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繊細で壊れそうな心をいろんな鎧で包み込みそれぞれのやり方で闘い続ける宮田と叶。
お互いにお互いを敵対視し、嫉妬し、全身から突き出すトゲを隠したまま過ごす6年間。
寮を備えた中高一貫の女子高。親から追い払われるように、親から逃れるために、あるいは自ら望んで、理由はそれぞれ異なっていたとしても、そこで過ごす6年間にはとても大きな意味がある。
ピアノと頭脳で他人を圧倒する孤高の宮田と、恵まれない環境から逃れるため必死で勉強をし「いい子」の笑顔を張り付ける美貌少女の叶。二人の表に出せない叫び声に胸が痛む。
世間的に見たら恵まれた中高生活なのだろう。新設校の第一期生。自分たちが自分たちの手で新しく作り上げていく交友関係、学校、伝統。そんな中できれいごとではない少女たちの苦悩が際立つ。自分の今まで、とこれから。どこに向かって進んでいけばいいのか。二人が自分が壊れてしまわないように、すがりついてきた「芯」を失ってしまったら、この先どうやって生きていけばいいのか。その答えは、意外と身近なところにあったりもする。
入学式からなぜか宮田のそばにいつづけるみなみ。宮田に無視されようが冷たくあしらわれようが、ずっとそばいにる。宮田にみなみがいてよかった。みなみ、グッジョブ、と思わずハグしたくなる。そして叶にとって時枝がいてよかった。その一言一言が小さな光となって暗闇を照らす。そんな存在がそばにいてよかった、と心から思う。クールすぎる宮田にみなみが思わず叫んだ言葉に、暗闇のそしてどん底にいる宮田に叶がかけた言葉に、自分自身が救われた気がする。多分多感な時間を過ごす全ての十代の心にも響くだろう。
そう、絶対大丈夫。人が思うよりずっと、この世で奇跡は起きるから。
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時枝先生の言葉を大事に大事に抱える奥沢がいじらしくて泣けてしまう。
誰もが自分の地獄を持っていて、自分以外の地獄になんかかまっていられなくて、それでもたった一瞬でも互いが救いになることだってあるんだなと、そんなことを感じた。なんで大切な友だちにそんなこと言っちゃうの宮田!と若干イラつきつつ、この年頃って、こうだったかもなあ……とも思う。と考えると、最後まで優等生の仮面を外さない奥沢の姿がなんか悲しいな。
宮田とみなみの和解は、もっとちゃんと書いてほしかったな。先行き不安になる。溝埋まるのかよ?
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孤独で辛くて怖いのは、この世で自分だけだと思っていた。
東京生まれの秀才・佳乃と、完璧な笑顔を持つ美少女・叶。
北海道の中高一貫の女子校を舞台に、やりきれない思春期の焦燥や少女たちの成長を描く、渾身の書き下ろし青春長編。
北海道に新設されたばかりの中高一貫の女子校・築山学園。
進学校として全国から一期生を募り、東京生まれの宮田佳乃は東京からトップの成績で入学した。
同じクラスには地元生まれの成績優秀者・奥沢叶がいた。
奥沢はパッと目を引く美少女で、そつのない優等生。
宮田はその笑顔の裏に隠された強烈なプライドを、初対面のときからかぎ取っていたーー。
(アマゾンより引用)
みなみちゃんがめっちゃいい子。
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一言でいうと、タイプが正反対の母親に育てられた女の子が、北海道の新設中高で出会い、ライバルになる話。
中学時代と高校時代が描かれているのですが、中学時代の設定がちょっと気になってしまいました。
寮もあり、いろんな地域から集まった新設校の中1生が大人っぽすぎる。13歳の子が出会ってすぐのクラスメイトを名字呼び捨てで呼ぶかな?
ちゃん付けまたはさん付けすると思う。
読んでいて、あれ?高校生の話だっけ?と思ってしまいました。
設定の甘さはありましたが、母親の呪いにかかった二人の女の子の成長を見守っていく感じです。
中学から高校になるにつれ、周りを見えるようになっていったのが救いでした。
彼女たちは、これからまだまだ悩むんだろうけど、一歩進んで終わったので、まぁ良かったかなぁ。
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北海道に新設された寮のある私立女子中高一貫校。
第一期生としてそこにトップの成績で合格した宮田佳乃と、新入生総代として挨拶をした奥沢叶。この二人の少女の視点で描かれる。
自分の学生時代の世界が狭い中での焦りや嫉妬を思い出してしまう。
(以下ネタバレ)
何か大きなドラマティックな解決がない、と言うところがこの話のすごいところな気がする。宮田佳乃も奥沢叶も悩んで苦しんで、もがきながら道を進むのだろう。
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繊細な感じはとても好きだったけれど、モヤモヤしたものが残りすぎる
大人になればわかると言うのなら、大人の私だけれどわからなかったと言う感じです。
全寮制の女子高に私も通いたかったなと思ってしまいました
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思春期の女の子の感情が凄くリアルで自分の学生時代を思い出して良い意味でモヤモヤしちゃいました。特にハッピーエンドではありませんでした。この女の子達がどうなったのか、乗り越えたんだろうけど、叶と宮田は仲良くなれたのか……将来はどうしたのか、一切描かれず読者の想像に任せる感じで、想像が膨らみます…!
