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ゼウスガーデン衰亡史
著者 小林恭二
これはSFなのだろうか、歴史のパロディなのだろうか。90年間にわたるテーマパークの歴史の物語なのである。双子の天才的な若者によって創設された[下高井戸オリンピック村]は奇...
ゼウスガーデン衰亡史
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商品説明
これはSFなのだろうか、歴史のパロディなのだろうか。90年間にわたるテーマパークの歴史の物語なのである。
双子の天才的な若者によって創設された[下高井戸オリンピック村]は奇抜なアイディアのアトラクションが人気を呼び、次第に大きなものとなっていく。組織としての基礎も固まった時に双子は突然その才能を失い、その上、異常な科学者によって連れ去られてしまう。
残された幹部たちは集団指導体制で組織を運営することになる。様々な才能が現れ、以前にもまして巨大で、奇抜で、危険で、グロテスクなアトラクションやモニュメントが次々と作られ、[村]は[ゼウスガーデン]と名称を変え巨大化する。果ては国家をも超える存在にまで成長する。反面、内部の抗争は激しくなり、腐っていくことになる。元老院だ、執行部だ、皇帝派だと、さまざまな勢力が構想を繰り返す。そして次第に衰退をしていく。
1984年に兄弟によって作られたテーマパークは2075年内部から派生したテロ組織によって壊滅させられ、そのご細々と営業は続けられるが2089年過激派グループによって徹底的に破壊され、その歴史を閉じることになった。
この壮大な構想、そして物語は、文学にとって最大の収穫のひとつである。
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紙の本
え、....ローマ帝国衰亡史のパクリじゃないの!
2002/04/20 01:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆたやん - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名からして、内容からして、かの有名なローマ帝国衰亡史を彷彿とさせるこの作品。でも作者はローマ帝国衰亡史を読んでないのだという!
うそだー(笑)と叫ぶのが正しい反応だ。
ギボンの洒脱な雰囲気も、こてこてのノリも全部ゼウスガーデン衰亡史は、さらにパワーアップして書いているじゃないか。うそに決まってる。絶対読んでるに違いない!!!!などと叫んで少しは気を晴らそう。
名作に出会った「疲労」を癒すために。体力の要る作品だよ。はらわたにずんとくるユートピア=ディストピアが重厚に展開される。
感動を得るにはこの厚みが必要なんだ。
現代は最低の時代だ。しかし、最低の人々こそが天上の高みを知る。ゼウスガーデンに住む(棲む?)神々たちのごとく、最低の快楽を味わうための禁じられた鍵となるこの書物。
まずは手にとって見たらいかがだろう?
紙の本
面白いなあ
2001/12/21 23:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:江湖之処士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
井上ひさしの「吉里吉里人」に通じる、巨大な虚構国の歴史を描いたSF大作である。経済的繁栄を武器に、日本から独立した、快楽の追及を旗印に掲げた巨大テーマパーク「ゼウスガーデン」の赴くところは…? 筒井康隆をして「小林恭二にはしてやられた」といわしめた一作で、歴史書の如き確かな叙述が頼もしく面白い。ただ、小林恭二といえば細部のリアリティであろうが歴史の形を採った物語であるため、いささかその細部のリアリティに欠けるきらいはある。しかしつぎの展開の読めぬ、だがその奇想天外な展開には不自然なところの無い語りは実にうまい物であると思う。