電子書籍
覇権の終焉
著者 中西輝政
ニューヨークの「ウォール街」の崩壊に端を発した世界金融危機は、冷戦後の「アメリカの覇権」の崩壊にもつながりかねない状況を見せはじめた。これによって今後十~二十年、アメリカ...
覇権の終焉
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
覇権の終焉 アメリカ衰退後の世界情勢を読み解く (Voice select)
商品説明
ニューヨークの「ウォール街」の崩壊に端を発した世界金融危機は、冷戦後の「アメリカの覇権」の崩壊にもつながりかねない状況を見せはじめた。これによって今後十~二十年、アメリカはこれまでのような世界の超大国として立つことはできなくなろう――「一極支配」から「多極化」への流れは本格化している。サブプライム恐慌、ドル安・円高、グルジア紛争、中国の台頭……次は何が起こるのか? いまや本当に日本人に必要とされているのは、長期的な視点で世界の潮流を読む力なのだ!! なぜアメリカは間違い続けるのか? なぜそんなアメリカとでも日本は提携し続けなければならないのか? なぜ日本は究極の自立をめざすことが大切なのか? そのためには何が必要なのか? しかしなぜ、日本はいつまで経ってもそれができないのか? それを克服するためには一体どうすればよいのか? 世界の最新情報と今後の予想を盛り込み緊急発刊!!
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
世界が多極化に向けて動いている中で日本の外交力が問われている
2010/11/11 16:51
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
2008年の世界金融危機はアメリカの覇権の崩壊にもつながりかねないと見る人は多い。タイトルからも想像できるように、本書もそうした文脈で書かれている。国際政治学者の著者が、そのアメリカの将来を読み解き(第一部)、また、そのアメリカと同盟関係にある日本が激変する世界の中でどう歩むのかを考えている(第二部)。
第三部の3つの論文は20年以上前に書かれたものであるが、今、目にしている世界はそのとき既に著者には見えていた流れだという。それだけ著者の洞察が正確だったということを示す。あえて本書に掲載したもの、その内容が現在も有効であり、国の政策に反映させるに足るものだと考えているからだ。同時にそれは長い間、日本が問題を先送りし、何もしてこなかったことを意味する。
その第三部は日本外交について論じたものである。その第五章では日本外交は常に「状況対応型」ならざるを得ないと書いている。それは「日本は何をしようとしているのか」、「どこへ行こうとしているのか」が明確でないために起こっている問題だとしている。それが20年経った今でも変わっていないことに、国民の一人として情けなさを感じる。昨今の対中問題にしろ、対ロシア問題にしろ、日本の外交力への不安は募るばかり。国家ビジョンがないから、周辺国に振り回され、その都度、状況対応せざるを得ないのだ。これでは他国から舐められてもしょうがない。
また、「日本は自立する道を求められる」、と著者はいう。安全保障のことだ。戦後65年も経って、未だに自立できていないのは問題だ。国民にその意識はあるだろうか。著者はこれまでマクロ・ヒストリーへの関心をもとに、日本の大きな戦略、国家戦略論に関心を向けてきた、という。日本が自立するための提言も行なってきた。集団的自衛権の行使、憲法改正の必要性も訴えてきた。だが国民的な議論は高まっていない。しかし世界は変わった。「日本もこれまでのように惰性では立ち行かない事態が来ている」、と彼に言われなくても国民は敏感に感じ取っているのではないだろうか。問題は政治だ。政局・政争に明け暮れ、国民、国家のために政治が行なわれていないことに苛立つ。そういう政治家を選んでいるのは我々なのだが。