紙の本
森沢風サスペンス
2021/02/09 08:58
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投稿者:E司書 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の川合淳は不登校の娘を抱える出版社社員。娘の現状を悩み妻が霊能者紫音に心酔していく。いつも眺めるベランダからの川面。主人公はその川で毎日釣りをしている千太郎にめぐり合い家族の現状を相談し解決策を模索する。娘も霊能者に心酔していくが・・・。前半の展開は著者の作風とは違った形で進んでいき最後に謎解きとなる展開は真新しさ感じるがラストはやっぱり。
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途中でシナリオが読めてしまうけど、森沢さん作品にしてはめずらしいトリックのある作品となっています。涙するほどではないけど楽しめました。
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面白かったです。
騙されていたようで騙されてない。
騙されてないようで騙されていた。
自分は騙されていましたね。
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森沢さんの作品が好きなので何冊も読んでいますが、
今回は今までと少しテイストが違って全体的に少し
重めな印象でした。
春香が学校でいじめに遭い不登校になったことをきっかけに
妻の杏子が怪しげな霊能者に嵌っていく。
一方、出版社に勤めている淳は近所に釣り好きな心理学者の千太郎と出会い家庭内の相談をする。
家族のそれぞれが人の幸せのために生きていこうと
していく姿を描いた家族再生物語。
春香のいじめをはじめとして他の人の辛い過去が描かれたものは
かなり陰湿で暗く描かれているので読んでいる時には
とても心が痛みました。
こんなにいじめを受けていても教師や友達などは
何もしてくれないのだろうかと思うと悔やんでしまいます。
けれどそれにも負けずに両親はそんなに酷いことを
するのなら学校に行かなくても良いと言ってくれたこと
そして少しでも不安にならないようにと守っていて
くれたことが最終的には春香にとって
成長が出来て良かったかと思います。
杏子の行きつけの美容師から言われた言葉で
「いじめられたときの悔しい気持ちとか、
淋しい思いとかを、しっかりと胸に刻み付けて、
その経験がなかった場合の自分より、
ぐっとひと回りしてやるの。じゃないともったいないよ」
というのが印象的でした。
物語の途中で突然な今まで登場しなかった名前の人物が
出てきたので、何処で交錯するのかと思い読み進めていたら
思わぬ展開になっていたの吃驚としてしまいました。
こちらの登場人物の過去も春香とは違った過酷な人生を
歩んでいたので胸が痛くなる思いでした。
この彼女が言ったふつうじゃなくても、幸せだから・・・」
というこの言葉が普通の人のような人生が送れなくても
今は慎ましく日々を送れていることが幸せというような
意味にもとれてとても重みがある一言だと思い胸に迫ります。
また淳が相談していた千太郎さんも家族との辛い過去があり
このエピソードがとても切なかったです。
ある人がいなくなった時に咲いていた紫陽花。
その咲いていた時期を思うといつまでも時が流れることなく
そこで時が止まっているということが更にその人を想い
寂しさを増幅させて涙をそそられました。
家族の誰かが幸せでなかった場合、
一人だけでその重みを背負うことなく
それぞれ家族の一人がその人のために何かをしようと
している姿を見るとやはり家族は良いものだと思い
家族の絆を感じます。
例えそれが少し変わった形で表れたとしても
最終的にそれが幸せに繋がる道であったら
その方法であっても良いのではないかと
今回の作品では思えました。
いつもとは少し違う森沢さんの作品でしたが、
心が温まり家族の大切さを味わえる一冊でした。
ここに出てきた登場人物の全ての人達が
これからもっと幸せになりますようにと願いたくなる作品でした。
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ちょっと盛り上がりにかける話し。もう少し千太郎さんを掘り下げて欲しかった。春香ちゃんは、良い子すぎるかな。
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お互いの幸せを願っているはずの家族でも、きっかけがあれば歯車が噛み合わなくなり関係が壊れてしまいかねない…心が弱った時に何かにすがりたくてスピリチュアルの世界にのめり込む気持ちはよくわかります。心理学の知識でスピリチュアルのネタばらしをする所は爽快で面白かったです。
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珍しく解説から読んでしまった
不登校も引きこもりも、馴染んだ言葉である
杏子のように、怪しさ満点に洗脳されていた
世の中の「ふつう」をどうしたって求めてしまうのか…
やはり、みんなそれぞれ、事情を抱えているのだろうか…
「ふつう」に憧れてしまうよな
私も人生、ずっと梅雨だ
誰もが、良い方向に向かおうとしていて、それでも何か冴えなくて…
でも、最後に、梅雨は明けたから、
それは、とてもよかった
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森沢さんの作品には珍しく重めなストーリー。身近にありそうな怖さ。人は弱っているとき救いを求めて頼れるものにすがって簡単に洗脳させられてしまう。最後までハラハラドキドキしながら読んだ。
