紙の本
2015第28回小説すばる新人賞受賞作
2021/10/31 23:37
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投稿者:sio1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校生の小峰りなは小さい頃から復讐気質。
ある事件の犯人が残した「ラメルノエリキサ」という言葉が、解決の鍵に!
設定が独特でいろんな人を疑ってしまう推理小説風の作品ですが、主軸は「心の闇」部分を描いているような気がします。
渡辺優さんの作品は他も独特の世界観の作品で、2021.8月の「アヤとあや」はカポーティの「ミリアム」を思い出させる設定でしたが、少し尻切れトンボ感があるかな?と感じました。
また、2017.1月の「自由なサメと人間たちの夢」は優れた短編ばかりで、中でも「サメ」は「夢をかなえる像」の「ガネーシャ」っぽくて、とっつきやすいものの独特の設定で面白く読めました。
非現実的な設定にあって、病んだ心を深掘りしないところが現実的な感じがして、破滅一歩手前あたりで戻ってこられる「心の闇」作品をこれからも追いかけたいと感じました。
紙の本
ラメルノエリキサ
2017/01/19 00:26
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投稿者:らりるれろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
スラスラ読めました。面白かったです。
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good
2016/08/06 12:41
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投稿者:Rye - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろんな意味でマザコンで復讐癖のある主人公が道端で刺され、復讐しようとする話。
読みやすく、スルスルっと読めたという印象。
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「復讐癖」を自認する主人公が、ある日夜道で自身に切り傷を追わせた犯人を追いかけながら、母親や姉に対するアンビバレンツな感情に向き合っていくお話。
「理不尽な暴力を受けて、右腰には傷が残った。いろいろな不便を強いられたし、夜道で音楽を聴くときには不安を覚えるようになった。とても不快で、許せない。傷は消せないし、時間は戻せない。でも、こんな風に害された状態のまま生きていったら、私は歪んでしまう。歪んでしまった私を、私は愛せるだろうか。自分自身にすら愛されなくなるなんて、耐えられない。私はすっきりする必要がある。」(155ペ)
──というわけで、主人公の「私」は護身用のスタンガンと犯人が落としたバタフライナイフを鞄に潜ませ、容疑者宅に乗り込んでいくわけです。
その「復讐」は文字通り概念的には前近代におけるそれで、焦点が氏族や家族でなくて個人だという違いはあるにしても、目指されるものは物理的・経済的・社会的といった明確な区別のない「ある損なわれた状態」に対する回復としての「復讐」。ある害悪に対する、ひたすらにプライベートな(非・公的な)、防衛・賠償措置です。
そして「復讐」は当然個別の事案に対してのものなのですが、そのような「復讐」を条件反射的に企てる「復讐癖」は主人公の置かれた(置かれていると認識している)状況に対する反応、不断の「復讐」過程として描写されます。
「私はいつか、ママの愛する「ママの娘」という像の前に立ちはだかりたい。これが復讐欲求なのか、ユングさんの言う精神的母殺しなのか、ただのいじわるなのかはわからない。けれどとにかく、これまで完璧なママの完璧な娘だと信じて愛を注いできた対象が、復讐癖と腐った根性と肥大した自己愛を持ち合わせた、この私だったと教えてあげたい。ママの作る完璧な家族をぶち壊したい。そのときのママの顔が見たい。」(119ペ)
つまり、主人公が真に対峙しているのは近代的な刑事罰概念などではなく、「完璧なママ」や「ママにそっくりの姉」が体現する近代的な「母性」や家族観──主人公が心からの安らぎを得られない原因のすべて。
こうした、半ば以上に自覚的で、何層にも偽装を施された本音の裏側で、いつもモヤモヤとした感覚のなかで葛藤する主人公、その主人公の視点で語られる事件の顛末、そのいずれにも重たさはなく抵抗なく読める内容。面白かったです。
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女子高生が自分を傷つけた者を復讐するという筋立ては面白いが、主人公は時折気弱な一面を見せることもありスカッと度合としてはもう一息欲しいところ。サクッと楽しめる青春ミステリ。
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バラバラ。
感情がバラバラ。
少しなら感情移入出来るかと思ったけど、置いてきぼりに…。
全体を覆う不穏な空気。ひたすらに不穏な感情。
でも読みやすい。読まされる
最後までグイグイ引っ張られた。
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第28回小説すばる新人賞受賞作品。主人公は復讐に燃える16歳の女子高生。そして、マザコンという設定。ママという文字がゲシュタルト崩壊した。そんな気がする。新人賞を受賞するだけあって、作品のレベルは高い。最近の若い新人作家はどの人もレベルが高い印象を受ける。宮部みゆき氏、イチオシ!という帯のコメントも頷ける。そんな仕上がりの作品である。
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登場人物の個性がそれぞれ魅力的で期待しながら読み進めたが、結果的には生かしきれていない。
ラストも少し肩すかし。
とても惜しい作品。
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第28回小説すばる新人賞受賞作。「やられたらやり返す」が信条の女子高生が夜道で何者かに襲われ…。とにもかくにも主人公のキャラ立ちが半端じゃありません。男の俺には想像するしか出来ませんが、思春期の女子のややこしさはただただリアル。母や姉のキャラクタも主人公に負けず劣らずで、これがデビュー作とはこの先が楽しみすぎ。
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「復讐」は穏やかな日常生活ではまずあまり思い浮かべない類の単語だろう。
復讐なんてしなくて済むならその方がいい。おそらくこの小説の主人公もその点については同意してくれるはず。
では、可愛い飼い猫の腕を何の理由もなく折る人間が現れたらあなたならどうしますか?
