紙の本
ひたすらボクシングに打ち込む若者たち
2013/03/10 08:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「いや、自分、ラッキーパンチとか信じてないですから」
「えっ、信じてないって?」
「いや、あのー、たまたま、とかってないと思うんですよね。」
ボクシングのテレビ中継は出来るだけ観るのを避けてきた私が、角田光代さんのスポーツ小説ならと、読んでみました。
ひたすらボクシングに打ち込む若者たちを、直視でき、こんな世界もあるんだな、頑張って欲しいなと思いました。
そこまでストイックになれる彼らを愛おしいなって、初めて思いました。
紙の本
もういちど音が消えたあの世界へ
2015/03/26 11:12
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
ボクシングにどんどんはまっていく自分がいる。熱気に溢れていて汗臭くて お金にもならず命を失うことさえある。でも魔物に取り憑かれたかのように 目指す場所がある。もういちど音が消えたあの世界へ。素人の空也の目から覗いたボクシングだったから同じように熱くなっていけたたのかもしれない。
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嫌いなんだよね〜、ボクシング。
好きでも嫌いでもない、とか、興味がない、とか、そういうのでなく、嫌い。苦手。スポーツなのはわかっているけれど、あの殴り合いに見ていて気分が悪くなるから。
だから、角田さんの新作がボクシングと聞いて、そうは言っても、ボクシングはせいぜい物語の添え物、ひとつの材料だろうと都合よく考えていた。だって苦手だし。
ところがどっこい、よもやのがっつりボクシング…!本当にはじめから終わりまでずっとボクシングだった。
出版社に勤務するヘタレ青年、那波田空也が、不本意にも会社の窓際雑誌「ザ・拳」に異動が決まり、ボクシングジムに通いながらボクシングの世界を垣間見る、そんなストーリー。
正直なところ、半分くらいまであまりペースに乗り切れず、やめてしまおうかと何度も思った。ちょっと退屈だった。
でも、主人公空也や、ボクサー立花、坂本、中神など、登場人物たちが少しずつ変わっていく、社会人として、ボクサーとして、人間として、少しずつ成長していることにある時気がついて、そこからは目が離せなくなった。
これから社会に出て行く人には、ちょっとヒントになるかも。
私のボクシング嫌いは変わらなかったけど。
驚いたことをひとつ。
ボクシングのプロテストって、結構経験浅くても受けられるものなんだな…。
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・・・・・長いよ・・・w まぁ、角田さんの書いたものだから読みましたけどね~。面白くないわけじゃないですよ、全然悪くも、読み難くも無いけど、ただ長いww ボクシングをやってる人とか、好きな人が読むと違うのかもですけどね。ボクシングものということでは、百田尚樹さんの『ボックス!』と『リング』は、かなり面白かったので、ちょっと残念な感じはありますね~・・・すみません。
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大人のスポ根小説初めて読んだかも。というかそれ系も森絵都さんのDIVE、佐藤多佳子さんの一瞬の風になれ、朝井リョウくんのチア男子くらいしか読んだことないのですが。
ほんと読み進めるのが大変だった。しかもめっちゃくちゃ分厚いし。長いし。しかもしかも馴染みないボクシングだし。
それでも読めたのは角田さんが書いたということ、それと主人公空也が編集者で文芸誌を希望しているのに「ザ・拳」という隔月ボクシング誌に配属になったところかな。
登場人物もそれなりに魅力あり。読み応えもまあある。
けれど。それでも好きだな、と思うことは一度もなかった一冊でした。
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あの角田光代が書いたボクシング小説。作者自身、輪島ジムの練習生のキャリアが長いだけあり、ボクシングに触れている人ならではの一節が多い。物語の中心は選手と記者。視点は記者で語られている。近年の傑作ボクシング小説は『ボックス!』だと思うが、『ボックス!』ほど躍動感は無い。が、『今日は負けたから、まだ強くない』のような印象に残る台詞が多い。
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ボクシング雑誌の編集部に異動になった文芸青年から見た、ボクシングの世界を描いたスポーツ小説。
ボクシングがメインテーマとなるとスポコンものになるのかと思いきや、スポーツマンを見つめる青年の視点というのが程よく熱く、程よくクールで、普段スポーツに思い入れのない私としてはとても読みやすく感じた。
あと、試合中の描写の細かさなんかはさすが角田さんだなと。
ボクシングの試合なんてさらっとテレビで観たことしかない私でも、文章を読むだけで光景がリアルに思い浮かんだ。
筆力がすごい。
強いから勝つんじゃなくて、勝つから強い。
この2つは同じなようで、まったく違うんだなぁ。
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運動音痴の編集者が不本意ながらやってきたのは、ボクシング雑誌の編集部。勉強のためにとたまたま入門したジムでの運命的な出会い。そこから男と男の熱い殴り合いにのめり込んで行く。どんどん強くなっていく「作られた」悪童、先に入門した友人に誘われてボクシングを始めた二人の若者が進む対照的な人生。一見すれば暑苦しく野蛮なこの格闘技にも、純粋で奥深い真理が秘められている。だからこんなにも人を熱くさせるのだと、主人公と共に追体験できた。
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ボクシングと文芸の方に行きたかったのにボクシング雑誌に回された新人編集者の話。
角田さんの小説はどれも好きなのですがこの小説は角田さんが書いた感じがしませんでした。
悪くないけどなんか普通。
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+++
文芸編集志望の若手社員・那波田空也が異動を命じられたのは"税金対策"部署と揶揄される「ザ・拳」編集部。
空也が編集長に命じられて足を踏み入れた「くさくてうるさい」ボクシングジム。
そこで見たのは、派手な人気もなく、金にも名誉にも遠い、死が常にそこに横たわる過酷なスポーツに打ち込む同世代のボクサーたちだった。
彼らが自らの拳でつかみ取ろうとするものはいったいなんなのか――。
直木賞受賞作『対岸の彼女』、テレビ化・映画化で一大ブームを巻き起こした『八日目の蝉』など特にアラサー、アラフォー女性の圧倒的な共感を呼ぶヒット作を連発してきた角田氏が、
これまでずっと書いてみたかったという「男の人」と躍動感ある「動き」を、「私がもっとも美しいと思うスポーツ」ボクシングを通して描いた傑作長篇小説。
鍛え上げられた肉体、拳のスピードと重さ、飛び散る血と汗……。
自らもボクシングジムに10年以上通い続ける著者ならではのパワー溢れる描写に圧倒されるとともに、時代を超えた青春小説としても長く読み継がれるであろう、新たな角田文学!
