紙の本
痛々しいバック
2017/05/29 21:27
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作よりも過去の回想シーンを多く描き、イライジャとの因縁を詳しく語たりつつ、当時のアメリカの人種差別の問題にも触れています。前作の「もう年はとれない」で弾丸を食らってしまったバッグですが、歩行器を手放せなくなってしまいました。どんどん弱っているにもかかわらず常に強気でいるバッグは尊敬できるけど、どこか哀愁が漂ってくる。
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爺対決!
2015/08/30 01:44
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投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る
メンフィス署の元暴力刑事バック・シャッツ。二次大戦ではアイゼンハワー将軍のもとで従軍したがヨーロッパで捕虜となり、ナチに囚われて強制収容所送りになった過去を持つ。そして引退後30年余り、強烈な口の悪さと偏屈さで周囲を困惑させ続けるヘビースモーカーの87歳が、過去のしがらみから事件に再び巻き込まれる・・・という設定は前回と同じ。
時は2009年。バックは前作から一つ年を取って88歳に。
さすがにこの年代になるといきなり数年飛ばせないようで、時間経過の刻みは細かく、おそらく半年後くらいの設定だ。
前作で集中治療室から(諸々あって)奇跡の生還を果たしたバックは、妻のローズとともに自宅を売却して老人ホームで生活している(このホームの名前が「ヴァルハラ・エステート」でクスッと笑える。もちろんバックが毒を吐いている)。日々辛いリハビリに励んで三か月以上過ぎるが、いまだに歩行器なしでは歩き回ることもままならない上、認知症までが進行中。前作以上に心身厳しい状況だ。
ある朝そんなバックのもとに、過去の未解決事件の犯人が現れる。
1965年にメンフィスで起きた大暴動に乗じて、銀行から巨額の現金を奪って逃げおおせた大泥棒。現在80歳。アウシュビッツの生き残りだ。
彼は何故かバックに「命を狙われている。身を守るために手を貸してくれ」と頼むのだが、案の定こいつが曲者で・・・。
話は2009年現在と1965年を往復しながら展開していく。
そして元暴力刑事ジジイVS大泥棒ジジイの息詰まるやり取り。
バックが終始一貫吐きまくる悪口雑言もますますヒートアップ。
拳銃と悪口雑言だけを武器に、まともに歩けもしない88歳が事件解決に向かう。
クライマックスは「入れ歯対決」と「歩行器勝負」だ(笑)!
架空ではあるが連想できる史実を踏まえた過去が、現在の事件と交錯しながら進行していく仕掛け。話は前作よりもひねりが効いている。行き当たりばったりな展開も相変わらずだが、このシリーズの場合はむしろB級ないい味わいになっているような気さえして楽しい。
老人自虐ネタを満載にして毒の効いた言葉を吐き続けるバックなのだが、モデルは作者の実の祖父との由。話が変にグダグダと喜劇的にならず、むしろ捻った笑いの中にキリッとした爽快感があるのは、作者の祖父への深い愛情ゆえだろう。
結局ナンダカンダ言って、この爺はとてつもなくカッコいいのだ。
今回の展開だと第三作もありそうなので、次を楽しみに待ってます。
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88歳のメンフィス署の元殺人課刑事バック・シャッツ。歩行器を手放せない日常にいらだちを募らせる彼のもとを、因縁浅からぬ銀行強盗イライジャが訪ねてきた。何者かに命を狙われていて、助けてほしいという。やつは確実になにかをたくらんでいる。それはなんだ。88歳の伝説の名刑事vs.78歳の史上最強の大泥棒。『もう年はとれない』を超える、最高に格好いいヒーローの活躍! 解説=川出正樹
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帯の「前作『もう年はとれない』を上回る年齢と活躍!」を見た瞬間、脳内に「年齢と」「年齢と」「年齢と」がエコーして笑いがとまらなくなった待望のシリーズ第2弾。元刑事で88歳のバック・シャッツは身体に受けた大ダメージが原因でいよいよ自由がきかなくなり、住み慣れた我が家を離れて妻と施設に入った。じゃあおとなしく温和になったか? とんでもない。相変わらず許せないものは許せず、隙があれば外出に357マグナムを携えようとする彼は、突然現れた昔の知人の頼みをきいてしまったものだから、またしても厄介なことに。頑固じじいの不屈の精神と意外な柔軟性。バックの状態はますます厳しくなっているが、いつまでも前回を上回る年齢で続けてほしいシリーズ。
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更に年を重ね88歳のハードボイルド元刑事。
前回の後遺症で、更に、現実を見つめ、諦め、受け入れなければならない事が増えているにも関わらず、元気。
ありのままの自分を受け入れる事で、こんなに快活(?)になれるのだ。
受け入れられないから悩み、苦痛となるワケで、受け入れてしまいさえすれば、それが当たり前になり、悩む必要もなくなる。
バックシャッツはスゴイ。なかなかできる事ではない。
そんな、出来ない事が増えた彼なのに、事件は彼を放っておいてはくれないのだね。
どうやらこれで終わりではない様子。
更にさらに年齢を重ねるであろうバックシャッツが、何を諦め、受け入れて、それでも、自分の正義の為に突き進んでいくのか、気になるところであります。