本作の主人公小峰りなの答えは一つ。「復讐する」なのです。
お姉ちゃんに言われた「やり過ぎはだめ」と言う言葉を守りながら復讐を遂げるためなら労力は惜しまない。
そんな女の子が主人公の小説です。
宮部みゆきさんが絶賛した作品だと職場の先輩に教えてもらって手に取った。(ミーハー)
主人公のりなちゃん(作中の呼び方を素直に継承)の強さに圧倒されてしまい、あっという間に読み終えてしまった。
通り魔にあったりなちゃんは、犯人へ復讐することを決めるのだが、手がかりは謎の言葉「ラメルノエリキサ」だけ。
まだ恐怖心が残る中(いきなり後ろから刺されたのだから当然だが)、通り魔にあった時と同じ時刻に帰宅するとか、類似の事件がおきた現場に行くとか、ここまでいくとむしろ感動するレベルの執念。
ラストの姉妹の会話も妙に爽快な雰囲気なのはなぜなのか。
とても不思議な作品。
青春ミステリのようなので、
いったい犯人はだれなのか。
りなちゃんは犯人にどんな形で復讐をするのか。
まさか殺してしまうのか…。
というあたりでドキドキする作品なのだと思う。
思うというのは、あまりドキドキしなかったからで、あっさり終わってしまった印象でした。
ラスボスはあの人であってほしかったな…。
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復讐好きの女子が刺され、当然復讐に燃える話。まあまあ面白く読んだけど、携帯プレーヤーのクラシックの音量でメゾピアノに合わせるとメゾフォルテに驚くというのがひっかかった。メゾくらいじゃ大丈夫でしょ。
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タイトルは印象的。
というか、タイトルが印象的。
テンポは良いので、ふーん、ふーん、ふーんと最後まで読み進められる。
28回小説すばる新人賞受賞作だそうです。
すばるって、ラノベでしたっけ?
いちばん怖いのは....かもしれない。
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歪んだ自己愛を持つ少女、小峰りなの復讐劇。「ラメルノエリキサ」の言葉の秘密を追うミステリーでもある。
主人公のキャラクターに惹かれるうちに一気に最後まで読了。姉のキャラクターも好き。
新感覚の青春小説は次回作も読んでみたいと思わせる出来だった。
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さらさらと読みやすかった。復讐劇にしては軽いノリに若さを感じます。この若い感じがいいですね。やってることはかなり恐ろしいというかぶっ飛んでますが。若さってこわいなぁと思います。姉妹の関係にはなんとなく、わかる部分がありました。姉妹って親子とはまたちがう絆があります。厨二感が強いですがそれはやっぱり若さゆえだし、こういう気持ちがわからなくもないから楽しかったです。ライトノベルというより、いま流行りのライト文芸ってやつですか。個人的には好きです。
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これは中高生が読むときっと共鳴するんだろうね。
女子高生が自分が襲った犯人への復讐を遂げる話。
復讐病の主人公、女子大生の姉、完璧な母、三人とも自己愛の中で完結しているうっすら病んだ女たち。影の薄い父親がかろうじて現実につないでいる。
なんともいえない気持ち悪さ。これが今の子どもたちには「わかる」感覚なんだろうね。