商品説明
無人島に週刊大衆しかない!――テレビもない、ラジオもない、車は一切走ってない。あの村より何もない場所。ここは無人島。茫洋と広がる海辺に取り残された男がひとり。傍らには、何故だか“キング・オブ・週刊誌”の『週刊大衆』が一冊。“無気力文学”の鬼才が描く、徹底的に何も起きないサバイバル小説。カンカンと照りつける太陽の光と、『週刊大衆』の表紙の煌びやかな色彩の果てに、彼は何をみるのか。
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紙の本
無人島にひとり、そして週刊大衆が一冊だけ。
2015/10/03 09:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
よく「無人島に持っていくとしたら何を持っていく?」という質問があります。
その人の一番「大切なもの」「必要なもの」を聞くということでしょう。
しかし、この無人島に漂流してしまった男の横にあるのは「週刊大衆」
一体、どう読めばいいのか?これで保つのか?
男の苦労が始まります。
せきしろさんの脱力文学の金字塔『去年ルノアールで』は
映画『去年マリエンバードで』のパロディ。
今回は『海辺のカフカ』
『去年ルノアールで』も喫茶店ルノアールで全く動かなかったけれど
この物語も無人島から動けません。
アクティブに動けない中でどうするか、せきしろさんは妄想するのです。
妄想する様々な「週刊大衆」
かつては河原などに捨てられていたのを宝もののように拾っていた思い出。
それが、逆にこれしかない、となると読み終わってどうしたらよいのか。
普段は何気なく普通に手に入るが故に有難味が薄れてしまったもの、
一回読むだけで粗雑にしてきた雑誌、
空気のようになくなって始めてわかる有難味。
そんなものもありますが、週刊大衆、あまり有難味が・・・
そこをなんとか有難味を出そうと苦心惨憺する脱力物語。
こういう時に、「カフカ」ではなく「週刊大衆」を持ってくるあたりの
せきしろさんのセンスは抜群にいいですし、脱力しながらも、しみじみする
物語となっています。