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読みやすい中短編小説がつまっていた。
表題作の反人生。わたしは結構、すき。
夫に先に逝かれ、バイト先の若い女の子に恋心をいだき、我が強く、ときに臆病な荻原萩子が愛らしかった。
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『反人生』お金のためでなく働くなんて優雅。気に入ったお店で気に入った女の子と話ができる、それが萩子さんの幸せなのね。
『T感覚』10〜4月まで湯たんぽ使用。かなりの冷え症ね。冷たいつま先があたたまる感覚ですか。
『越境と逸脱』自分でもできそうなんだけど、実現するのが難しそうなこと(この場合、海外ひとり旅)、それを男友達の経験を聞くことで満たす。あぁ、そんな手もアリか。そんな友だち関係だったのに、付き合いが面倒になる時期がやってくるのね。
『社会に出ない』友人に気にかけてもらえる存在か〜。どんな人だったんだろう?
すべてをさらけ出さず、謎の部分があることが魅力?
自宅が見つからなかったのも良かったな。これで会えてしまったらおもしろくないもんね。
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今年はたてつづけの刊行がとっても嬉しい。
そして、ナオコーラさんがつよい想いを持って文章をつむぎだしているのが本当すごく伝わってくる。
今回も、ともすればシニカルな、変わっているといわれるような女性たちが出てくるけれど、彼女たち、めちゃめちゃ格好いい。
装丁も相変わらず最高だなぁ。
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中短編集。性別。結婚観。母娘。友達。「社会にでない」がツンと胸にきた。会いたいのに会いづらくなってしまう寂しさ。諭したりハッパかけたり、そんなことしないから、会いたいよ、という。
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表題作を含む4つの短編集。帯に書いてある、『日常生活に潜む美を見つめ、精神の自由を描く作品集』というのは非常に的を得ている。どの作品も個性的だけど、どこか繊細でもあり、美しさも兼ね備えている素敵な作品たちである。型にとらわれず、自分の思うがままに突き進む姿勢というのも時には大切なのかもしれないと作品を通して感じた。
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前2篇はけっこう好き。しかし後ろ2篇の、男女のグループの存在、可能性、存続、結果、みたいなお話は、今の気分ではなかった。山崎氏はよっぽど学生時代とか、そういう中にいたのかなぁ。わたしは個人的に、そう、文中にもあったように、暗さの肯定や悪の追求、のようなことを文学に求めているんだな。
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ナオコーラさんの短編作品。私の頭がポンコツ過ぎて、全く内容が頭に入っていかない。登場人物達の名前が個性的な方が多くてそれも難解。反人生のタイトル通り、何かに、誰かに対して反発しているというのは解るのですが、やはり独特なので、共感できない部分が多い中、母と娘の短すぎる内容でもよく内容が理解できた作品でした。欲を言えば、もう少し掘り下げて書いて欲しかったです。でも、このページ数だからこその良さ、なんでしょうね。この作品によって、短編4作のページ数のバランスは他では中々無いと思うので、これもタイトルにひっかけているのでしょうかねぇ?
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2015/10/14
「反人生」
「T感覚」
「越境と逸脱」
「社会に出ない」
良かった本ってなんだろう。
一気読みしてしまう本?泣いてしまう本?考えさせられる本?後から何度も思い返す本?
山崎ナオコーラの本はわたしにとって「後から何度も思い返す本」
気を遣わせたくないから辛いことは話さない。情けない自分を見せたくないから友達に会えない。そんな「社会に出ない」にグゥっときた。
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山崎ナオコーラの小説には必ず作家自身のアバターが登場する。もちろんどんな小説にだって多かれ少なかれ作家自身が投影された登場人物は描かれると思うし、作家が登場人物に自身の言葉を語らせることはあるとは思う。ただ、山崎ナオコーラの場合、投影と呼ぶのが慎ましやか過ぎると思う程にそこに山崎ナオコーラ自身の価値観を放つ人物がいるのだ。
もちろん山崎ナオコーラの何を知っているのかと問われれば何も知らないと答えるしかない。それでも文藝でのデビュー以来、小説もエッセイも順々に読み次いで来て見えているものが、この登場人物は山崎ナオコーラだと告げる。そう思ってしまうと読んでいるのが小説だとしてもほとんどエッセイを読んでいるのと同じような読書となってしまう。そして、ああやっぱり山崎ナオコーラだなと思う。
人って誰でも自分一人が世の中から浮いていると感じつつ、強い言葉で言えば迎合して生きているものじゃないかなと思う。サラリーマンなら酔って新橋のレンガ通り辺りで管を巻く時だけ自分自身に戻れた気になるなんていうのは極々普通のこと。でもその些細な違和感を普通の生活の中では誰も気にも止めない。そんな日常を過ごしている中で山崎ナオコーラを読むと、はっとする。彼女の些細な違和感への拘泥は誰しもが見て見ぬふりをするか無意識の内に見過ごしているもの、敢えて感じないように蓋をしているものを覗き込む行為。もちろん作家の表現する言葉を全て真っ直ぐに受け止める程にナィーブでもないし、登場人物が主張していることを肯定出来るものでもない。それでも、やはり、はっとしてしまうのだ。
