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障害を持つ子どもに真摯に向き合うセラピスト。
ノンフィクションであり、こういう世界があることに驚きます。
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衝撃のノンフィクション。最初からノンフィクションだと知っていなければおもしろい(と書くと語弊があるが)小説だと思ってしまったかもしれない。施設に収容された9歳の少女。日常的にあらゆることに嘘をつく彼女と、週1回ボランティアで訪ねる作者とのやりとりの記録だ。少女に下された病名は“反応性愛着障害”だった。何が真実なのかわからない状況で手探りのやりとりを続けるうちに、ついに明らかになる驚愕の事実とは……。
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トリイがウェールズで暮らしていて(今も暮らしてる?),ボランティアとして接したジェシーという10歳の女の子(11歳かも)の物語.
ジェシーは高齢出産で生まれた4人目の娘.上の二人の娘(双子)は既に成人して家を出て,3人目の姉はジェシーの8歳上で同居してるのかな.母親は産後鬱からしばらく子育てに参加できず,3人目の姉ジェンナがジェシーの面倒を見ていた.ジェンナはストレスからジェシーに性的いたずらをするようになり,これがジェシーの問題行動の根幹.この件については,物語の最後の方でトリイに心を開いたタイミングでジェシーが語った.
ジェシーは他者や場を支配するために嘘をついたり攻撃的になったりする.両親が育てることを拒否して里親制度を利用するも,問題行動から受け入れ拒否をされグループホームみたいな所で暮らすことになった.
ウェールズではビザの関係で作家として働くことしかできないトリイは,ボランティアとして何かしらの問題を抱える子どもたちと接するようになる.そこで出会ったのがジェシー.週に1回ジェシーと会うわけだが,トリイが大活躍していた70年代,80年代のアメリカとは異なるジレンマを抱えながらジェシーと接するトリイ.
ジェシーの嘘がきっかけでホームの産業医?みたいな人が性的虐待の疑惑をかけられる.最終的に疑惑は晴れるものの,該当の男性は引っ越すことになる.
ジェシーはリバプールにある寮タイプのグループホームみたいな所に移ることになり,そこで連絡が途絶えてしまう.それから数年後,ジェシーから元気にやっていると手紙が届いて物語は終わり.
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途中、読むのを挫折しそうになった。
内容が読んでて辛いとかでなく、何も進展しなさすぎたため。
それを何とか乗り越え読み切れた。
簡単に言うと児童虐待の話
いつも嘘をついて自分に注目してもらいたい、暴力を振るったり放火したり、実の親に育児を放棄された9歳の愛着障害と診断された女の子。
愛着障害って初めて聞いた言葉。
その子に忍耐強く関わり問題を解決しようと必死だったトリィ。
ちょっと困らせてやろうと嘘をついたことで、とんでもない目に合わされた職員(性的なことをされたと嘘をつく)
日常的に嘘をつくから、ほとんど信用されず
でも、今度は嘘をついてないかもしれないと助けを求めてるかもとか考えたり。
子供の時に性的被害をうけていたがまさかの姉から。
最後、プロのダンサーになった彼女からの手紙があって
どうなったか気になってたのでよかった。
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最初は「何て胸糞悪い子なんだろう」と嫌な気分で読み進めていった。
トリイとのやりとりで時折涙を流すのを読んで、マウントを取ろうと嘘をついてるのか、それとも本当に苦しんでるのか、どっちなんだろうと一緒に悩んだ。
後半、トリイがジェシーのことを大好きと書いてあるところにちょっとグッと来た。
トリイの振り回されないところ、この子の愛すべきところをちゃんと見つけてるところがすごい。
ジェシーが自己破壊してしまうところもせつなかった。わからないことが怖かったんだ。
読んでいくにしたがってせつない気持ちがわいてきた。ジェシーは幼い頃から寂しい、悲しい思いを嫌というほど味わってきた。何てかわいそうな子なんだろう。
最後、トリイに届いたジェシーからの手紙に思わずウルッと来た。
プロのダンサーになってたなんて!ジェシー素敵!親戚のおばさん気分だった。ジェシーがずっとずっと素晴らしい人生を送れますように。
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『シーラという子』をだいぶ前に読んだ時の衝撃を思い出した。それからあの頃は、続けざまにこの著者のシリーズを読んで大人のひとりとして子どもに関わる仕事の大切さと困難な家庭のあるとこなどをあくまで客観的に知ってきた。
今回のジェシーという女の子もその延長線上で、という感じで読み始めた。違うところがまず、トリイ自身の立場の違い。違う国に来て正式な職務として取り組めなかったのは何と歯がゆい事だったでしょう。まして、今回のジェシーはこれまでの以上の強者で。
「うそをつく子」の本当の姿はすつかりはさらけ出せずに終わってしまったけれど教育現場と家庭の実態など辛い結末が尾を引く。
