花嫁首　眠狂四郎ミステリ傑作選

投稿元：

レビューを見る

眠狂四郎ものの短編から、ミステリ色が強いものをセレクト、再編集した短編集。
時代小説は滅多に読まないので、日常では恐らく一生使用しないであろう単語が溢れていて面白い。『ころび伴天連』なんて多分、これまでの人生で一度も使用したことはないぞw
ミステリ的にも定番のものから捻りの利いたトリックまで幅広い。この辺りは大坪砂男の発案なのかもしれない。

投稿元：

レビューを見る

思い出したのは、成人コミック。

主人公強い！
とにかく無敵！
格好いいこと言った！　
言うたった！
すごい超展開！
やたら出る美女！

そして、

エローーーい！！

ミステリ選とあるが、ミステリかと言われると、答えにつまる。
あなたの望むミステリではないかもしれない。

事件、謎が提示されて、読者は考える。
考えながら、狂四郎のあとを追う。
予想外の展開に驚き戸惑うあなたの前に、
強烈なエロビックリな結末が、ドドン！と顕れる。

そんな傑作が21編。


なんか、近頃の私、心が頑なに凝り固まっているなあと思った人におすすめかもしれない。

投稿元：

レビューを見る

先日読んだ、木枯らし紋次郎シリーズのミステリー傑作選がなかなか良かったので、たまたま見つけたこちらの作品も読んでみた。

初めて読む眠狂四郎シリーズ。
円月殺法くらいしか知らなかったので、どんな男かと思っていたら、紋次郎とは真逆のキャラクター。
編者あとがきによると、作家さんが当時流行っていた正統派時代物ヒーローとは真逆にしようと、眠狂四郎というキャラクターを作り上げたらしい。

水野忠邦の側頭役・武部仙十郎の依頼で様々な事件の解決に取り組むことが多いものの、武部に飼われているというわけでもなく、好奇心のままに事件に首を突っ込むこともある。
何より女好き。気ままに女に情を掛けておいて気を持たせたり突き放したり。それでもモテるのだからよく分からない。
女だけではない、狂四郎と何かとコンビを組むスリの金八まで懐いている。天然の人たらしなのか。

信仰を捨てた『ころび伴天連』の父と、父に襲われて自分を産んだ武家の娘である母との間に生まれた狂四郎。
作品集の中では父に復讐の刃を向けるシーンもある。
さしたる故なくとも刀を振るう、生きる凶器のように感じる場面すらある。
だがそういうダークヒーローを徹底したから人気があったのかも知れない。

ミステリー傑作選という割には一編が短いので、謎解きをする間もなく終わってしまうものもある。
それと、結構艶っぽい話が多い。現代のような生々しい描写はないものの、大人向けだろう。
ただ凶器や物の消失、密室殺人、花嫁の首が斬られ代わりに罪人の首が繋ぎ合わされているという、横溝先生の作品のような話もあってワクワクした。
しかしやはり一話が短くて、あの人は、あのことはその後どうなったのか置き去りな感じがちょっと勿体無い。

投稿元：

レビューを見る

眠狂四郎シリーズの中からミステリチックな２１編を収録した短編集。
密室殺人、消えた凶器、書類の紛失など不可能犯罪もあるが、週刊誌連載だったせいか波乱万丈なストーリーに謎解き要素を加えたという感じで、同じく創元推理文庫から出ている木枯らし紋次郎の作品集よりミステリ度は低い。
シリーズの中のセレクトなので、ときどき言及される人物と狂四郎の関わりが飛び飛びで気になる。
大坪砂男がトリック提供をしていたというのは驚いた。