明日のことは気になるし、明日がくる前提で準備もして置かなくちゃならない。でも今を、いや今自分の感じていることを蔑ろには出来ない。そのジレンマは陳腐なようで実はどこまでも堕ちていく暗い穴の淵に立つ行為。あるいは、現実を、実在するものの積み重ねであると捉えるか、はたまた全ては頭の中のことだと捉えるか。自分自身と呼ぶ存在をアンカーするものは何なのか。頭の中にあるもの以外の存在に自分がどのように見えているかばかりを気にして忘れそうになる自分自身。そんなことを山崎ナオコーラは、何なの躊躇もなく描き出す。少しだけ勇気をもらう。
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夏の光は網戸に葉の影を作るのだった。たくさんの手のような葉はゴーヤーのもので、だが今日はまだ、現実のそれは視界に入っていなかった。頭の中に浮かべている葉とその影の雰囲気が、手に似ている、というだけのことだった。
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2034年、反人生を唱える萩子と死んだ夫と早蕨ー反人生
死んだ母と血の流れーT感覚
異性との友情、憧れ、終わりー越境と逸脱
集まりに来なくなった山崎ー社会に出ない
P116 ニ対一は楽、対話とわいわいは違う、絆を結びたいときは一対一
P130 『友人関係があった』ということを、最後に一緒に確認できて良かった
P170 友だちのはずなのに、いつの間にか、社会になっちゃっていたんだね
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本の存在を知り、真逆の世界や価値観を感じ取ったので、自分に都合の良い、知りたい事しか知ろうとしない習性が人には大なり小なり有るが、あえてそこを広げてみたいという好奇心で反人生を読んでみた。反人生、面白い。人生を謳歌する事へのアンチと言うほど批判している訳ではないけど、こう言うスタンスも有るんだという方の抜けた、私はこうですという表明が感じられた。
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《反人生》
「人生作りには、興味がない」
「むしろ世界を作りたい」
ヒロインの萩子は、一瞬一瞬のきらめきのために頭を使いたい、という刹那主義者。『世界の傍観者』であり、自分の物語は持たない。頭の中で生まれ、頭の中で死んでいくと思っているという。
一方、彼女の好きな人の婚約者は、『人生を作る』という目標を持つ真逆の人物。二人の結婚式をぶち壊し、はたと気づく。世界を見るだけでは済ませられず壊したり、行動したり、人生にあらがうことはできないと。
なんちゅうことを考えとるんや、ナオコーラ。そして相変わらずナオコーラの小説のタイトルは強い。
《T感覚》
母と娘の別れ。死ねば肉体は皆のものになる。
たった4ページだけど、美しい物語だ。
《越境と逸脱》
共感という意味ではこれが一番。
真面目な世界、常識から逸脱するために、男友達とつるむ。「女子会」の議題は恋愛や進路相談、内容のある話ばかりでつまらない。だから越境する。
でも、自分も社会に出て、結婚なんてしちゃったらすっかりモラリストになってるねんな。そして友だちにも変な期待をしてる。「ああ、変わったな」と。
異性に友情は成立するのか?なんてそんな単純な問いかけじゃない。友情は、形を変える。
《社会に出ない》
これもうんうん頷きながら読めた。
『みんなに会いたくないな』って思うことあるもん。そして、周りにもそんな人がたくさんいる。友だちなのに社会になってしまってるのかあ。
友だちが無職でも不妊でも明るく話してくれればなんとも思わないし、喋りたくないなら聞かないけど、いざ自分が当事者なら会わないのが一番楽って思っちゃうな。
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夫が亡くなっても、生前だった頃の習慣を崩さない静かな生活。
バイト先の25歳の同性の早蕨に恋心を抱き
マイメロ収集、ビーズ手芸
日本は何度か震災や戦争を繰り返して、
寿命も伸びた未来での萩子の日々。
早蕨がメールで萩子をわざと荻子って間違えるところが面白かった。
萩子は早蕨の結婚式をどういう風にめちゃくちゃにしたんだろう。
同じ世界に生きていながらも、
個人が感じている世界はまったく別のもの。
他短編。
T感覚、男友達をやめると別れを告げられたとき
一方的に友人関係を遮断された学生時代の友達を探して。
たしかに、友達って、恋人と比べると境界線が曖昧だもんね。
いつだって言葉にしないまま関係性を終えることが出来てしまう。
オトナになると、世間体や社会的立場とか
いろんなものがくっついてきて正直になれないときもあるし。
切なっ。
「社会に出ない」は著者自身の話なのかな。)^o^(
2023年再読。
萩子は早蕨の結婚式をどういう風にめちゃくちゃにしたのか、過去の自分と同じところを気になった。
それにしても、7年前の自分、ちゃんと読んでる。。
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短編集。
特に共通点はないような気もするけど、
「他者との関わりかた」みたいなものをどのストーリーからも感じたかな。
個人的には表題作の『反人生』よりも最後の『社会に出ない』が共感できた。
社会人になってから学生時代の友達に会うのって結構複雑なところある。
自分の仕事とかプライベートが順調ならまだしも、うまくいかないことがあると会いたくないなーと思うことも確かだし。
学生時代はそれも含めて飲みながら相談したりできたけど、なんとなく弱みみたいなの見せられなくなったり。
社会人というか大人になるって大変だなあってしみじみ。
山崎くんには結局会えなかったけど、きっと会いたくない理由があるんだろうな。
それを無理やり引っ張り出すのってやっぱり違うと思うし、ラストはあんな感じで正解だなーと思った。