジャンルの本に分類することができるだろう。本書を読んでこのトピックに興味を持ったらほかの本を何冊か読んでみるのもよいだろう。
投稿元:
レビューを見る
「どうしてこうなった」「こんなはずじゃなかった」がなぜ起こるのか,という点について,脳が事物を評価する仕組みに関する研究から,明らかにしていく本.未来の事象を想像で補う際の情報の欠落や誤謬,未来に於ける価値や感情の評価を,現時点でのそれと混同してしまうこと,また過去の事象を評価する時の認知の歪み・欠陥が,過去の選択に対する後悔であったり,禁煙・ダイエットなどの失敗であったりを招いている,とする.
ウィットに富んだ喩え話と明快な解説のお陰で面白く読めた.「その事物について変更の余地が無い場合に初めて,経験の正当化・合理化を試みる心のプロセスが働く」というのは興味深いと思う.
投稿元:
レビューを見る
自己啓発本のようなタイトルだが「幸せ」の定義や成り方は説いていない。本書は一般人向けの脳科学の本である。中身は事例豊富で非常に科学的である。
他の生物には無い人間の特徴として、未来を夢見るという特徴を持つ。そしてその夢見のために脳は誤魔化し嘘をつき適当であることを説いている。我々が確証を持つ現実が如何に不確実で、未来が如何に御都合主義かがわかる。この良い意味でのファジーさが人類発展の原動力になったように思える。
本書では触れられていないが、そうしたものに一喜一憂して幸不幸を感じるのが人間ということなのだろう。
投稿元:
レビューを見る
「こうなれば満足する」と思っていたが実際は満足しなかった未来の自分
「こうなったら幸せだろうな」と思って実際にそうなるように努力した、
でもそこにいる未来の自分は「幸せでない自分」という現象
自己啓発本かと思い敬遠していましたが、
内容は心理学の観点から見た「幸せ」について
(たくさんのジョークを交えつつ)書かれていました。
未来の自分を予想することがなぜ困難なのかを
丁寧に解き明かして、幸せとはなにかを理解できる良書でした。
とくに「実在論」(物事は心に現れるままの姿で現実に存在するという考え)と、
「現在主義」(過去や未来を見る観点が、現在の経験に影響される傾向)について
説明されている3章4章はためになった。
買うときにチラ見したところ、
最終章の第6章のタイトルが「こうして幸せを手にいれよう」とか
「幸せになるための十ヶ条」ではなく、
「正しい予想をするために」となっていて、
「あれ?」と違和感を感じはしたのですが、
実際に最後まで読んでみると納得でした。
投稿元:
レビューを見る
不都合な真実
この感想レビューも、実は参考になるものではないかも知れない。というのも本書を読めばわかるが、人間は最後の印象でその作品の良し悪しの評価を決めてしまうクセがあるらしいから。思い返して見れば、中盤、ツマラナイところも多々あったけど、第6部「正しい予想をする方法」から盛り返してきたから、私の感想は「総じて面白かった。」となった。
さて、人は幸せになる為に、自分にも嘘をついて生きているらしい。というか、この「過去を都合良く書き換える」能力があるからこそ人は発狂しないでこの現実を生きられるのだなぁ。
社会通念の、お金が沢山あればあるほど幸せ、子供がいれば幸せって、まあ、ある意味真実ではあるんだけど、実は自分で自分をそう信じ込ませている部分もあるらしい。そうすることで社会が機能してるからね。うん、なんだか納得。何で周りにいる幸せ幸せという人たちが、あまり幸せには見えないのか、ちょっと疑問だったんだよね。まあ、私は子を成したことがないから本当のところは結局わからないわけだけれど。社会通念とか、幸せの基準がどうとか考えないで、好きにに生きた方が良い、というのが本書を読んでの結論。
投稿元:
レビューを見る