続きが出るなら読みたいですね…。
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わたしはここで生きていくしかないのだろうか。
東京から父に追いやられるように北海道に来た宮田佳乃。新入生総代の地元出身の美少女・奥沢叶。成績トップを競い合う2人は、お互いに相手を強烈に意識していた。
思うとおりに行かない人生、自分の居場所を守りたいプレッシャー、先の見えない不安。そんなとき、涼しい顔をしている同級生のことがどれだけ強烈に刺さってくるか。宮田と奥沢の心情をまるで理解できない人もいるだろう。自分のことのように読む人もいるだろう。ティーンエイジと呼ばれるこの年頃は、まるで自分が世界のすべてから拒絶されているような気がしたり、一歩踏み外せばすべてが終わってしまうように感じたりするものだ。
些細なことに押しつぶされることもある。自分をよく見せようと必死になりすぎて、隣の誰かを傷つけていたこともある。特に、プライドの高い二人には、簡単に(本当は簡単ではないけれど)自分の悩んでいるところを超えていく人間は耐え難いだろう。これは宮田と奥沢が自分を許せるようになるかどうかという物語でもある。
彼女たちの視点から語られる親のひどいこと。しかし、親たちも実際には普通にいそうな親であって、親を選べない、人生を選べない、という不幸を感じる。
では、宮田や奥沢は何を信じて、何にすがって生きればいいのか。小さな奇跡である。寒い地に根付いた金木犀のような、思いがけない奇跡を見つけて、打ちひしがれたところから立ち上がっていけばいいのである。周りを見渡すことさえできれば、宮田にも奥沢にも希望の星が見えるだろう。
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どこか「よろこびの歌」を彷彿させる。だからというわけでもないが、「終わらない歌」のような続編を期待してしまう。ちょっと、あまりに終わり方があっけない気がするから。
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中途半端だったかな。
北海道のとある女子校に通うことになった2人の少女の話をそれぞれの視点から描いた話。
お互いがお互いに嫉妬したり、憧れたりしているのだが、それが交わることがなく、終わってしまう。(すれ違うくらいはあるのだけど)
もう少し、2人の関係性に変化が見られたりしたなら違う印象だったかも。
ちょっと中途半端で残念。
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優等生の宮田佳乃と奥沢叶。
それぞれに複雑な背景を持ち、お互い気にはかかりながらも、交わることのない関係に、緊張感と、息苦しさを、感じる。
自分自身の奥底も見えずに、表面的に無意識に取り繕ってしまう苦しさが、宮田と奥沢を通して、自分の中高生の頃を思い起こさせました。
周りの同級生たちのそれぞれの個性も、こんな子いたなあとか、この子苦手だなあと、ちょっと引っかかっても、一緒に過ごす日々の中で、愛おしくも感じられてきました。
母と娘の関係も、とても胸が痛い。そして、少しわかる気がする。
どうしようもない大人たち、そこから抜け出ることができずもがく彼女たち、宮田と奥沢、それぞれに自分の道を切り開いていってほしい、と切に感じました。
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切ないな〜。
中学生、高校生って、学校の勉強や友達が自分の世界の全てで、そこで頑張ろうと、もがく宮田と奥沢がとても儚く感じた。
途中で出てくるピアノ曲や合唱曲も 雰囲気に合っていて、きれいにまとまっていた。
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北海道の私立に優秀な女の子が毒親に送り込まれてその学校で過ごす話。
嫉妬の感情がいやなくらい上手に描かれている。
主人公は勉強もできてピアノもできてと、いかにも桜蔭にいそうな感じ。
置いていかれる感情とか引き込まれる描かれかた。
寮母さんや先生の絡みはもう少しあったらよかったとも思う。
さわやかなエンディング
青春はいいねとも思った。
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北国の新設中高一貫校が舞台。
成績2トップの二人の少女を軸にして物語が進んでいく。
お互い、何か似たものを持っていると薄々感じながらも歩み寄れない二人。
二人に共通するものは孤独と不安。まわりに悟られないように痛いぐらい隠し続ける。
こんな時期から自分を鎧で覆い生きていくことは計り知れないぐらい悲しい。
最後に金木犀の奇跡を自分たちの奇跡にもしてしまってのだろう、二人は。
きっと大人になった二人はいちばん相手のことがわかる存在になることだろう。
余談だが、金木犀って秋に咲くんじゃなかったっけ。
そこんところ、とっても気になった。
これも奇跡?
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メテオラ、というにはあまりにも見ているものがそれぞれだけど。いや、奇跡を信じるために、だからメテオラかな。これくらいの年頃、というのがあったのだなあと。今の時代はずいぶん違うし、でも気持ちの幅は共感できました。