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検察・司法・報道をめぐる現場を描き出すドラマ
2020/06/11 06:02
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投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
検察という巨大権力との闘いのストーリーで終始するかと思いきや、それは前哨戦でしかありませんでした。検察との、そして法廷での攻防にとどまらず、物語は事件の真実の追求にも軸足を置いています。
フィクションでありながら、検察組織の内情をえぐった描写は、その隠された一面をありありと見せてくれ、現実に近いことは容易に想像できます。そして、事実の検証に至っては、調査報道に携わるジャーナリストたちの現場が如実に表現されています。小説ではありますが、ただの創作ではありません。現実を土台にしているからこその迫真性があります。
検察、司法、報道、そして裁きをめぐる人間ドラマも凝縮されています。次々と起こる予想外の展開に、一度読み始めると最後まで止まりません。
電子書籍
冤罪の問題点を問う
2021/03/30 03:16
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投稿者:UrusaiTwins - この投稿者のレビュー一覧を見る
袴田事件、足利事件、松橋事件など、実際にあった冤罪裁判を基にした冤罪フィクション。受刑者はすでに刑を執行されこの世にいないというやりきれない設定から、最後罪が晴れ、真犯人が見つかるまでの、フィクションならではのきれいなまとめ方で、死刑制度への疑問を投げかける。
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死刑囚の刑執行シーンから始まる衝撃的な幕開け。
口裏合わせの嘘の供述と、ずさんな捜査で逮捕され、不確かな鑑定によって事実が捻じ曲げられた末に死刑が確定し、お上の身勝手な事情によって刑の執行が早急に決まってしまう。
巨大な国家権力の前では一個人が持つ正義感などちっぽけなものに過ぎず、簡単に揉み消されてしまう。
一般市民が知る由もない、このような現実があるのだと思うとやりきれない。
こんなにも私達の命は軽いものなのか。
人権は正しく守られ、踏みにじられるものであってはならない。
この世は勧善懲悪であってほしいと、多くの時間とお金と労力を費やしたとしても、真実が日の目を見る事は出来ないかもしれない。
それでも。
ほんのわずかな希望の「光」を私も信じたい。
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冤罪をテーマにした小説です。「殺人犯はそこにいる」の清水潔さんも名前が出てくるあたり、実際の冤罪事件への想いも相当あるのだと思われ、非常にリアリティを感じる佳作に仕上がっています。DNA検査黎明期の精度の低さで冤罪を発生させていたという事は、別の媒体で目にしていましたが、実際に科学者自体が冤罪を作る事を厭わず自分の、又組織の受益の元に人の命や尊厳を踏みにじっていたのだと思うと、うんざりする想いで一杯になります。
色々な事を考えさせられる本です。自分が、家族が冤罪を被らないようにすることなど出来ないのではないかと慄然とする小説です。おススメ。
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そんなに厚くない本だけど、読み応えありだった。
暴れる三村父を押さえつけて、刑を執行した人達は冤罪と知った時どんな気持ちになったのだろう。
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最高の小説。死刑から始まるつかみが最高。
真犯人はまさかの死刑立会の神父。
ただそこは本筋ではなくて、本書の良さは読みやすさと死刑になったのに娘が冤罪を晴らすまでのテンポ。この本に出会えて良かったです。
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プロローグの死刑執行シーンで、胸に重たい物を植え付けられたような感覚に陥り
引き込まれるようにほぼ一気読み
途中までの法廷劇や、関係者の証言のシーンはゾクゾクさせられたのだけど
再審決定のあたり以降からは、あっさり事が進みすぎてちょっと肩透かし
真犯人のくだりも、そこに対してカタルシスを感じられたわけではなく
オチの付け方を含め、なんとなくもやもやが残る作品
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冤罪を巡り、検察/司法vs.遺族が死命を掛けた攻防を繰り広げる。フィクションとノンフィクションの狭間にある、ギリギリのラインでの展開が面白い。
真犯人は意図的に分かりやすくしているのか、全体の筋は分かりやすい、というか想定通りに運ぶので、するすると読める。
娯楽小説としては★4でも良いと思うけれど、登場人物がすべて型通りというか、テーマの重さに対して軽く、深みが感じられず、感情移入できずに終わった点が残念。
特に、ひかりのキャラがコロコロ変わり過ぎて、雑な描写が目立った。
冤罪事件、DNA鑑定の瑕疵を読むなら、清水潔『殺人犯はそこにいる』の併読を強くおすすめする。非常に優れたノンフィクションです。
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無実の罪で、死刑判決、死刑執行までされてしまった父親の無実を証明しようと奔走した娘さんのお話。娘さんの人生が、それだけで全て終わってしまうのが現実かなぁと思うが、暗闇の中に一筋の光が見える事が救いであり小説である所以。でも巨大な権力に立ち向かう勇気と根性に感動した。
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死刑に追いやられた父の免罪を晴らしたい娘
vs
絶対に自分達の判決を覆したくない国家権力
まず冒頭の処刑シーンが鬼気迫る迫力で、一気に惹き込まれる
絶望的な力の前に孤独に立ち向かう心強き者
そこに集っていく仲間達
一丸となって判決の矛盾点、真犯人の可能性を探り出していく
それに対して余りにも卑怯な手口でやり込めようとする司法
明確な正義と悪の構図が、その形勢が二転三転としていく展開がまるでドラマを観ているようで熱い
頑張れ負けるなとひかりを応援したくなる
免罪死刑 自分の身にも絶対に降りかからないとは言い切れないのが恐ろしい
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どこかのサイトでおすすめの小説と紹介されてたので買った一冊。
冤罪の話だった、
権力と個人の闘い
国家の間違いを隠そうとする検察
無実を証明しようとする娘と弁護団
すごい攻防だった。
検察のやり方がきたないね
権力でなんでもやる。
プライドなのか?エリート意識なのか?
こうゆう司法関係の小説は難しい単語など出てきてなんか難しいと感じてしまうが、この小説はなぜかスラスラ読めてしまった。
それだけ次の展開が気になったんだと思う。
無実を勝ち取り、犯人までわかり最後スッキリと読み終えた小説でした。
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冤罪で死刑になった父の無念を晴らすため、娘のひかりは死刑執行後に再審を起こす。検察、警察側は一丸となって間違って無罪の人間を裁いたことを認めようとしない
あらゆる証拠を集め徹底的に戦うひかりと弁護士と新聞記者たち
やっと勝ち取った灰色の無罪
そして真犯人が現れる
2度驚く話2020/02/15 18:57
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30年間も無実の罪で死刑にされた父親の潔白をはらそうと奮闘する娘の強さに心打たれた。
フィクションながら日本の法曹界はここまで正義が死んでいるのかと絶望感。
正義よりみんな自分の保身ばかり。
刑事や検事や裁判官になりたての頃は正義のためにと思っていたはずなのに、組織がそうさせるのか。
裁判官によって判決が全然違ってくるなんて信じられないが、裁判官だって人間だからまぁあり得る話だろうな。
最後の方は真実はどうなのか、結末が知りたくて寝るのを忘れて読み切った!
読み応えあった!
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容疑者は死刑判決を受け、その執行から小説は始まった。無罪を確信する娘と権力の検察の攻防は手に汗握るが、ちょっと上手く話が進みすぎか。いや、ありえない展開は最後でまた裏切ってくるというミステリ小説の面白さを堪能させてくれた。再読も楽しいと解説にある。また読む機会があるとは思わないけど。
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冤罪死刑と、その後を描いたストーリー。
終始飽きることなく読破できた。最後の意外性もあって非常に読み応えがあった。