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以前、角川書店から出ていたものの復刊。
確かに当時の小林泰三は、解説にもある通り『ホラー作家』と見なされており、ミステリとしては全く話題になっていなかったのを思い出す。
本編は本格ミステリではあるが、終盤に垣間見えるグロテスクさは『玩具修理者』に通じるものがあって、これがまた楽しい。
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タイトル通り密室がテーマである本格ミステリなんですが、クトゥルフ神話の要素なんかも入ってくるので、単純にミステリとして読むと戸惑うかもしれないです。
なかなか核心に迫っていかない感じがあって、中盤までは読み進めるのがちょっとつらく感じました。謎の組み立てと解決はなかなか面白いですが、とらえどころが難しい作品でもありました。
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事件は、被害者が入った部屋が密室となり、部屋の外では被害者が死んでいます。どういう意味があるのか分からない密室と、どの様な手段を用いられて死んだのか分からない被害者。表題通り「密室・殺人」とでも形容すべきもので、かなり魅力的な謎でした。トリックはまずまずでしたが、あまり必然性を感じないところにやや不満を感じました。
最後に明かされる真相はかなり衝撃的でした。好みは分かれるかもしれませんが、作者の周到な企みは評価に値すると思います。
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まったくもって「なんじゃこりゃぁぁぁぁああああっ!」である。
いや、途中で「あれ?」って思ったのだよ、うむ。ははははは(←負け惜しみ)
なんていうか、とにかくもう一度読まねばなるまいの。今度はしっかりじっくりと。
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“「僕と話が合うだって!?そんな女、嫌だな。気が休まりそうもない」
「『先生と話が合いそう』と言うただけで、礼都のイメージは的確に伝わったようですけど、好みのタイプと違うというのは意外でした」
「当たり前じゃないか。『僕と話が合う』というのはつまり理屈っぽくて、先読みが得意で、人の揚げ足をとるのが好きってことだろ。そんな者同士で話をしたら、どうなる?しかも、潤滑剤であるべきユーモアを解さないとなると絶望的だ」
「目も当てられませんね」
「しかし、そういう女性が魅力的であることも事実だ」
「どっちなんですか!?」”[P.263]
事件解決後に谷丸警部が傍らですごく多くを語ってるんだよねそこがぞくぞくする。
“「もう事件は解決したも同然です。四里川探偵が堂々と全員の前に登場したということはすでに事件の真相が明確になっているはずです」
「いったい何者ですの?」順子はおたおたと周囲の人々に目を移しながら尋ねた。どうやら、誰に訊いたらいいのか、決めあぐねているらしい。
「しつこいわね。警部さんが困ってらっしゃるじゃない。わたしにはわかったわ。彼が何者かね。誰にも入ることができない部屋に入ることができる唯一の人物」礼都はほんの僅か顔を上げた。「あなたは『不思議の国のアリス』に登場するんじゃなかったかしら、探偵さん」
「『鏡の国のアリス』の方です、お嬢さん。……なんのことかわかるかい、四ッ谷君?」
「いいえ。全然」
「結構」先生は浬奈の部屋の中から一歩踏み出した。”[P.350]
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四ツ谷礼子というワトソン役視点で進む割とコテコテの本格密室もの。
ただホラー作家さんということもあって所々叙情できな部分がはさんであってキャラの過去が垣間見れるのが面白い所であり気になる所です。
現代のミステリらしく、一つの事件をじっくりという感じですが、地に着いた真相があり、ドンデン返しもあるのが面白かったです。徳さんなど魅力的なキャラもよかった。
所々感じてた違和感の正体は解説で分かるという珍しい趣向でした。
一貫して関係無い人物には話しを合わせて欲しくなかったなあというのが本音ですが。
キチンと解決する次回作を期待してます。
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途中から違和感に気付いたが何なのかわからなかった。読み終わって、あぁそういうことか。と思うも、何かもやもや。以前読んだ作品の登場人物が出てきたので、この探偵“二人“もまた登場して欲しい。そして何故そうなったのか知りたい。
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「モザイク事件帳」から。礼都さんが気に入ったのでこちらも読んでみようかなと。ミステリとしては…まあ、こんんなものかなあという印象でしたが、探偵も助手も非常にインパクトのあるキャラクターでしたので、面白くて一気に読めました。ホラー描写がちょこちょこ出てくるのですが、これだけではミステリとホラーの融合と呼ばせるには、どちらの要素も物足りない気がしました。