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あらすじを読むと、ちょっと不穏な雰囲気。
お父さんのこの状況は色んな意味でキツイ。
中学二年生 不登校の娘・春香。
霊能者に救いを見出だしてしまった母親。
日常に忍び寄る不穏な空気…。あ~、やだなぁ。
拠り所にするくらいならまだしも、霊能者に傾倒しすぎてお母さんの方が危うく感じる。
いじめを扱った作品では、いつもハラワタが煮えくりかえる思いです。
読み進めるうちに心配のハラハラから、ちょっと企みを感じるドキドキへ。
人は誰でもそれぞれの事情を抱えていて、右往左往して生きてきた結果、いまのその人がある。
本当にそのとおりだなぁと思う。
川合家みんなが、それぞれに家族のためを想って行動を起こしている。
作品を通して春香ちゃんの成長をとても感じました。
あと、釣り好きの著者を窺わせる登場人物もちょっと嬉しかった。
清々しい気持ちでニヤリ。
こういう終わり方も好き。
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最後の怒涛の展開の前にある程度ストーリーは読めてしまうのだけど、わかっていても面白くすっきりとした気持ちで読み終えることができました。
春香ちゃんがいい子すぎて話が出来過ぎのような気もするけど、素敵な家族のお話でした。
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とても良かった。中学生のひとり娘のいる3人家族の物語。うちと同じ家族構成なので入り込みやすかった。
娘の春香はとってもいい子なのに、理不尽な理由からいじめを受けて学校に行けなくなる。その時の本人はもちろん、家族のつらさがわかりすぎて心が痛くて。だからわかる。母の杏子が藁をもつかむ思いで怪しげな霊能者に心酔していってしまうのも。
崩れていく一家のあたり前の幸せな日々。そこに絡んでくる釣り師の心理学者、霊能者の事情と正体。ラストに向けての解決への盛り上がりが素晴らしい。そういうことだったのかぁ。じわじわと優しい気持ちになります。だましたりだまされたりしたかもしれないけど、悪意を持っていた人は誰もいなかった。人それぞれに事情があって。みんなに誰かの幸せを願う優しさがあるんだよね。
家族再生の物語。読後感が良くておすすめの一冊です。
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小さな出版社に勤める淳は、家族に悩んでいた。娘は「良い子ちゃん」扱いされたがためにいじめをされるようになる。それは執拗になり、不登校にまで発展してしまった。妻は、娘のいじめをきっかけに自分の不安な気持ちを落ち着かせようと怪しい霊能能力者にハマるようになる。
そんな時、淳は元心理学者の千太郎に相談する。
単なる家族の再生物語と思っていましたが、よくよく読んでみると、色んな仕掛けが施されていて、面白かったです。
一人の視点だけでなく、様々な登場人物の視点で物語は進行するので、同じシーンでもそれぞれの心情がわかるので、より奥行き感が拡がっていました。
また、一部主軸となる淳の家族の物語以外で進行する別の家族の視点が登場します。それが一つの物語に集約した瞬間、推理小説で読む「伏線回収」のような味わい方もあったので、ちょっとしたお得感がありました。
全体的に
「これは何かが起きるのでは?」
「これは裏があるのでは?」
と匂わせるような文章だったので、軽めな推理小説としても楽しめました。
最初は冷たかった家族との距離が、段々とゆっくり温かみのある姿に変わっていくので、読んでいる側もほっこりとしました。方向性は違えども、それぞれが今の現状を打破しようとしている姿には共感する部分もありましたが、もっとこうしたら良いんじゃないかといったもどかしさを思わずにはいられませんでした。
しかし、それぞれの思惑があったからこそ、最後が…でしたので、最終的には良い余韻が残りました。
ちなみにこの作品の最後には、髭男爵の山田ルイ53世さんの解説が載せられており、意外な人選でしたが、的確に捉えられていて面白く、ついつい最後まで読んでしまいました。
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ぐいぐいと引っ張られる展開にページをめくる手が止まらない。今の自分の置かれている状況をみて、普通の良さを再認識。んっ❓洗脳させられたか
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人を傷つけるのは
自分の心が傷ついている人
人をだますのは
人にだまされて
世界を信頼できなくなった人
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いじめがきっかけで不登校になってしまった娘春香。怪しげな霊能者にのめり込んでしまった妻。
妻に続いて娘も霊能者の元へ。
出版社勤務の川合淳は、家族崩壊の恐れに戦々恐々。
そして、居酒屋で出会った心理学者に打開策を相談するのだが・・・
風雲急な展開に、この家族はどうなってしまうのだろうかと、不安な思いに駆られながら頁を捲る。
宇宙意識や宇宙エネルギーとか、あるいは集合的無意識とか、怪しげな言葉が飛び交い、この小説はオカルト小説かと読者も惑わされてしまう。
しかし、作者は森沢明夫さん。
逆転一発ともいえる大団円が待っている申し分ない読後感。
春香が心理学者の先生から教わった言葉。
「人を傷つける人は、自分の心が傷ついている可哀想な人。人を騙す人は、人に騙されて世界を信頼できなくなった淋しい人」