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暁の女王マイシェラ
著者 マイクル・ムアコック (著) , 井辻朱美 (訳)
〈永遠の戦士 エルリック〉第3巻。雪原にそびえたつ古城のなか、ただひとり昏々と眠り続ける美女の正体は……!? 宿敵セレブ・カーナを追って、南の大陸へと渡ったエルリック...
暁の女王マイシェラ
暁の女王マイシェラ (ハヤカワ文庫 SF 永遠の戦士エルリック)
商品説明
〈永遠の戦士 エルリック〉第3巻。雪原にそびえたつ古城のなか、ただひとり昏々と眠り続ける美女の正体は……!? 宿敵セレブ・カーナを追って、南の大陸へと渡ったエルリックとムーングラム。だが、ロルミールの山岳地帯で突如奇怪なキマイラの集団に襲われ、奮闘むなしく連れさられた雪原で出会ったのは、無人の城の中、ただひとり昏々と眠りつづける絶世の美女だった……表題作『暁の女王マイシェラ』と、父の亡霊から父の魂を収めた薔薇模様の小箱の探索を命じられたエルリックの想像を絶する冒険を描く『薔薇の復讐』の二長篇を収録。
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紙の本
今週の「くいしん坊!万才」は<新王国>からお届けします
2006/08/26 09:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Leon - この投稿者のレビュー一覧を見る
エルリックは宿敵である魔術師セレブ・カーナを追って<新王国>の一つロルミールに上陸したが、待ち受けていたキマイラの群れに襲われて盟友のムーングラムともども拉致されてしまう。
キマイラに抱えられた意図せぬ空の旅の途中、エルリックは祖先交わした鳥族の女王フィリートとの契約に基づく呪文を思い出してキマイラの撃退に成功するものの、不案内な土地に取り残される結果となってしまった。
真っ白な雪原の中で方向感覚を失った二人は、草原の只中にぽつんと建つ古い城にたどり着くのだが誰の出迎えもない。
暖炉には勢いよく火が燃え、食料などもふんだんにあるものの、召使はおろか主人の姿も見当たらず、休息も束の間二人は城の探索を始めた。
無数の部屋部屋の探索は成果なく終わるものと思われたが、最も高い塔の中で城の住人を見つける。
寝台の上で静かに眠る女性の美しさは、エルリックをして従妹サイモリルを思い起こさせたが、如何なる偶然かその女城主もまた魔法の眠りに囚われていた。
己の無力さに再び向き合うこととなったエルリックは、逃げるように城を後にして交易都市アロラサズに投宿するが、そこで女城主と意外な再会をする。
マイシェラと名乗った彼女は、セレブ・カーナと抗争中であり、かの魔術師の呪いによって僅かな時間しか起きていられないと語り、エルリックの助力を求めるのだが・・・
従兄弟イイルクーン皇子を倒したエルリックに新たなライバルが登場。
セレブ・カーナは、衰退するメルニボネ帝国に替わって台頭してきた<魔術師の島>パン・タンの出身で、中々の策士でもあり一時はエルリックを生け捕ることに成功する。
ジャーコルの女王イシャーナに岡惚れするセレブ・カーナは、女王の想いがエルリックにあることを知って嫉妬の炎を燃やしているのだが、エルリックはと言えば、例によって「くいしん坊!万歳」的に土地土地で美女を食べ歩く悪い癖が直らない。
イシャーナに良いところを見せようとする魔術師と、既に「それって誰だっけ?」状態になっている白子の、どこかズレていながら壮絶な戦いの末に、やはり今回も美女の犠牲が。
後半に収録されている「薔薇の復讐」では、かつての騎竜であったスカースナウト(傷鼻)に運ばれて故郷のメルニボネに降り立ったエルリックが亡父の幽霊と出会う。
父サドリックの魂は、その死後忠誠を誓っていた<混沌>に捧げられるべきものなのだが、彼の願いは先立った妻とともにあること。
父の願いを叶えるために、エルリックは<上方世界の神々>の裏をかかなければならないが・・・
多元宇宙(マルチ・ユニバース)という独自の世界観も、北欧の伝承が絡められるなどしてより身近に感じられるようになってきた。
また、無数の巨大な台車の車列で永遠に移動を続ける風変わりなジプシーの街の様子などは著者特有の幻想味があって愉しい。
特筆すべきは、ヒロインとなっている時間流を旅する女戦士<薔薇>が白子の御手付きにならなかったことだろう。