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タイトルは黒人の歴史だが
2023/06/18 22:31
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ近代史です。そのアメリカ近代史に
黒人が欠かせ無い存在だったということが、よくわかります。オバマ大統領は、移民の子供だったので、奴隷貿易とは無関係かと思っていましたがそうではなく。
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奴隷を最大限に働かせるために日常的に暴力が振るわれ、奴隷の衣食住コストは最低限にとどめられたが、奴隷は搾取できる労働力であり貴重な財産だから、価格が高騰してくると奴隷の健康維持、出産にはそれなりの配慮が払われた。
奴隷も白人、自由黒人の協力を得て北部やイギリスへ脱出した。
アメリカの黒人大学で学んだ学生が母国に帰って独立運動に参加し、これらの国々が次々と独立したことが南部の黒人学生に勇気を与えた。
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アメリカ史を黒人にスポットを当てて説明する一冊。
内容は非常にスッキリとまとめられており、読みやすくわかりやすい。
後書きでも触れられているとおり公民権運動以後の内容が
特におもしろく、産獄複合体に関する話題や、
監獄を農村部に作ることによる農村部のメリットなど
現代のアメリカが抱える問題に歴史の文脈の中で知ることができた。
ひとつひとつの話題に対する掘り下げが薄いのは
新書である以上仕方ないところか。
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上杉忍『アメリカ黒人の歴史』中公新書、読了。副題「奴隷貿易からオバマ大統領まで」、四百年にわたる合衆国の繁栄を支えた裏面の差別史を的確かつ簡潔にまとめた一冊。歩みを振り返るだけでなく、今なお残された課題の指摘も忘れないすぐれた米国史。これぞ「新書」の力か。
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2013/03/102209.html
黒人は人口比およそ数十%、彼らは一貫して最底辺に沈澱する人々であった。著者は黒人を炭坑ガイドのカナリアに喩える。それはアメリカ社会の危機をいち早く伝える役割を果たしてきたからだ。南北戦争と世界大戦、公民権運動…。エッジに全てが集中する。
危機をアメリカ社会に知らせる「カナリア」は同時に社会変革の最前線に常に立ってきたことをも意味する。自由と平等の建前の内実を実らしめんとしたのは最も虐げられた人々である。証言でその消息を綴る。読みやすく立体的に理解できるのも本書の魅力である。
改善と是正の漸進主義が米国黒人史の流れだが、過去四半世紀は白人保守革命の時代。脱人種の「新自由主義」は、かえって差別の構造を肯定し強化する方向へシフトする。このことはアメリカだけに限定される話ではない。多くの人に手にとってほしい一冊。
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評価すべきはキング牧師以後、
すなわち公民権運動以後に1/3近くのページを割いていることであろう。
他書では割と公民権運動以後の記載が薄い。
それはまだこの時代のことを歴史として俯瞰されていないとも言える。
その様な中で70年以降のアメリカ黒人の歴史についての考察は
非常に興味深く読める。
また、様々な人種差別是正政策の裏に、
政治的意図がどのように働いていたのか、
公民権運動以降の黒人の中での多様化についても知る所が多かった。
彼らのアイデンティティはどのように変わっていくのだろうか。
そしてこれは他人事ではない。
国内での人種の多様化が進もうとしている今、
そこに至るまでのバックグラウンドは米国と違えど、
彼らと同じような課題を我々は持つことになるのではないだろうか。
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岩波新書の『アメリカ黒人の歴史』の内容を、「その後の時代状況の変化を踏まえ、また、この間のアメリカ史研究の蓄積に基づいて、書き直すことを目指したもの」(p.213)。読み比べると「この間にいかに歴史認識が変化・発展したかを知」(p.215)ることができるらしい。具体的には岩波新書の方は公民権法が成立してキング牧師が殺されて、というところでほとんどが終わり、20ページ程が90年代の黒人の貧困について、ということだったが、本書では4分の1程度が公民権以後の話になっている。
でも岩波新書の方を読んだのがだいぶん昔なので、読み比べというのができずに残念。結局、人間平等、とかいう思想はどうでも良くて、政治家の票取りゲームなんだなあということがよく分かる。ブラウン判決が現在では「骨抜き」にされている、というのがちょっと驚いた。現在の状況については、黒人で刑務所があふれかえっているということについての歴史というよりは社会学的な分析になっている。(14/05/06)