いきなりネタバレになってしまうのですが、結論として、どうやったら一番、未来の幸せを予測できるのか、その方法として、自分の未来に想像するよりか、それを経験している他人の話を聞いたほうが、断然、役に立つと結論づけています。他者の経験をものにしろ、経験を盗め、ですね。そういうわけで、コミュニケーションが大事なんだよ、っていうところに修まってきます。他人の話や経験談を聞くことなんですよね。自分が経験できないことを教えてもらう。大事になってくるのは、ストレスの少ない、円滑なコミュニケーションの雰囲気作りですかねえ。システムづくりといってもいいですが、もっとふわんとしたものなんじゃないかなぁ。人は、グループに溶け込みすぎないことを好むことも、本書で述べられているところなのですが、だからといって、孤独を好みすぎると、幸せを掴みづらくなりそうです。まあ、ここでいう孤独は、完全に内に閉じちゃうことで、ネットの中でも、他者の書いたものを読まないだとか、ほんとうに遮断してしまう人のことをいいます。本書を読み解いてみて、そして、自分なりの観点をまじえると、ひとりでいること、つまり他者との距離をとりつつも、本だとかネットだとかが中心だとしたって、他人の経験は役に立つんだろうね、とそのように要点をとらえました。
投稿元:
レビューを見る
感覚は記憶と共謀して事実と異なる記憶をもたらす。
未来の想像は、本来的に困難があり、想像よりも現在進行中の他の経験者の体験を学ぶことが有効であるも、人間は自身が独特であると考えるバイアスがあるため、通常そこから学ばない。
投稿元:
レビューを見る
私たちが日々行う意思決定は、結局のところ幸せになるためである。それは自分の幸せのこともあるし、家族、他人の幸せのためもあるかもしれない。
私たちは意思決定をする際には、ほぼ間違いなく予想する。行動の結果がどうなるかを予測し、それに対して自分や家族、他人の感情を予想する。これが正しく予想できれば、幸せになれるに違いない。
客観的な結果については、統計や確率でそれなりに精度を上げることができるかもしれない。本書はそこは扱わない。
本書が扱うテーマは、未来にどう感じるかについて、正しく予想するにはどうすればいいか?である。
著者は心理学者として、この問題がいかに難しいか、さまざまな実験結果をもとに説明する。
例えば、そもそも幸せとは何だろうか?私たちは他人が幸せかどうか分かるのか?もっというと、自分の幸せを分かっているのだろうか?
事故や病気、さまざまな災厄で傍から見ると悲惨な状況なのに、本人は幸せだと言う場面…これは嘘をついているのか、おかしくなってしまったのか?それとも周囲が考える幸せが間違いなのか?
このような疑問から始まり、脳の錯覚、虚構、自己防衛、合理化など、私たちの幸せについての概念に揺さぶりをかけてくる。
そして著者が至った結論は、救いがないような…全編を通して、頻繁なジョークが多少の救いかもしれない…
投稿元:
レビューを見る
自らの脳で未来を想像するのは、限界があるのと同時に、不明瞭・不確定であり、それを信じることに警鐘を鳴らす。
結果、他人の経験を自己へ投影する術が未来を想像するのに役たつ。
自分は他と違うという感覚と個人の多様性という根拠のない信念こそ、他人の経験を参考しない、またはわれわれが他人を代理人にするのを拒む最大の理由なのは納得するところがあった。
自分は特別という意味のない根拠が、変なプライドを武装し、知っているフリをしてしまう。
他人の経験を勉強することは、自分の間違った思考を考えるのにも役たつ。これが結果的に、自分の未来やどうありたいかを想像することにつながるのかも、という結論に至った。
投稿元:
レビューを見る
各章が冗長すぎて読むのが辛かった。
とはいえ、学びはあった。
おわりに。だけ読み返せばよさそう。
ダニエル・ベルヌーイの理論、選択の正しさを発生確率×効用(それから得られる満足度や喜び)で求められるというのはモノの絶対的価値だけの判断ではないので予見の判断に使えそう。
その効用の判断が難しい点について著者の理論が色々書いてある。そんな本。