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ルべーグ積分入門(新装版)
著者 伊藤清三
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ルべーグ積分入門(新装版)
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ルベーグ積分入門 新装版 (数学選書)
商品説明
※この電子書籍は固定レイアウト型で配信されております。固定レイアウト型は文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
数学専攻科目としてだけでなく、物理学や工学で使われる函数解析あるいはフーリエ解析の基礎となるルベーグ積分を、理論的な厳密性を保ちながら解説した入門書。数学系の読者だけでなく、理工系の読者にも読みこなせるように配慮した。2017年刊行の新装版では、最新の組版技術によって新たに本文を組み直し、レイアウトも刷新して読者の便宜を図った。なお改版にあたっては原則、一部の文字遣いを改めるにとどめ、本文は変更していない。
目次
- 1.予備概念
- 2.測度
- 3.可測函数と積分
- 4.加法的集合函数
- 5.函数空間
- 6.Fourier級数,Fourier解析
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紙の本
読みやすくなった実解析の名著
2019/07/21 05:32
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:類太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新装版では旧版と比べて字が大きく印刷がきれいになり読みやすくなった. またドイツ文字とラテン文字の小文字との対応表もあるが, 集合族を表すために使われているのはドイツ文字の大文字であるから, 実際に対応するのはラテン文字の大文字のスクリプト体である.
かつて, 本書と並んで主役だった「実解析入門」と比べても, 注意と補足が多い.
測度の構成をする段階でルべーグ測度を含む非可算無限個の測度の例示ができていること, 可測性のカラテオドリによる定義の天下り的ではない初学者にも自然な納得がいく説明, 測度(空間)の完備化の詳細, ルベーグ測度の特徴付け, 可測関数の定義の自然な背景, 急減少関数の急減少する関数としての定義, 急減少関数の空間におけるフーリエ変換をL^2空間に拡張するときにも使われる応用解析において汎用性が高い「定義域が稠密な有界線型作用素のノルムを保存する一意的な拡張の定理」をていねいに証明していること, 関数解析で自己共役作用素をスペクトル分解し表現する時に使う, ルベーグ-スティルチェス積分の説明, 偏微分方程式への応用, これらが述べられていることは特にすぐれていると感じた.
ルベーグによる元々のルベーグ積分の定義も問の形ではあるが明記されていて, リーマン積分と広義リーマン積分のいくつかの関係も例と問で明らかにしている. これらはとても貴重である.
積分論が終わると, バナッハ空間とヒルベルト空間の入門になり, 実解析と関数解析への架け橋となる. L^p空間やフーリエ級数さらにフーリエ変換などによって, ルベーグ積分の有用性が分かる.
偏微分方程式への応用に関しては, 単純だが標準的な形の方程式 Du=f の右辺 f に工夫させた方程式の基本解を「発見的」に得て解を表示するだけではなく, その場において, 現代の偏微分方程式論における「基本解」の存在定理の証明に必然的に直面する問題を上手く回避している. 種類別の性質と, ラプラス方程式・熱伝導方程式・波動方程式, の解の性質を説明して構成をしている. 入口程度かもしれないが, 先に進むには充分に役立つと思う.
「実解析入門」では, 話を短く簡潔に総論していて, 例えば, 他のどんな本よりも完備な直積測度空間を簡単に構成していて, しかも本文でふたつの微分方程式を超関数により解く. 章末問題にも超関数と微分方程式に関係するものがある. ルベーグ積分のリーマン-スティルチェス積分による表現, 微分論, ハウスドルフ測度, 数え上げ測度, 最新鋭の理論であるウェーブレット解析もある. 内容が重ならない部分は有るが, 明快に必要最低限のことは書かれてある. 読みにくい, 似た文字と区別しにくい, 書きにくい, という評判で使われることが減ったドイツ文字の代わりに, アルファベットのスクリプト体を用いていて, ドイツ文字よりはずっと読みやすく書きやすい.
ドイツ文字はアルファベット A, B, M, I, F, E, F, M, B, O, I, F, A, B, M, B, M, S, B, M, S, F, S, D, C のスクリプト体と読み替えるといいと思う. ドイツ文字とアルファベットの対応だけなら「数学のかんどころ 早わかりルベーグ積分」も参考になる.
測度論にも積分論にもその応用にも詳しく感じる. 仮定と結論を度々考察している. ルベーグ積分の入門書としては比較的読みやすいだろう. 微分積分法だけで分かるように, 付録にユークリッド空間の位相が他書を読む時にも役立つ形で, 最低限を短くまとめてある. 適当に定理または証明あるいは節を飛ばしたりすれば初学でも読めると思う. (ルベーグ測度の詳しい性質・完備化・直積測度・ルベーグ非可測集合など. )