紙の本
興味深いミステリでした
2019/03/25 18:24
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投稿者:ゆいざき - この投稿者のレビュー一覧を見る
老化は誰にも訪れるもの。誰にもやってくる葛藤の時。
考えさせられますね。しっかり読み込めば様々な伏線に気づき、きっと楽しめる作品だと思います。蜜柑の魅力は、学生時代のシリーズを先に読んでおくと深く理解できるんじゃないかな。
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名探偵の老いと最期ということではポアロの「カーテン」がありますが、名探偵自身の語りで老いに伴う葛藤を語られるというのは新鮮でした。お話も多層的になっていて最期まで読ませるし、ラストも何とも言えない味わいでした。
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〈名・探偵でいることとは〉
自分は、探偵小説が好きなんじゃなくて、ミステリー小説が好きなんだと気づいた。推理小説は、果たしてどちらだろうか。
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一昔前に一斉を風靡した名探偵と、現代の名探偵が一緒に事件解決に挑むミステリ。設定がとても好き。
謎解きに立ち向かう姿より、自分の衰えを実感して引退を考えたり、心配する妻との関係に頭を悩ませたりと、とても人間らしい名探偵の姿が描かれる。
が、最後に明かされる真実は重い…。重いけれど、でも「言われたらそうだよね。あるよね、それ」と納得してしまった。ワトソン役の警察官は、警察内部では爪弾きになるだろう。内部情報を漏らすわけだし。その名探偵の地位が地に落ちたら…。正義だけではやっていけない警察という組織よ…。
読後感も明るくないし、ミステリとしてはそれ程意外でもないのだけど、そういうのとは一線を画す名探偵モノだなあ。
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一世を風靡した名探偵の挫折から再生、そして名探偵とは何かを鮮烈に描いた本格推理。
名探偵の存在意義や後期クイーン問題。答えは出ていない。名探偵が愛おしくてたまらなくなった。
ハウダニットフーダニット、全く魅力がない。本作の評価はそこではない。彼ら彼女らの証明。名探偵の生き様に焦点をあて、フューチャーされない、されるべきではない物語となっている。
ミステリの魅力に改めて気付かされる。ゴリゴリのトリックを求めている方は、一度本作で頭をリセットしてから、カーでも読み漁ろうか。
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ミステリを読んで、名探偵の孤独というようなものを感じることはあまりない。何故ならば、大体において、名探偵という人種は、一般人に比し突き抜けた思考回路を持っており、そんなことは意に介さないように振る舞うから。
でも、一人苦悩する探偵が少なからずいるのも確かだが、それが自分に課せられた役割と割り切り、前へと進む。
しかし、その存在そのものが犯罪を誘発しているなどという誹謗中傷を名探偵が受ける作品は目にしたことがない。それはあまりにもひどい妄言であるが、それは名探偵に対する痛烈なアンチテーゼでもある。
往年の名探偵・屋敷啓次郎はそのような誹謗中傷を受けてきた。そして、次世代の名探偵・蜜柑花子は、啓次郎を敬愛し、彼に私淑する。この対照的な二人の探偵が事件解決を競い合うのかと思いきや、然にあらず。
名探偵が直面する栄光と挫折、そしてリスク。その厳しいまでの現実と、その壮絶な生き様がかつてない探偵像を示す作品。
これまでミステリを読んで感じたことのない感情を覚える。そういう意味では私にとっての新たな地平線が開けたような気がする。
探偵の安息の地はどこにあるのだろうか?事件が解決しても心休まらない悲しい存在のように思えてきた。
いずれにしても、啓次郎から花子へと、確かにバトンが手渡された。名探偵の矜持とともに。
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タイトルに惹かれて購入。文章も読みやすく、謎解きも丁寧だったのですが、読み終わった後は、おもしろかったという気持ちよりも後味の悪さが残ったような気がします。
物語のラストもそうなのですが、小説の中での名探偵という存在に対する世間の考え方が、非常にシビア。
探偵が主人公の世界(小説)であっても、全員が探偵に肯定的でないのが、ある意味、現実に近いのかもしれないですが。
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鮎川哲也賞受賞作。過去の名探偵と、現在の名探偵を共演させることで、名探偵の終わりゆく姿をまざまざと見せつける。テーマも構成も面白いのだが、いかんせん事件の謎の質が低く、彼・彼女らが名探偵であることの証明が出来ていない。