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ノンフィクションが好きな人におすすめ。
ある人に対して表面だけをみて決めるのではなく、深いところまで知ることが大切です。
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トリイ・ヘイデンのノンフィクション。
『シーラという子』ほどの衝撃はなかった。自分が大人になったからかも。
日常的に嘘をつき、常に会話の主導権をにぎろうとする少女に、トリイが根気よく付き合い、彼女が言えなかったことを言えるように導いてゆく話。トリイと少女のやりとりが、長々と、詳細に書かれている。読んでいるだけで疲れるのだが、ノンフィクションならではだと思った。
個人的にはイギリスの紅茶とお菓子の文化に触れられる点が良かった。ボランティア先の施設、少女の実家、里親先に至るまで必ずお茶が出てくる。添えられている菓子がビスケットだったり、ティーケーキだったり、チョコだったりするが、本当に日常的にお茶とお菓子を嗜む文化なんだなぁと感じた。
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トリイがイギリスに移ってからの物語。
効率化を求める現代においても、トリイが対話スタイルを変えてなく、少女と絆を作り上げていくことに、時代が変わってもこういうところは変わっていないと安心した。
このひとは密室の中で、時間をかけて一対一の信頼関係を築くことに本当に長けていると思う。
少女に虐待したのは誰なのか?先が知りたくてページを捲ってしまい、一気に読み終えた。
シーラという子の時代のように、若くて、ときどき感情的になるシーンはほとんどなくて、
この本では全てが熟練していて、安定している。年月の流れを感じた。
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トリイがウェールズに移り、ボランティアとして1人の女の子を相手にセラピーをする話。
ジェシーは日常的に嘘をつき、周りの人々をあらゆる手段を使って困らせてしまう。ジェシー自身の心の苦しみが伝わってきて、やりきれない気持ちになってしまうことがあった。
そんなジェシーに対して献身的に、愛情深く接するトリイ。ボランティアという形でなければ、もっと色々なことがトリイならできたのではないかとも思った。でも、少しずつジェシーにとって良い方向に事が運び良かったと思った。
そして現在、ジェシーが幸せで精神的にも楽になっているといいなと思う。
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信頼できる大人にいうのが正しいのよ。
ものごとは決してよくならないという気になるときがあることは分かってるわ。でもね、たった一つでも本当のことから始めれば、そこから取り組んでいけるのよ。
本当のことをいうことが、あなたにとって安全な選択とは感じられないのは気の毒だわ。
本当のことをいう努力をしていきましょう。
誰もが幸せになりたい。誰もが愛とつながりにあふれた充実した人生を送りたいと思っている。不幸になることを選ぶ人などどこにもいない。もし自分がやっていることのせいで誰かが不幸せだとしても、それは最初から意図した結果ではない。どんな理由があるにせよ、自分がやっていることが気分をよくすることに役立つと思っていたのだ。
自分を不幸にするためにわざとそんなことをしたわけではない。ただそのときにそれ以上のことができなかっただけなのだ。
状況を変えるためには、非難するのではなく支援するほうに焦点を変えなければならないのだ。
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全作品読んできた大好きなトリイ・ヘイデン16年ぶりの新刊。
初めて読んだ「シーラという子」から変わらないトリイが読めたことに心が震える。
暗闇の中1人で苦しみと戦わざるを得なかった子供が、トリイと出会い光溢れる世界の入り口を見つけた瞬間の笑顔の描写は何度読んでも感動してしまう。
解説が信田さんという所もまた素晴らしい。
訳者あとがきに書かれていた新作の出版が楽しみ。
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高校の頃から好きな作家さんで、久しぶりの新刊をワクワクしながら読みました。
色んな家庭環境がある中、あってはならない環境に身を置いている人は想像するよりもずっと多いです。そんな環境から身を守るためにこじれた子どもがトリィや周りのスタッフに支えられながら、新しい自分の居場所を見つけていくところが好きです。その子の本当の気持ちや、恐怖心はどこから来るものなのか、推理しながら読んでいます。
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望まれずに生まれてきたがために、愛情を受けることなく幼少期を過ごし、子どもらしからぬ嘘をつくことでしか生きていられなかったジェシー。心底同情したくなる一方で、こちらの信頼を損ねるような態度と出来事が続きまくったら、愛情を注ぎ続けることは困難になりそう。諦めることなく心を砕き続けた筆者には脱帽。ジェシーの嘘で人生の一時期冤罪を背負わざるを得なくなったジェームスがその後立ち直っていることを心から願う。そして、ジェシー自身が、嘘をつくことなく今生きているのかどうか気になる。負の連鎖が生まれていないことを切に祈りたくなる。
