電子書籍
没入感
2023/04/01 23:11
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投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりにものすごい作品に出会ってしまいました。まるでノンフィクションの様な表現力。幼少期の虐待を受ける場面では耐えられないほどの痛みを、里親が病死する場面ではこの世の終わりの様な孤独感をまさに実体験の様に読み進めました。終盤の裁判中主人公の気持ちが激しく入れ替わる描写もとてもリアルでした。善と悪、平等と不平等、幸福と不幸など、この作品を通して深く考えるきっかけになりました。
紙の本
新たな視点
2017/03/02 09:52
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投稿者:soar - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段,現実で起こる事件などでは,ほとんどの場合,被害者の視点から報道され,被害者側の立場から考えることが多い。
この小説の主人公は虐待を受けて育った。やがて良き里親に巡り合い愛情を得るが,今度は里親に対する深い愛ゆえに殺人を犯してしまう…。主人公の視点は,虐待を受ける視点から裁かれる視点へと変わりゆく。
日頃我々が立つの視点とはまた違った,新たな視点から考えることを可能にしてくれる小説。
ところどころ,思わず本を閉じたくなるような描写もあるものの,すごく考えさせられる,とても良い小説だと思う。
紙の本
よかった。
2016/11/09 11:37
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投稿者:デンパチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
石田衣良は文章力がたかい。するすると読める。ページ数はそこそこあったけど、割と一気に読んでしまった。
紙の本
ハッピーエンドなのに悲しい
2016/02/16 12:59
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投稿者:ゆい - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初は救いようがなくて、読んでいてどんどん気持ちが落ちていき、本当にこういうことがないことを祈りつつ読み進めました。途中少し光がさしてやっと幸せな人生を送ることができそうなときにまたどーんっと落とされて。
軽い読み物ですが、読んでいて最後まで重く、悲しいお話でした。少し、元気のあるときにさらりと電車くらいで読んで欲しいです
紙の本
しんどい
2020/12/27 19:14
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投稿者:4mh - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み進めるのがしんどい。数日かけて読みました。それくらい気力がいる。破滅へと向かっているのがわかるから穏やかな描写が、脆く感じてしまう。終盤は、救いを求めながら読みました。
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世界は限りなく揺るぎなく人間の都合と関係なく平等なんだと改めて思う。どうすればよかったのか、決して出ないこたえを、考えざるを得ない
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何度も何度も繰り返されるのは、
死んだ人は、決して生き還らない
ということ。
この事実が何度も繰り返され、当たり前の
ことではあるのに、本当にそれが重みを
持って胸に迫ってくる。それが怖いくらい
だった。
北斗の実母に関しては本当にもやもやした。
愛していたのなら、なぜ虐待に加担したのか
という怒りと、いや、この人だって、あるいは
夫だって、暴力によって歪められた人間なのだ、という擁護の思いで、心が引き裂かれた。
ちょっと違和感を感じたのは、北斗の容姿に
ついて。イケメンであるという殊更な描写は
必要だったのでしょうか。そこだけちと、疑問。
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虐待を受けながら育つ子供の、心と体を防御する反応が哀しい。閉じた心、その殻を柔らかくして開くのは簡単じゃない。端爪北斗は裁判の中でも自分を見つめ続けていた。少しでも自分を信じられるようになって欲しい。そして信じられる大人もいることを信じてほしい。
辛い物語です。でも、目をそらしてはいけない物語でした。
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600P近い長編でしたが一気読み.自身の幼少期と重なり胸が痛くなった.もし僕が全く同じ境遇であったならと考えずにはいられない.救いのない物語ではあるけれど,読み手に問いかける良い作品だと思う.
