紙の本
とてもリアル
2013/12/19 03:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にょにょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時起こった事件の地図や、場所や人物などの写真、年表など詳しく書かれているので読んでいてそら恐ろしく感じるほどです。自分にとっては貴重な一冊となりそうです。
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小説より怖い事実を検証
小説"羆嵐"でも有名な三毛別事件の検証本。事実であることを色々な資料、聞き取りを並べ、再確認する構成になっている。小説は怖がらせるが、こちらは怖くなる。
人間の方が野生より怖いが、野生が怖いのは結構大事なことだと思う。
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およそ100年前の日本で本当にあったヒグマ食害事件のノンフィクション。エゾヒグマ百科の著者が執念で調べた三毛別羆事件。
事件生存者や当時を知る人の生々しい声。
吉村 昭が「羆嵐」の参考資料にしている。
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吉村昭さんの「羆嵐」から熊つながりです。元北海道庁林務官が書かれた本、ということでプロの物書きの先生方の書いた本とはちょっと違う感じですが、私はこっちのほうが面白かった。抑えきれない自慢話がちょっとだけ入るのも微笑ましい。
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獣害被害最大の惨事を記録したもの。ヒグマによって、7人もの命が失われた。
自然と離れがちな私たちにとっては、クマは愛らしい生き物である。しかし、その習性を知らずにいることで、とんでもない事件に発展する。この事件を人ごとのように捉えず、野生に対する認識を改め、自然の中へ踏み込む際には、確実な知識をもっておきたいところである。
さきに吉村昭の「羆嵐」を読んでいたので、記録的な文体は物足りなく感じたが、事件後の動きなどを知ることができる貴重な書である。
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怖い。只管怖い。羆ほんと怖い。
でも動物園でのんびりしているクマしか知らない私達は、プーさん可愛いとか言ってる私達は、それもちゃんと知らないといけない。
そしてこの事件も、自然と生きる為に忘れてはいけない事件です。
風化しない事を願うのみです。
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日本、いや世界の熊害(ゆうがい)といえば、大正4年に起きた北海道は三毛別の熊害に勝るものは無いんじゃないかという…。
何しろ、たった2日で部落の6人(胎児を入れれば7人!)が次々とただ1頭のヒグマによって惨殺、食べられたのだ。
熊襲来の模様は余りに残酷で、その場に居合わせて生き残った少年の心情を考えるにどれだけの深いトラウマとなったことか、想像もつかない。
本書は林務官を勤める筆者が、事件から46年も経ってから当事者たちに証言を取った迫真のドキュメンタリーである。
この事件を私が知ったのは、吉村昭「熊嵐」によってであった。吉村昭は綿密な取材に基づいているものの、小説は小説なので、事実とはどの程度違うのか?と疑問に思っていた私にとって、本書は非常に貴重であった。
やや意外だったのだが、本書の出版は、吉村昭や戸川幸夫(「熊風」)に先行し、2人の作家がそれぞれに本書に刺激を受け、本書の著者も作品に好意的だった。
それにしても、たった1頭のヒグマに対して人間がいかに無力かというのを思い知らされる事件である。
この事件がそんなに拡大したのは、開拓地である三毛別の住民がそれまで熊が出没していたのに対策を取っていなかったこと、熊の性質を理解していなかったことにあるようだ。
熊というのは実際とても執念深く、一度自分の所有物と認識すると執拗にそれを追うらしい。だから、獲物を置いた場所にまた戻るし、自分のものだと思えば取り返しに来る。
↓この事件はまさにそれが教訓になりそうだ。
http://yabusaka.moo.jp/hukuokadai-higuma.htm
事実を淡々と記した本書はとても貴重で、資料的価値が大きいと思う。冷静な中に関係者の惨劇を予想するかのような一致を変に不思議がっていたりする面がちょいと残念。
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三毛別羆事件のノンフィクション。
自身も学生時の実習で起きた熊害事件で友人を失う体験をもつ著者。
三毛別羆事件の調査には生存者や遺族、関係者へのインタビューと僅かばかりの新聞資料を求め4年以上を費やしたという。
非力な農作民たちが身の丈2.7メートルに及ぶ巨大な羆に突如襲撃され一方的に繰り返し蹂躙される凄惨な描写はただただ恐ろしく、身の毛がよだつ。
随所に挿入された現地の地図や生存者の写真、家屋の見取り図は事件の現実味と読者の想像を一層膨らませる。
本作の元となる「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」が木村氏により発表されたのは事件発生から50年を経た昭和39年。
三毛別羆事件はようやく注目を浴び、小説化されドラマラジオ演劇化されて大衆に広く知られるようになり、また現地に資料館が建ち観光地となり今日に至るまで事件や羆の恐ろしさを伝聞する切欠となった。
木村氏が三毛別羆事件を調査し発表していなければ事件は風化し忘れ去られていたかもしれず、その功績に敬意を表したい。
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1915年12月北海道苫前村。俗に『三毛別事件』と呼ばれるヒグマによる食害事件のを記録したドキュメンタリーです。開拓地を襲い、死者8名を出した巨羆の恐ろしさが存分に描かれていて、残酷な場面が多いです。
