銀行収益革命
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銀行収益革命 なぜ日本の銀行は儲からないのか
目次
- 第1章 「銀行収益革命」前夜
- 第2章 なぜ日本の銀行は儲かっていないか
- 第3章 収益目標設定とシミュレーション
- 第4章 新しい組織・人事・職業人生観
- 第5章 銀行は公器なのか
- 第6章 人を駆り立てる仕組みを考えよ
- 第7章 「国営銀行」はもういらない
- 第8章 合併・再編は収益革命への答えなのか
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紙の本
論理的考察に満ちた良書
2001/05/16 04:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まっくる - この投稿者のレビュー一覧を見る
いまだ明るい声の聞こえてこない日本の金融業界であるが、それに関する本も多数出版されている。残念ながら、それらの本のほとんどが、ポール・クルーグマン言うところの空港経済本の域を出ない。つまり、中身がないのである。
本書はこの点において群を抜いて優れている。著者はマッキンゼイ&アソシエイツのコンサルタントという職業柄、入手した各種情報を同僚の手も借りつつ、優れた分析力で考察を進めていく。そして、類書と比してここが最も重要なことだが、現実的な改善策を提示していくのである。本書の帯には『利益3倍、経費25%減、資産55%減』とあるが、これが決して荒唐無稽なものではないことは、読者にはすぐにわかるであろう。
本書で提示される数字は誰でも入手可能なものから考察しているので、正確性に疑問を感じるかもしれない。それを元に出された結論には納得しかねるかもしれない。
しかし、著者ほどの名が通ったコンサルタントならば、各銀行が未公表としている数字も入手しているはずである。公表はできないものの、それを念頭に置いているはずであるから、大体において間違ってはいないであろう。
しかし、これが総論でしかないことも事実である。銀行業界全体としての進むべき方向を明確に提示してはいるが、各行に踏み込んでいる点はない。守秘義務に触れない程度でも良いので、もう少し各行の内情を示しつつ筆を進めて欲しかった。その点を考慮すると、本書の主張の全てをそのまま受け入れることはできない。各行にあわせてアレンジするのは読者の役割である。
本書には銀行業界を論ずるにあたっての論点がコンパクトにまとめられている。そして、著者なりの結論もしっかりと記述されている。おおよそ金融に関わる全てのものは、本書を一読しても損はない。特に、銀行業界に興味を持つ学生は、本書を自分なりに考察しなおしてみると良いだろう。
紙の本
2000/3/13
2000/10/26 00:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:日経ビジネス - この投稿者のレビュー一覧を見る
不良債権危機から脱出するために銀行に税金を投入した効果が出たのか、株価急落で信用力が低下し、日本長期信用銀行が破綻する引き金になった1997〜98年に比べると、金融システムは落ち着きを取り戻したかのように見える。だが、一連の混乱を乗り越えて日本の金融システムは変わったのか。残念ながら、著者が提示している答えはノー、である。
銀行の収益力は依然として脆弱だからだ。企業向け融資では貸し出しリスクとリターンが見合っていないし、手数料やサービスの採算管理すらできていないという。長い間、自動的に利ザヤが取れる規制金利時代を過ごし、金利自由化後も護送船団行政で大蔵省に守られてきたツケが、たたっている。著者は、邦銀が収益力の面で米国やドイツの銀行の平均値に達するには、利益を3倍、コストを25%減、資産を55%圧縮する必要があるという。ということは弱い銀行の淘汰はまだまだ進むということか。
収益力ある強い銀行をメーンにできるかどうかは企業にとって重要な関心事。銀行マンだけでなく、銀行の選択眼を磨きたい企業経営者にもお薦めの1冊だ。
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