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日本で最も巨大なやくざ組織「山口組」の通史をまとめたもの。
やくざはただの暴力組織でなく、正業を持たせるための更生機関のような役割があることもわかる。暴力排除に隠れて、これまで見えてこなかった点がよく見えてくるようになる1冊
http://blog.livedoor.jp/namunamu_6_3/archives/51610507.html
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神戸を本拠に構えるヤクザの代表格、山口組の誕生から現在までを概観している本。山口組だけでなく、他の地域の暴力団の歴史を交えながら論が進められるので、日本ヤクザの現代史を概観できる。。山口組が関東の組織を傘下に入れ、関東制覇を狙っている最近の状況も語られており、週刊誌以外のメディアがあまり報じない暴力団事情が、わかるという意味でも有用。改正暴対法による締め付けを強める警察の姿を見ながら、著者は「弱者のいきつく場」としての暴力団の役割を強調し、それが警察の取り締まりを受け、地下組織化する現状を危惧する。地下組織化はマフィア化を意味する(例えば、司法や警察官を次々と殺害したシチリア・マフィアのように)ので、警察によるやり過ぎた締め付けは逆に警戒すべきだろう。ただ、被差別部落の出身者や在日朝鮮人といった被差別者の駆け込み寺がヤクザの役割だったとする筆者の論に沿えば、都市化や人の流動性が活発となることですこしづつ差別問題が解消を見せている今、その役割は次第に終えつつあると見るべきだろう。また、現代的には経済的困窮者のよりどころがヤクザとなりつつあるとも論じられているが、それは政府がセーフティ・ネットの充実による貧困の撲滅を狙うべきで、ヤクザに頼るべきことではないことは明らか。ヤクザの擁護すること自体はそれほど問題とは思わないが、それが必要悪であり無いに超したことはないのだということを特に忘れがちのように感じるのが気になるところ。ヒル『ジャパニーズ・マフィア』(三交社/07年)の言うように、暴対法のもとで静かに安楽死をさせるべき存在ではあると思う。とはいえ、性急に国内の組織を潰せば外国(中国やロシア)からの組織に日本地下社会が乗っ取られるだけで事態は悪化すると思うので、私も早急にヤクザを無くすべきとは思わないし、警察もそこまでは出来ないだろう。この本では、ヤクザの国際化は全く触れられていないが、海外地下組織との連携も気になるところではある。特に国際金融の世界への進出は盛んだと聞くし、、、。結論には首をかしげるところがあるものの、全体としてはヤクザの現代史を概観できる興味深い本であることは確か。
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そのうち仕事でお相手することになる可能性が高い方々なので,勉強のため。ほとんど知識がない業界なので情報としては面白いんだけど,文章が合わなかった。どこに向かってるのか良く分からなくなるんだよね。構成が練られてないんでしょうな。アカデミシャンではないのは承知の上だけれど,ビジネスマンでもカチッとした文章書ける人も多いわけで,ジャーナリストとしてはもう少し頑張っても良いのでは。まぁ,何言ってるか分からないアカデミシャンもいっぱいいるので,個人の問題なのだろうけどね。って人の文章にケチつけるのは簡単だけどね(爆)自分が文章で人を説得する側に立ったので,自戒を込めて。読む前は,もっと実話雑誌的かとも思ったけど,立ち居地はきちんとジャーナリズムだったと思う。著者の強調する差別とやくざという視点は,古典的なのかもしれないが,これまで深く考えたことはなかったので,個人的には発見でした。掘り下げ方が足りないのは残念だが,新書だしねぇ。やくざに限らず犯罪者をどう位置付けるかは,今後自分が直面する問題なんだろうなぁ。ここにもまた,自己責任論が顔を出す気がする。ところで,巷に言われる自己責任の対義語って何だろう?ぴたっと嵌る言葉が思いつかなかった。社会(の)責任?環境(の)責任?階級責任?それとも,他者責任?誰か教えてください(爆
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現在やくざの2人に1人は山口組組員だそうで、山口組成長の原因を組織形態と組長の資質にあったとのこと。