実を言うと、北海道では札幌の都市圏でも郊外に行くと時々熊が出没したと言うニュースがローカルのニュース番組で時々流れることがあります。僕も先日、別な用事があって博物館に行った際、そこに展示されているヒグマの剥製を見る機会があったので、いい機会だからとじっくり見てみることにしました。
そこにあるのはまさに動物の世界の『王』にふさわしい存在で、その巨大な体躯に始まって、大きな爪や最大の武器である前脚の爪の一本一本が鋭利な刃物のようで、それが片方の手につき5本。これで思い切り振り回されたらスパッと行くんだろうなぁ、と思いながらしばらくの間その剥製をまじまじと眺めておりました。
本書は「ヒグマによる史上最大の食害事件」と後に記録されることによる1915年12月北海道苫前村で起こった『三毛別事件』の発生から収束までの様子を克明に記録したドキュメンタリーです。僕は以前この本を読んだまましばらく放って置いて、今回再読でこれを読みましたが、いやはや…正直ここに挙げておいてこういうことを書くのはなんなんですけれど、残酷な描写がかなり多いのでそちらの方面が苦手だと言う方は読むことを控えられた方がよろしいのではないかと思われます。
それにしても読み返して思ったことは熊の持つ残虐性と獲物に対する執拗なまでの執着を見せる姿でした。隠しておいた『獲物』を村の人びとが回収して葬式をしているところに押し入って奪い返しに来るところを見ると、つくづくそう思います。さらに、一度人間の味を覚えた熊というのは次々と人間を襲うので、なにが何でも見つけ出して討ち取らなければならないらしいのですが、本当にそう思います。
やがて、この熊を仕留めるために『プロ』が立ち上がって仕留めにかかります。そのときの描写は本当に淡々と事実を書いておりますが、しとめた魔獣を郷に下ろしてきたときに恨みを持った人びとが熊を滅多打ちにしたり、中には肛門に棒を差し込んだりしたものもいたそうで、愛するものを突然うばわれたものの憎しみが伝わってくるようでございました。
熊を解体する際に、胃の中から出てきたものは喰らった人間の『名残』とも言うべきもので、それが次々と村人たちの『予言』どおりに出てくる場面が本当に生々しかったことをここに付け加えておきます。
僕は現地に行ったことはありませんが、今でも現場に葉そのときの悲劇を忘れないために、熊が民家に押し入っていく場面や、事件の被害者を悼むための石碑が建立されているようで、機会があればぜひ、一度足を運んでみたいと思っております。
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自然をなめちゃいけない。人間って、本当に無力な生き物だ。クマこわい。へたなホラーやスプラッタより、よっぽど怖い。
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そんな訳で懲りずに『羆嵐』の続きで読みました。こっちはドキュメント物だから襲われている恐怖感や無残さは客観的だけど、こういう被害を丹念に調べ上げてくれる人がいるからこそ風化しないのだ。
でも何度読んでも「切り株が一個多い」のシーンでうひいとなり、その…胎児が生きたまま掻き出されていたって貴方…
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資料用① 熱意ゆえ、事件のことを資料付きでことこまかに語ってくれたのは嬉しかった。ただ、期待よりはうすっぺらい気がしちゃったかな。
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図書館で読みました、吉村さんの「熊嵐」のもとになったノンフィクションでした、取材は丁寧で自然の羆の凶暴さと人間の弱さがひしひしとつたわります
私も昭和53年から58年まで北海道に憧れ、北海道熱にうなされて将来は永住するつもりで寝袋1つで放浪していました
国木田独歩を一冊もってのさすらいでした。
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日本最大の獣害事件と言われる、1915年に北海道苫前村六線沢の開拓小村で起こった「三毛別羆事件」。わずか数日間の間に死者8名を出し、人々を恐怖のどん底に叩き落とした恐ろしい事件である。
が、実は、その詳細が公の場で発表された形跡は極めて少ない。当時、いくつかの新聞がニュースとしてこの事件に言及したが、曖昧な部分が多くあまりハッキリしていない。その後、この事件をもとにした吉村昭の『羆嵐』がメジャーになってしまったため、人々の印象は次第にその小説の内容に移ってしまい、オリジナルとしての事件の詳細はより一層茫漠としたものになってしまった。
この本は、昭和36年に林務官として事件地に赴任した著者が、事件当時の資料を丁寧に調べ、存命者にインタビューを行い、可能な限り正確さを求めてまとめあげた一大ルポである。実際に現地に赴いて跡地を確認し、写真も撮り、地図上で家屋の位置を示したりと、かなり綿密に調査が行われていることが分かる。(とは言え、著者がこの調査を始めた時点で事件後46年が経過しており、存命者が多く残っていたことは幸いではあるものの、もう少し早くにこのようなルポが生まれていてくれればと思わずにはいられない。)
小説ではないので、具体的な事実を列挙していく形式だ。だが、そこが良い。無駄な装飾がないので、良くも悪くも恐ろしい事実が淡々と読み手に伝わってくる。また、起こった出来事から分かる特徴というか、反省点についても筆者の視点で指摘してくれているので、北海道の風土に馴染みが薄い読者でも考えを巡らしてなるほどと後追いすることができる。
読み終わった後は、ついつい、いまこの部屋に件の羆が入ってきたらどう逃げよう、などと、無意識のうちにシュミレーションをしてしまう自分がいた。それほどにインパクトの大きい一冊である。
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以前『羆嵐』を読んだことがあるので、三毛別羆事件のことは知っていたのだけど、こちらの方が存命者へのインタビューや資料をあたっていて詳細。
自分も北海道の田舎育ちなので、遠足の前には先生から羆にあったらどうすればよいのかのレクチャーは毎年受けていた。
絶対に騒いではダメだったはず。今遭遇したら騒いでしまいそうなので改めて気をつけなければいけないと自戒した。
羆は殺し方がヘタだから本当に怖い。獲物の息の根も止めないまま食べる乱雑さ。半殺しで土に埋めるのもやめてほしい。