以下あらすじ(背表紙より)
両親から激しい虐待を受けて育った少年、北斗。誰にも愛されず、愛することも知らない彼は、高校生の時、父親の死をきっかけに里親の綾子に引き取られ、人生で初めて安らぎを得る。しかし、ほどなく綾子が癌に侵され、医療詐欺にあい失意のうちに亡くなってしまう。心の支えを失った北斗は、暴走を始め―。孤独の果てに殺人を犯した若者の魂の叫びを描く傑作長編。第8回中央公論文芸賞受賞作。
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石田衣良の作品は自分には若すぎると思うようになって、文庫本ですら買うのを躊躇うようになっていたけど、「全力疾走」というポップを見て購入。
行き着く暇もないほどの全力疾走感。
読んでいるだけで息切れしそうになった。
読むのも辛くなるような虐待、綾子お母さんとの束の間の幸せな時間、そして・・・。
残虐な事件を起こした加害者の人生に同情する余地がある場合、被害者は泣き寝入りするしかないのか。
そもそも死刑の是非は。
色々考えさせられた10日間。
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両親から激しい虐待を受けて育った少年、北斗。誰にも愛されず、愛することも知らない彼は、高校生の時、父親の死をきっかけに里親の綾子に引き取られ、人生で初めて安らぎを得る。しかし、ほどなく綾子が癌に侵され、医療詐欺にあい失意のうちに亡くなってしまう。心の支えを失った北斗は、暴走を始め--。孤独の果てに殺人を犯した若者の魂の叫びを描く傑作長編。第8回中央公論文学賞受賞作。
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うーん、好き嫌いで言うと、好きじゃない。
児童虐待ものが好きじゃないし、勧められたんじゃなかったら、読まなかった。
前半は何度も吐気がして投げ出しそうになった。
後半になって法廷ものとして読みはじめたら、結構面白かったかな。
万が一、人を殺してしまったら、裁判受けて刑務所に入る、というような、あっさりしたものではないのだ、と今更ながら知る。
もう自分なんて、どうでもいいと思っても、そんな簡単にはいかない。
まさに魂を裸にされるうんざりするような裁判の過程が待っている。
例え、めんどくさくなって、ヤケを起こして人を殺したとしても、決して事態は簡単になるわけじゃなくて、さらにもっともっと面倒くさいことになるんだ、ということをじわじわ理解させるのにぴったり。
被虐待児童じゃなかった人にとって、児童虐待ものを読む理由ってなんだろう。
被虐待児童への理解?
恐いもの見たさみたいなちょっとゲスな感情がゼロだとは言えない気がする。
でも被虐待児童だった人にとっては、意味のある読書になるかもしれない。
あと・・・くだらないけど気になったのは。
拘置所?での入浴時間。
時間が15分で短い、みたいな記述があったけど、
私、いつもそのぐらいなので、え、何、余裕じゃん、と思ってしまって、気が抜けた(笑)
私は髪の毛ロングだけど、短髪の人なら頭洗って体洗うのに15分もかからないよ。
せっかくの緊張感が台無しになるからやめてほしい。
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どんな事情があろうとも、過去にどんな背景があろうとも、身に覚えの無い人を殺す事は許されない。殺された人の身内に取っては、犯人が死刑になっても悲しみは続く。死刑ではなく一生社会に貢献する為の活動を強制されなければならないのではないか。もちろん、人間としての最低限の生活は保証されなければならない。
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常々、石田衣良の文章は水のようだと思っていた。「池袋ウエストゲートパーク」を読めば、知らない筈の池袋の街がまなうらに浮かぶ。「娼年」を読めば、春を売ることの誇りと喜びに満たされたかのような気持ちになる。それほどまでに彼の作品はわたしの中へ沁み渡るのだ。
そのせいか、本作を読むことはたいへんつらいものでもあった。両親による北斗への虐待がまざまざと思い浮かび、自らの腕に酷く赤い痣が浮かび上がってくるような錯覚に襲われた。ああ、北斗、お願いだから、生きて、北斗。帯やあらすじで北斗が後に殺人を犯すことを知っていたわたしは必死に願った。生きて、どうか生きて。どうか人を殺めずに済むだけのしあわせを見つけてくれ、と。
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友人に勧められ読んだ。死刑がテーマの本はかなり読んでるが、想像していた通りの内容で、正直がっかりした。私自身は、残酷な人間だと言われるかもしれないが、犯罪者の過去がどれほど悲惨だったとしても、それはそれ。人を殺した罪は重い。
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決まっていることを受け入れる。
それも勇気。
わからないことは、わからないままがいい。
知らないでいることも幸せのかたち。