+++
485ページの大作である。申し訳ないが、ボクシングには全く興味がなく、テレビでやっていてもすぐにチャンネルを変えてしまうレベルである。ルールも用語も何も知らない。であるから、読みはじめてしばらくはまるで入り込めなかった。なにしろ練習風景など、ボクシングをやっている場面の描写がとても多いのである。だが意外に早い段階で、登場人物それぞれのキャラクターが映像として頭に浮かぶようになり、事務の空気まで漂ってくる気分になると、試合の結果はもちろん、彼らの向う先のことが気になり、次へ次へとページをまくるようになっているのだった。そして、拳で戦うボクサーだけでなく、物語の語り手である編集者・空也の生き様も熱く見守ってしまうのだった。当初の予感に反してぐっと入り込める一冊だった。
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ボクシングを通して、2人の男の成長を描く。
1人は記者、1人はボクサー。
ボクシング小説なんだけれど、全体を覆っているのは優しい空気。 試合のシーンは迫力あるし、展開もスピードがある。
一方で、丁寧に描かれている部分も多くあって、それらが”優しさ”の出処か。
ラスト直前のシーンがいい。すごく好きだ。
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これは面白い、視点が非常に特徴的。
ボクシング自体をすることがほぼない主人公を通してボクシングを語る点、これは物語を立体的にするという意味で効果的。
主人公はじめとした登場人物が冷めているようでいて、皆熱さにたぎっている(あるいはそれに覚醒していく)描写など、『八日目の蝉』はあまりピンと来なかったが、これは力のある作家の文字通りの力作。
この作家もボクシングの魅力に取りつかれたのかも。
新聞に連載されていた時は読まなかったのだが、損をしていた気分。
新聞連載小説って昔から日本小説の王道なんだから粗末にしてはいかんということですな。
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角田さんの新境地開拓作品と呼んでよさそうなボクシングを題材とした作品。
百田さんの『ボックス!』は未読ですが(宿題ですね)、想像するにボックス!ほど熱い作品ではないであろうと思っています。
敢えて女性読者の多い角田さんはそのあたりは想定済みですよね。
だから本作は主人公を出版社に勤務する“文科系”のオトコである空也の目を通している点がこの作品のポイントであると思います。
ひたすら一般的な読者レベルに近い視点で語ることによってボクシング自体わかりやすく語られているのです。
そしてもうひとりの主人公とも言えるプロボクサー立花、彼の出自に関する詐称問題も物語の重要な部分を占めています。
何よりそうですね、夢と言ったら大きすぎるでしょうか、人生における自分探しの物語となっているところが読ませどころなのでしょう。
それは他の角田作品同様、登場人物だけではなく読者も身につまされるでしょう。
もちろん角田さんの試合の描写も予想よりも凄く的確でわかりやすいし、他のボクサーである坂本や中神、トレーナーの有田や萬羽それぞれの生きざまも素敵です。
でも私はどちらかと言えば文芸編集部希望だった主人公が隔月出版のボクシング雑誌編集部に追いやられたのにもかかわらず、自らボクシングジムに練習生として入り努力して順応することに拍手を送る物語だと思います。
私はボクシング編集の3年間で空也が成長した姿を終盤に見れたことに大きな喜びを感じました。
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長い・興味のないボクシングという事で...読み始めるのに時間がかかった。
でも、ずんずん読まされた。
あまり男臭くないボクシング。
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ボクシングに打ち込む青年達を描いたスポーツ小説。
語り部となる主人公を、ボクサーではなくボクシング雑誌の編集者兼ジムの練習生に設定したことにより、ボクシングの世界を一歩引いた立場から描くことに成功しており、結果として、この独特な世界の非日常性とそれゆえの魅力がより鮮やかに読者に伝わってくる。
圧倒的な強さを誇るボクサーが登場するわけではなく、また描かれる試合のレベルもせいぜいが日本タイトル戦レベルなので、地味といえば地味なストーリーだが、たとえ強くなっても報われることがほとんどなく、リスクだらけのボクシングという競技に魅せられた人々の姿が全編を通して丁寧に描かれており、余韻の残るラストも、タイトル名にかけた作者の思いとつながって、非常に印象的だった。
ボクシングをテーマとした作品となると、「あしたのジョー」をはじめ漫画には名作が数多いが、小説としては高校のアマチュアボクシングを描いた百田尚樹氏の「BOX!」以来の傑作だと思う。