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良いも悪いもあるけれど、何故に死んだ?ってところで★マイナス1個しちゃうかなぁ
あと、名探偵言い過ぎかな
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kindle unlimited で読了。
鮎川哲也賞ということで読んでみた。
けっこう屋敷さんに感情移入して、
時折切なくなりながら読めた。
脅迫状事件の推理がメインというよりは、
そこに関わる人たちのドラマがメインだったように思う。
名探偵としての苦悩がよく伝わり、
竜人との名コンビの裏に潜む真実も切なかった。
でも道を踏み外して欲しくはなかったよね。
屋敷の最後も辛かったけど、三部作ということらしいので、
続編も期待して読んでみたい。
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そもそも名探偵っていうのは現実にいない、小説の中の職業(?)であるのさ既知の事実。名探偵は無敵でカッコよくて当たり前。小説の中でしかいない職業だけど、それはどの推理小説にも共通した事項。
そこに切りつけたのが本作。もうやめてあげてってくらいに名探偵の衰退を描いています。新しくて、ん?私は推理小説を読んでいるのか?それともお仕事小説を読んでいるのか?と分からなくなりました。小五郎のおじちゃんのアナザーストーリーという感じです。
どういう気持ちで読めばよく分からなかったけど、気になって読むのが止まりませんでした。本格推理小説というよりは探偵青春小説?として読むべき。
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年老いたかつてのヒーロがー、それでも自分であり続けようともがくさまを描く、一人称の語り口からもハードボイルドなお話。さらに言うなら、主人公の屋敷には、解説にも言及がある冒険小説のヒーローの面影が濃い。その分、トリックも小粒で純ミステリとしては軽め。もちろん名探偵という理不尽で不条理な装置について考えること以上のミステリなんてない、と主張されたらそれは同意するしかないが。
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新しい、本格ミステリー。探偵を俯瞰的に見ると、行く先々で起こる事件に突っ込み入れたくなるけど、その背景や家庭事情や悩み含めて人間らしい懊悩がいい。新旧探偵の共演も面白い。
ロジック立てる段では、なるほど納得そうなのか!という美しい論展開ではない。話の魅力をキャラクターに振った結果か?
余談だが、p240ページからポケモンユナイトのBGMとともに読んだが、神がかり的なコラボに視覚と聴覚と思考力の臨場感高い。
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――
粗筋から好きそうだなと思って、その第一印象だけでなんとか最後まで読み切ったという感じ。筋はほんとに、いいんだよ…でもキャラクタもどこか支離滅裂だし事件もトリックも骨が無いし、心情的にも読ませる部分は無くとても残念。
なんなんだろうなこういう、そのジャンルに携わるものなら誰もが考えていていちいち云うまでもないことをわざわざのべつまくなし繰り言みたいに敢えて感出して云ってみた、みたいな作品が一回は出てくるのかね。そしてなんとなく「おいあいつ云ったぞ」って半分引いてるような畏敬の念で流行るのかな。
それってどこか、芸人なんだから他の芸人のネタで笑っておかなきゃ明日は我が身だし、みたいなマインドのような気がして、どこか受け付けない。いいね欲しいからいいねします、みたいなものかしら。
なんかどっかで、と思いながら読んでたんだけれど、『小説の神様』に通じるところがあるようにも思う。
わたしはそういうのあんまり。半分どころじゃなくそっと距離を置きます。
そしてそういうのに共通して、なんでか技巧は伴ってないのだ。多分どこにも辿り着いてないからそういうこと云ってるんだろうね。文章力は物凄いとか構成力が半端ないとか、キャラクリエイトがずば抜けてるとか論理が完璧、とか…そういうのがひとつでもあれば…
…いやそうするともっと、他でなんとかなるんだよなきっと。
☆1。最近ちゃんと☆1を付けるようにしています。
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初市川哲也。
「名探偵」が実在してアイドルやスターのような扱いを受けている(それ故批判もある)世界が前提となっている。その時点でちょっとついていけなかったんだけど、登場人物が人に思えない。みんな狂ってる。「当たったら続編出そう」というのがミエミエの蜜柑のキャラクターにもまったく魅力を感じない。
名探偵ー本格推理小説を極め尽くした選考委員の人達は面白く読めたかもしれないけど、私には無理でした。新本格とか最近流行りの特殊設定ミステリは当分いいやと思わせてくれた一冊でした。