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アメリカの作家ダニエル・フリードマン、2014年発表の小説。アメリカ南部、メンフィスを舞台にしたクライム・サスペンスのシリーズ第2作。主人公は88歳の元刑事、大けがのリハビリ中でしかも軽度の認知症という老人の自虐趣味満載の作品ですが、描いているテーマは非常に重くハード、意外に読み応えのある作品でした。
老人ホームに入居してリハビリ中の主人公バックのもとに50年前取り逃がした伝説的銀行強盗イライジャが助けを求めてやってきます。知り合いの刑事に自首して保護してもらうよう段取りを付けるのですが、刑事の車で警察へ向かう途中ギャングに襲われイライジャは拉致されてしまい・・・。
50年前の銀行強盗の話と現在の話が交互に語られ、更に合間合間にユダヤ系である主人公の家庭の問題や社会の問題が語られます。
人種差別や権力の犯罪等、非常に重いテーマにユダヤ系の立場を明確にした上で真っ向切り込んでいて、しかもユーモアたっぷりの上質のエンターテインメントに仕上げている、なかなか見事です。
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超後期高齢者バック・シャッツシリーズ2作目。少し中だるみしてるかなという感じがしなくもないけど、皮肉の効いた掛け合いが相変わらず読んでて楽しい。より老いていく描写がリアルで、心に追いつかない身体が切なくもあり。孫の活躍は控えめ。
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88歳の元刑事に何ができるの?と思ったら‥‥若干の介護が必要な状態にもかかわらず「なんてタフな爺さんなんだ!!」と思う。認知症っぽい症状もあるのにねぇ。精神的なタフさはいつも持っていたいな。
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当たり前だけど、前作よりも歳をとって、前作で受けた傷のせいもあって、身の回りのことはあれこれ不自由で、だけど、やるったらやる!というか、誰も止められない感じが健在でうれしい。
お話の面白さとは別に、人種にまつわる様々なことをもっと真剣に知ろうとしないとだめだな、と思わせてくれた本でした。
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『リンカーン・ライム』シリーズのリンカーンのように出来事を記録し検める主人公は88歳でアルツ気味
忘れがちな能力なのでリンカーンとは違う動機だけど結果、再確認して暴力&解決を導くことができる暴君老人の元刑事
シリーズ物とは知らず2作目から
裏表紙に書かれた「88歳の伝説の名刑事vs.78歳の史上最強の大泥棒」に偽りなし
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大怪我をして歩行機が手放せないのにバックじいちゃんのやることはますます過激になっている。
体が弱っていくことへの苛立ちとあきらめ、息子を失った悲しみは前作も描かれていたが、今回はユダヤ人への偏見に対するアメリカ社会の不条理が物語に奥行きを与えている。
主人公のモデルである作者の祖父についてのあとがきを読んで胸が熱くなった。
バックの息子が死んだ理由がとても気になる。続編の翻訳もぜひお願いしたい。
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シリーズ二作目。より不自由になった身体をおして、因縁の怪盗と対峙するバック。クチの悪さは少し減った気がしますが、人種差別を絡めた展開はシリアスで面白かったです。ローズとのやり取りは切なさも感じて良かったです。
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ダーティハリーvsゴーストマンか?シリーズもので主人公の死でラストを迎えるって、モース警部があったけど、このシリーズは何とか引き延ばして欲しいな。定年退職したリーバス警部も復帰したね。頑張れ、おじいちゃん。それにしてもバックってやり方自体は悪徳警官すれすれに思える。欲得ずくではないから、反感は抱かないけれど。
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バックが帰ってきたぁ!
と嬉しく思ったけど、期待が大きすぎたのか、前回ほどの楽しさがあまりなかったよ……。テキーラが全然出てこなかったせい?いなくなって初めて彼の存在の大きさを知るみたいな。あのふたりの掛け合いが好きだったし。
でもまだ続いてるみたいだから読みたい。ローズも自己主張してきたし。ブライアンの死因もまだ謎のままだし。
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元刑事バック・シャッツのシリーズ2作目。
88歳になったバックをまだ事件はほうっておかない!?
前作の事件でさらに身体は衰え、とうとう妻とともに介護つきのアパートに移ったバック。
若い頃にはダーティ・ハリーばりの力づくで行動するタイプの刑事だった。
前に取り逃がした因縁のある、銀行強盗イライジャが訪ねて来る。こちらももはや78歳だが、何者かに命を狙われているから、助けてほしいというのだ。
何かをたくらんでいると怪しむバックだが‥?
50年前(!)の事件と、現在が交錯。
プロの犯罪者との対決だけでなく、警察組織の闇も描かれます。
ユダヤ系を排斥するような層が、警察の上層部に多かったとは。
とても良い妻だったローズにも、知らないことがあったのですね。
バックもメンフィス署では伝説的だけど、冗談めいて語られるような存在。実際の身近な人間には迷惑がかかることもあっただろう。
幼かった息子に誤解されてしまうのは哀しい。
そのあたりのことが1作目より深みを増して語られ、老いてもまだまだ語りつくせそうにない勢い。
長く生きているのも伊達じゃない!
バックならではの良さと味わいを発揮して欲しいです☆