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傍若無人な探偵・四里川陣に命じられ、助手の四ッ川礼子は殺人事件の調査に行く。密室から消えた死体の謎を解く本格ミステリ。
と言いつつ、ホラー要素もある作品。
最後まで四里川の正体がいまいち分かってなかったのですが、解説を読んで納得。
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どんでん返しの傑作、と聞いていて、(まあネットの情報だけど)ずっと探していたのだが、絶版になっていたらしく、なかなか見つからず、今回再販ということでようやく手に入った。
内容はそれほど引き込まれるものではなかった。どんでん返しがあることは当然知っていたので、興味はどんな叙述トリックだろう?の一点に。
その体で読んでいると、明らかに怪しい所が・・・
ただ、そうなると警部の存在が・・・
最後は、ああ、なるほどね、と。
結構楽しんで読めた。
以前読んだ「大きな森の小さな密室」は、この作品の登場人物が多く登場する、スピンオフ的な作品だったのね。読む順番が逆だったら、楽しみ方も違ったのに、残念。
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探偵助手・四ツ谷礼子は探偵・四里川陣に命じられ殺人事件の調査に赴くことになる。その事件は密室にいたはずの被害者が外で転落死していた、という不可解なものであった。
自分の中で小林泰三さんはヘンな小説を書く人、というイメージが出来上がっているのですが(笑)、今作は礼子が事件関係者から話を聞く様子がとても丁寧に書かれていて
「あれ? 普通の本格ミステリだ」とすこし意外な印象すら感じてしまいました(笑)。
事件の調査をする礼子も関西弁やドタバタっぷり、四里川に振り回される様子も読んでいて楽しく、
「あれ? キャラもそこまでぶっとんでないのにいいキャラだな」と思ったり(普段小林さんにどんなイメージを持ってるんだ、ということになりますが…)
事件の解決も非常に本格っぽい…、かと思いきや意外なところではしごを外されます(苦笑)。個人的には納得しきれないというところもあるのですが。
やっぱり小林作品は一味違うな、と改めて思いました。
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この満載の遊び心がたまらない。
密室の中にいたはずの被害者の死体が密室の外にあるという謎。奇妙な探偵とその助手の存在がそもそも謎。地域に伝わるおどろおどろしい伝説。一癖も二癖もある登場人物たち。
ホラー要素も織り込みつつ二重三重の謎をいったいどう着地させるのかと楽しみに読めた。一応の論理的解決はあったけれど、実はもっとホラー方面に振れることも期待していて、解釈次第ではそう読めないこともないかもなと考えたりしている。
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とある別荘で起きた殺人事件。
被害者は鍵のかかった部屋のベランダから10mほど下の池へ身を投げて死ぬ。
落ちた瞬間は見ていないが三人の人物が被害者が部屋に入るところ、そこから誰も出入りしていないこと、悲鳴が聞こえてから被害者の二つ隣の部屋のベランダから下に倒れている被害者を確認した。
SFものやホラーものしか読んでこなかったがこの作品はロジックで積み立てられた純粋な推理小説である。SFな要素は主人公側にある。そしてこの要素は好きな人は好きだろうけど私は不要だと思う。物語に関わらなさすぎるしぼかされてもいる。
それと登場人物の女性が気持ち悪いくらい現実離れした会話をするため(他の登場人物は現実にいそうな人物像で描かれてるから際立つ)完全に満足はしにくい。だが事件の真相や探偵の導き方だけでも楽しめる作品なのは確かだ。
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『大きな森の小さな密室』作者の本を書店で売ってるのを見つけて、内容(登場人物)に気付かず買ったんだけど、あの作品に出てる人もちらほら。
元はホラー作家さん?なんですね。ある意味ホラー?オカルト?的話っちゃそうなんだけど、それだけじゃない。
密室殺人ではなく 密室・殺人というタイトルが既にツボでしたが最後の方のオチも私は気に入りました。
まだ四里川探偵&四ツ谷くんのシリーズ的なのって無いんでしたっけ?もっと読んでみたいんだけどなー…
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最近は変り種のミステリーが多かったので今回のは正統派ミステリー・・・と思いきや最後に思わぬトリックがかくされていました。この前読んだ「アリス殺し」の方が面白かった。でももう少し他の作品も読んでみてもいいかな。