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エルサレムから来た悪魔 下
著者 アリアナ・フランクリン , 吉澤康子
ケンブリッジの町で相次ぐ子ども殺しを解決し、ユダヤ人への迫害を食い止めるべくシチリア王国からやってきた、検死を専門とする女医アデリアと敏腕調査官シモンの一行。勝手の違う生...
エルサレムから来た悪魔 下
エルサレムから来た悪魔 下 (創元推理文庫)
商品説明
ケンブリッジの町で相次ぐ子ども殺しを解決し、ユダヤ人への迫害を食い止めるべくシチリア王国からやってきた、検死を専門とする女医アデリアと敏腕調査官シモンの一行。勝手の違う生活と人々の反応に戸惑いつつも、彼らは着実に真犯人へと迫っていた。だが、犯人からの残忍な一撃が一行を襲う。失ったものの大きさに打ちひしがれるアデリアだが、真相解明のためにふたたび立ち上がる。巡礼の一行にまぎれていた忌むべき殺人者を、白日のもとに引きずり出すために。12世紀イングランドの息づかいを伝える、CWA最優秀歴史ミステリ賞受賞作。
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紙の本
最後のヘンリー2世を見てたら時代劇を連想しました
2017/05/20 21:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
12世紀のイングランドを舞台にした歴史ミステリ。アデリア、シモン、マンスールの外国人3人組がイングランドに派遣され、そこで起きている子供ばかりを狙った殺人の犯人を捕まえるために奔走します。
残り100ページを残して犯人が死んで、まさか残りのページでアデリアとロウリー卿の恋愛を書くのかと思っていたら、まさかの苦境がやってきます。アデリアが危ういときにやってきたのがまさかのヘンリー2世。物語冒頭以来の登場です。イングランド王でありながら気さくな話し方をするおっさんです。ヘンリー2世がアデリアを苦境から救い出すシーンは見ていて小気味がよかった。アデリアとロウリー卿の関係はありきたりなハッピーエンドではないですが、続編が気になる終わり方となりました。
紙の本
歴史と謎と冒険とロマンス。全ての要素がバランス良く含まれた物語。
2011/07/23 17:34
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻ではまだ検死から死因や死亡時期、殺された場所などを特定するという、ミステリ要素があった。けれど、下巻では冒険ものになってしまったかな、という印象。
上巻の最後でアデリアをイングランドへ連れてきた良き相棒・シモンが死亡。果たして事故なのか殺人なのか。そのどちらかを示す証拠を見つけたのは、アデリアが犯人ではないかと疑った税官吏のロウリー・ピコウであった。
シモンを失ったアデリアは、幼いユルフとお守りの犬、そして驚くことにロウリーを相棒として連続殺人鬼に向かっていく。
ユダヤ教が弾圧されているこの場所では、ユダヤ人であるシモンをその信じるべき神の元へ導くということが非常に困難なのだ。ミステリよりも、その時代の背景に興味を惹かれた。
何よりも力を持つ聖職者たち。時には王に刃向かうことも。裁判においても、その者がキリスト教の神を信じる者か否かが重要になってくる。どれほど不利な証拠が揃っていても、その者が聖職者であれば証拠そのものを信用できない、とする。逆に、神を信じない者に対しては、どんなに無実である証拠が揃っていても、ありもしない仮説が信用に足るものとされるのだ。
最後には勝利すべき者が勝利するわけだけれど、アデリアは運が良かっただけだとしか言いようがない。
さて・・・。
私としては女性検死官・アデリアは最後まで自分の仕事のみに目を向けるストイックな女性であってほしかった。けれど、下巻の後半はほぼ彼女の恋愛ストーリーで占められている。ある時には自分の医者としての仕事を投げ出しても彼を求めようとした。少し失望したのは私だけだろうか・・・。
こういうストーリーも、今後のシリーズ化に向けては必要だったのかもしれない。
ミステリとしてはかなり物足りない小説だった。殺人鬼も、論理的な思考に基づいて追い詰めていったわけではないし。ただ、歴史もの、冒険もの、恋愛ものの要素を全てちょうどよいバランスでミックスさせた小説である。一度、その世界に入ってしまえば、なかなか抜け出せない。その魅力的な世界観が大切。
次はシリーズ第二弾「ロザムンドの死の迷宮」を手に取ろう。
アデリアには娘がいるらしい。
さて、どういう物語になっているのか、楽しみだ。