またやくざという組織には貧困者や弱者の救済という社会的機能も兼ねていたが、昨今の取締りの強化によって経済的に自立できないものは組から外され犯罪に手を染めてしまう可能性があり、そして犯罪の増大を危惧する。
すべてを受け入れないときにすべてを拒否するしか方法がない。今はそんな世知辛い世の中。
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長年に渡って山口組を追いかけてきた猪野健治が、その集大成とも言える山口組通史を綴る。
やくざは単なる暴力集団ではなく、その時代時代において一定の社会的役割を担ってきたことを説き、近年の暴対法の成立を受けて様変わりする「やくざ」と社会の関係に関して示唆に富んだ考察を示す。
なかでも、最下層貧民の受け皿不在、暴力団の闇組織化、(やくざが「縄張り」を失なったことによる)外国人犯罪組織の跳梁と犯罪検挙率の低下、やくざを狙い打ちした特殊法案による警察力の異常なまでの強化などはそれなりに説得力があり、社会学だと思って読んでも興味深い。
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胡散臭い週刊誌のようなタイトル。
読んでみると、山口組の成立から今日に至るまでの歴史、抗争史。
筆者の言いたいことは
・如何に歴代山口組の組長が人間的に優れていたか
・やくざ(暴力団という名称は使いたがらない)は必要悪
という2点。
個人的には賛同できかねる内容。
差別される人々の受け皿として必要と言いますが、それならこの不況下、困った人達で暴力団だらけになってしまいます。
普段接することのない(接したくない)世界なので、読んで損ではないですが、得もしないです。
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現代史のある一面を知ることが出来てよかった。
社会から差別され排除されてきた人たちの心情はわかるが、肯定的に評価するのはできない。
検挙率低下と暴力団規制強化との相関は気になるところだ。
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2009/3/10読了
暴力団には、戦後社会において、ある意味弱者のセーフティネットとしての機能を果たしていた面もあったということがわかる。
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ヤクザ?暴力団?
パンピーでも日本に住んでいる限り、間接的にはお世話にはなっていると思いますよ。
そんな彼等の歴史を、山口組を中心に成立から現在まで、時系列で解説。解りやすく面白い。
「日本人として知っておいても良いよね〜」と云う感じ。
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普通に生活していると学生の私は、やくざ呼ばれる人達と関わることは勿論、見かけることすら皆無に等しい。しかし、田舎で見かける暴力団反対ポスターや、一部の凶悪事件のニュースを見るなどして、自分で直接確かめたこともないのにやくざ=悪だと思っていた。
この本を読んでみても、やはり法律すれすれの行為や犯罪をたくさんしているのは間違いないことだと感じた。しかし、町のチンピラの迷惑行為を抑制したり、差別され、虐げられて職に就くことができない部落出身者や在日の人たちの最後のセーフティーネットとしての役割を果たしている部分も強くあった。
上記のような良い一面があるからといって犯罪行為が許されるわけでは決してない。しかし、やくざがいるおかげで社会のバランスが取れている部分もあるということをしっかり認識すべきだと思う。
犯罪行為を当たり前にするやくざを撲滅させるという社会の考えはわかる。しかし、暴力団対策法によって資金源がどんどん絞られた暴力団の力が弱くなり、それまでかかっていた裏社会でのブレーキが外れ、暴力団さえ管理できない悪人がどんどん増えているという。そこまで考え、わかった上で法律を施行しているのなら問題ないが、わかっているかは甚だ怪しい。
読書をしていていつも強く思うことだが、物事を一面からしか見ない状況で判断してしまうというのは非常に危険で、時には取り返しがつかなくなることもある。そのことをもっと一人一人が考えられる世の中になればと思う。
★memo
生活の貧しさ、心の貧しさが悪の道に走らせることを、わたしはこれまでにイヤというほどみせつけられてきた(三代目 田岡一雄)
