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柳田国男 ──知と社会構想の全貌
著者 川田稔
民俗学の祖として知られる柳田国男。しかしその学問は狭義の民俗学にとどまらぬ「柳田学」として、日本近代史上に燦然と輝いている。それは近代化に立ち後れた日本社会が、今後いかに...
柳田国男 ──知と社会構想の全貌
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柳田国男 知と社会構想の全貌 (ちくま新書)
商品説明
民俗学の祖として知られる柳田国男。しかしその学問は狭義の民俗学にとどまらぬ「柳田学」として、日本近代史上に燦然と輝いている。それは近代化に立ち後れた日本社会が、今後いかにあるべきかを構想し、翻ってその社会の基層にあるものが何かを考え尽くした知の体系だった。農政官僚、新聞人、そして民俗学者としてフィールドワークを積み重ねるなかで、その思想をいかに展開していったのか。その政治・経済・社会構想と氏神信仰論を中心としつつ、その知の全貌を再検討する。
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紙の本
リベラリスト柳田国男
2016/12/10 21:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:舞雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新書としては異常に分厚い。もう少し引用や論旨の重複は整理できたはずだが、それでも読む価値は十二分にある。
最大のポイントは、柳田国男が徹頭徹尾リベラリストであったことの論証に置かれている。それは政治論としては議会政治の重視、対外膨張姿勢への批判、自立的地域経済論などにあらわれる。
さらに彼の民俗学もリベラストとしての姿勢の一環としてとらえられている。すなわち、柳田によって日本人の精神の根本にあるとされた氏神信仰は、国家神道(周知のように軍国主義とむすびついていた)への対抗として打ち出されたものであったという。
素人の印象では、著者川田氏のこうした柳田国男像には、アカデミック的な意義として二点挙げられるように思う。
一つは、川田氏の属する政治学・政治史学的なものである。著者は、氏神信仰を国家神道と連続的にとらえてきた丸山真男を正面から批判している。それは、名指しこそされていないが丸山真男を崇めてきた無数の学者への批判でもあるだろう。
第二に、かつて国民国家批判の文脈で大量に流通した柳田国男批判へのアンチテーゼである。ポストモダンの洗練された言説で柳田国男を批判するのはたやすい。しかし、その大部分は言説ジャーナリズムの流行に乗った軽薄な風刺にすぎなかったのではないか。本書を読んでいてそう感じさせられた。
まず必要なのは柳田国男の真摯な知的営為と正面から向き合うこと、批判はそのあとでも遅くは無い。
巻末部のデュルケームとの比較はちょっとしつこくて専門的に過ぎるように感じたことを付け加えておく(専門的な価値はあるのだろうけれど)。
紙の本
柳田の素顔がやっとわかった
2017/02/09 13:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:楽隠居 - この投稿者のレビュー一覧を見る
柳田は有名だが、どういう人だったかと、問われれば意外と知らないのではないか。本書は間違いなく柳田を知る第一級の入門書であると信じる。わかりやすく、柳田の人、業績、思想、
信条といったものを余すとこるなく、しかも簡潔に書ききっている。お勧めしたい。