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本著はアメリカ黒人の歴史に関してエッセンス、歴史的事実が網羅的に整理されおり大変参考になり、NYに来て、より身近に感じる問題といいながらも、過去の歴史について知らなかったことが多々あった。
オバマ大統領が登場して7年もの歳月が経るが、未だに人種差別の問題がこの国の大きな社会問題になっている。
本著を読んで、この社会問題の根の深さを改めて知ると共に、やはり歴史を知らないで現在の問題を判断することはできないことを再認識した。
ちょうど、今日はキング牧師の功績を祝う祭日であるが、アメリカの歴史を知る上で避けて通れない公民権運動、また、彼自身のことについても、もっと学ぶ必要があると感じている。
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アメリカ近代史を扱った本は数少ない。小生は初めて読むが非常に面白かった。
アメリカという国の現在の強さと弱さ、光と陰の根源がこの「黒人の歴史」にあることは間違いがない。
ただ「奴隷制」から「公民権運動」への変転である過去の歴史は実に興味深かったが、昨今の「分極化」の今だに続く悲惨な現状についてはあまりにリアルすぎて読みづらい。まだまだ「歴史」とはなり得ていないとも思えた。
2017年1月読了。
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権利の獲得と言っても、決してきれい事ではなかった。常に駆け引きと隣り合わせで、安堵と落胆を繰り返し、進歩した部分もあるが、今もその道のりは見えない。深いところからの視点、感動ものに終わらせない視点、学問的良心に裏打ちされた表現に満ちた読書であった。
・ワシントン行進の際のスピーチは事前検閲されていた。
・権力を握るためには保守化する必要があった。
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アメリカ独立以前から南北戦争、公民権運動を経て現代まで、差別にさらされながらも、境遇改善への努力を積み重ねてきた黒人たちの歩みを辿る。また、今なお残された諸問題も指摘する。
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中学や高校で軽く学んだ黒人差別の話。その歴史はもちろん、今もなお続いているような問題はどういうものなのか知りたい。
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本日はJuneteenthで、出向先のアメリカの会社も急遽休日となりました。(10月のコロンブスデーと入れ替え)
よって、午前中急ぎの業務だけ片付け、読みかけだったこちらを読了。
先日の岩波新書の本田創造さんの著書と同名ですが、こちらの著者・上杉忍さんはその本田さんの教え子なのですね(と言っても上杉さん自身が1945年生まれの既に大御所)。書名が同名なのも、名著と言われる本田さんの著書を、その後の社会変化も加えて引き継ぐつもりで書かれたとのこと。
いえ、「あとがき」を読むまでそれを知らずに読んだのですが、コンパクトな中に出来るだけのことがとても分かりやすく書かれており、とてもお勧めです。
いやー、新書2冊読んだくらいではアメリカにおける人種差別の問題の深さは到底分からないでしょうけれど、大変に勉強になりました。名著と思います。
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なんとなくしか知らなかった白人と黒人の関係を歴史を追って見ることで、やっと今の状況を理解することができた。偏見は深く深く根付いてしまってるし対立は今でも続いているが、黄色人種だからこそできることはないかしっかり熟考したい問題。
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虐待と妥協の繰り返し。黒人差別とは政治的思惑に翻弄され続けて来た歴史なのだととても良く分かった。
国と法を後ろ盾に数百年かけて築かれて来た人種差別の根深さには途方のなさを感じてしまう。
本書を読み始める際には現代ではほとんど安定した状況を得られているものと考えていたが、終盤に書かれた現在の黒人が直面している様々な問題を見て大きな喪失感を覚えた。
特に産獄複合体なんかは奴隷制そのもので、自分の生きている同じ時代、アメリカと言う大国でこのような仕組みが稼働していることに驚きを禁じ得なかったし、とても恐ろしい。
長い歴史をとても簡潔にまとめており、非常に勉強になった。
この問題について初めに手に取る本としては最良の選択だったように思う。
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なぜ今でもアメリカでは黒人が差別的な扱いを受けているのか、大変よく理解できた。差別の根深さを理解しておかないとアメリカを理解できないのではと強く感じた