この当時(田岡三代目時代)、やくざ全体の70%が在日、被差別部落、あるいは欠損家族などの生活困窮者など、市民社会からはじき出された下層窮民であった
やくざに朝鮮人が多いのは、社会に出てもあらゆる門戸が閉ざされているからだ。残されているのはみじめな雑用だけ。差別と貧困。それにじっと耐えるものもいる。しかし、ガマンできないものもいる。よいも悪いもない
衣食住が満たされぬのは、それ自体が犯罪である
子分たちに「あれをせい「これをせい」と、いちいち指図する小物にわたしはなりたくなかった。言葉で教えるのではなく、わたしの態度、日常生活、会話のはしばしから学びとらせる必要があったない。そのためにわたしは生まれかわらればならぬ。組員の鑑みになっておのれをきびしく律することであった
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興味深く面白く読めた。
けど、筆者がやくざに肩入れしすぎてて、ちょっと……
もう少し冷静な視点の作者の書いたものを読んでみたい。
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やくざ人口の約半数を占める巨大組織・山口組は改正暴対法によって苛烈な取り締まりを受ける中、六代目司忍組長のもとで原点回帰への体制刷新をはかっている。
原点回帰を志向する六代目山口組の現在を知るためには、司組長が信奉する中興の祖・田岡一雄三代目および三代目を生むに至った山口組前史を紐解くことが欠かせない。
田岡三代目が引き継いだ「組員各自に正業を持たせる」「事業に縄張りはない」という山口組の組織原理はやくざ組織として絶大な力を持つに至った理由でもあり、また山口組が受け入れてきた『やくざになるしかない』人々の存在を私たちの社会がいかに切り捨ててしまったかを浮き彫りにする。
そして苛烈な暴力団排除の動きは、既存組織のアングラ化と、任侠道から外れた統制のきかない犯罪者集団を生み出してしまっている。
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ふむ。興味深い。
暴力団が、社会からはじき出されたものの収容コミュニティになっている。
それは、事実だろう。誰だって自分の気持ちを分かってくれる人と一緒にいたい。
一般的な社会が受け入れてくれないのならば、
そういうコミュニティが出来るのも自然といえるだろう。
差別がなくならない限り、暴力団はないよりあるほうがましだろう。
現在やっている暴対法は、病巣を取ることにならず、
むしろ逆に事実として犯罪増加を生み出すことになる。
だからといって、やくざが子犬販売をするのは絶対に許さないけどね。
--気になった言葉--
組がなくならないのは、組を生み出す土壌があるからだ。(中略)経済的貧困や愛情の欠如、差別や社会不信といった市民社会のなかにやくざを生み出す構造があるのであって、反対に組はつくろうとしてできるものではない(P143)
子分たちに「あれをせい」「これをせい」と、いちいち指図する小物にわたしはなりたくない。言葉で教えるのではなく、わたしの態度、日常生活、会話のはしばしから学び取らせる必要があった(P166)
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[ 内容 ]
やくざ人口八万人のうち、約半数が山口組系である。
熾烈を極める警察の取締まりのなか組織は揺らぐことがない。
そもそも、やくざはなぜ存在するのか?
山口組とは何なのか?
神戸の小さな組が最強軍団に成長した背景とは?
山口組九〇年の歴史をたどることで日本社会の深層をえぐりだす。
いま格差社会の波と暴対法下の重包囲網をまえに、山口組は少数精鋭化への道を歩み始めたともいわれている。
巨大組織の歴史と現在、今後を展望する。
[ 目次 ]
序章 ヤクザとは何か
第1章 六代目体制の衝撃
第2章 山口組誕生と近代やくざ
第3章 三代目と全国制覇
第4章 カリスマなきあとの分裂抗争
第5章 バブルと暴対法の時代
第6章 山口組はどこへいくのか
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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現在の6代目まで山口組の歴史が網羅できる格好の書。
基盤を作り上げたことも凄いが信念を持って警察に抵抗し組織を維持した3代目のカリスマ性は尋常ではありません。