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タイトルの通り、様々なうそをつく少女ジェシー九歳の物語。
ジェシーはグループホームで暮らしている。両親はジェシーが放火事件を起こしたことで、「一緒に暮らしたくない」と訴えジェシーは家庭から離される事になった。
そのグループホームへトリイはボランティアとしてセッションをしながらジェシーに関わる。
大筋はこんな感じ。
トリイは今までの作品と違って、ボランティアとして関わるので細部が若干、『わからないまま』物語が進んでいく。特にジェシーの両親は後半を過ぎてからチラリと出てくるだけで、前半はジェシーやスタッフであるメレリの言葉や記録を見てという情報しかない。
そして、繰り返されるジェシーの嘘の数々。それだけではなくて、場を支配しようとするパワーゲームがトリイとのセッションで毎回行われる。
正直、読んでいるだけで疲れる。九歳の子供がこんなだったら……と思ったが、うちの九歳児もここまで酷くないだけで似た点は多々ある。
嘘をついて、自分が上位に立ちたいと思うのは、別に子供に限らず誰にでもある。
ただ、ジェシーの嘘はとことん人を追い詰める悪質なものもある。前半はとにかくジェシーの嘘が繰り返され『ジェシーは嘘をつくが、それこそが問題の本質である』と書かれている。
そして、本の中間地点で大事件が起こる。
『男性スタッフが私の大切なところを触ってきた』とジェシーが告白したのだ。
子供の話を受け流す時代は終わっていた。正確な年代は書いてないが、恐らく1990年代ごろではないかと後書きに書かれていた。
ジェシーの告白で男性スタッフも、ジェシーもそのグループホームにいる事は出来なくなった。
日本が子供の性被害にどれだけ敏感なのかは知らないが、アメリカやイギリスでは子供の告白に対処するための仕組みがあるらしい。
ジェシーがホームからいなくなってしまった事で、一旦、トリイとのセッションも中断される。
その後、色々あって、ジェシーとのセッションが再開され、ジェシーも里親の元で上手くやれずにホームに戻る事になる。
すでにお腹いっぱい。
物語の造りがうますぎて、うさん臭さすら感じてしまう。以前はここまで劇的な物語の造りにはなっていなかったような。と思い始めてしまった。このケースはたまたまこのように『上手くいった』というものなのだろうか? それとも、上手くいかなかった部分を端折って物語として魅力的な部分だけをピックアップしすぎているのだろうか。
とにかく物語としては面白いのだが、面白いだけに『結末』を期待しすぎてしまう。大丈夫なのだろうか……という気にさせられた。今までの作品は『問題だけが残り、結局何も解決できなかった』というようなものもある。結局、そっちに向かうのだろうか?とも、考えてしまった。
物語に戻る。
ホームに戻って再開したセッションもジェシーの嘘やめちゃくちゃな行動が、毎度毎度おきる。その中で少しずつ、見え隠れする事実が混ざっていく。
最終的にはジェシーに性的加害を加えたのは姉だったと発覚する。その姉もまた両親のネグレクトとさらに上の姉たちからの虐待に苦しんでいた子供だったという事実が明らかになる。男性スタッフが触ってきたというのは嘘というのも発覚。
姉妹間の虐待の連鎖が根底に転がっていたと分かり、物事は急速に収束していく。
最終的には十年後のジェシーから『世界中を飛び回っている』と手紙が来たところで終わる。
この最後の手紙には「日本にも行った」というような事まで書かれているのだが……さすがにこれは翻訳される国ごとにその国の名前を入れているのでは?と思ってしまった。
そんな感じで、所々がちょっとなと思う点はある。
でもそれを抜いても、『面白い』と思えた。
『昔はこんな風に子供に接していた。今はこんな風にしなくてはならなくなった』という話も興味深い。最初の作品『シーラという子』の時代は本当に手探りで、何も確立してなかったのだなと思った。
物語が上手くいきすぎている点は気になったし、男性スタッフは人生をめちゃくちゃにされているし、ジェシーを虐待したお姉さんもその後どうなったのかは分からない。
「お姉さんは大人なのだから」というトリイの言葉一つだけなので、それなりの罰則があるのかそれとも福祉に繋がるのか謎である。
発覚時は大人でも虐待を行っていたのは子供時代の場合はどうなるのだろうか。
いろんな事が複雑すぎるのに、最後が『いい感じ』で終わってるのは、物語に寄りすぎな気がする。
うーん。何だろうか。
以前までの物語の印象では『家族丸ごと』な話が多かったような気がしたので、今回の「うそをつく子」はジェシー一人だけに光を当てすぎているような気がしてしまう。特にお姉さんなんて問題が起きるまでは、「面倒見がいい子だった」という両親の言葉やジェシーの「あんな人嫌い」という極端な話でしか出てこなかったのに、最後にいきなり光が当たっている。
家族の問題の物語としては、家族が薄くて……ちょっとイマイチな感じ。
ただ、タイトル通り『うそをつく子』として考えると、「なぜうそをつくか」にずっとライトが当たっていたと思う。
ジェシーが主人公なわけでもなく、『うそ』が主役だった。
そういう点では少し不満。