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【期間限定価格】中世再考 列島の地域と社会
著者 網野善彦
日本中世史の諸説に様々な疑問を提出した小論集。「平民の自由」「民衆の生活史」「東国と西国」「百姓」「海民」など、著者が現在も徹底して追究し、多くの成果をあげている、数多く...
【期間限定価格】中世再考 列島の地域と社会
中世再考 列島の地域と社会
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中世再考 列島の地域と社会 (講談社学術文庫)
商品説明
日本中世史の諸説に様々な疑問を提出した小論集。「平民の自由」「民衆の生活史」「東国と西国」「百姓」「海民」など、著者が現在も徹底して追究し、多くの成果をあげている、数多くの研究主題の原点が提示されている。常民文化研究所で著者に強い影響を与えた民俗学者、宮本常一に関する論考も収録。
目次
- 学術文庫版まえがき
- 序にかえて
- I
- II
- III
- IV
- 原本あとがき
- 初出一覧
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中世の情報を、観点を変えて見直す
2017/02/18 09:30
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:馮富久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年読んだ『日本の歴史をよみなおす(全)』 をさらに深掘りしたいと思い、買った本。
ですが、買っていたことをすっかり忘れていて、1年後にようやく読了。
さて、今回は日本のいわゆる鎌倉時代~江戸時代に焦点を当て、当時の平民(日常的な人たち)について、資料をもとに考察されています。
以下、個人的に印象的だったところ。
- 自由という言葉の定義は東洋(中国)から入ってきた「専恣横暴な振舞をする」というマイナスの意味の語義が、徐々に「拘束を受けない」という西洋的なフリーダム、プラスの意味の言葉に変わった
- 上記に伴い、もともと貧困を意味する「無縁」という言葉も「自由」を表す意味になってきた
というように、まず言葉の変化を時代とともに考察し、このあたりはいつの時代でもあることなんだろうな、と。すると原理主義的なアプローチと革新主義的なアプローチのぶつかり合いは当時どうやって解決していたのかなどまでちょっと想像を膨らませたり。
あとは、前作でも強く書いていた、「日本の平民=農民」という固定観念に対して、日本は「海民」であり、近隣の島国と積極的に交流していた国民性を持っていたという考え方。
今回はそれについて、たとえば、これまで多くの検証で使われている資料は、あくまで一般人が将軍などのお上に提出する書類であり、その内容自体にある程度のバイアスがあったのでは、逆に、お上が一般人を罰するときに召し上げる財産目録のほうが正しいという考え方のもと、その目録から一般人の生活水準を考えていくという、これはなるほど、という考え方などが多々書かれていて、目からウロコでした。
また、日本の国民性に関する記述で、島々の交流があったという1つの仮説として、尾張(名古屋)を挟み、東西の違い、さらに東(鎌倉)と西(京都)との対立には、東は九州との交流が深かった、西は東北との交流が深かったという、地域性からの考察なども大変興味深かったです。
話が変わって、2020年の次期学習指導要領でさまざまな変更が加えられている今(2017年)、たとえば鎖国という表現もなくすとか。そのあたりについても、こういった考察からの裏付けを増やすことで、きちんと変更していくこは意味があるんじゃないかと思っています。
網野さんの本は気づきが多いのでまた別のものも読んでみたいです。