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社会を読み解く数学
著者 著:松原望
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社会を読み解く数学
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社会を読み解く数学 逆説、効用、論理、幾何学、統計、数理、比例、集合、ゲーム理論、確率過程−変化する社会に立ち向かう数学的思考法
商品説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
毎月のように日本のどこかで選挙が行われ、投票で政治が決まります。国政選挙であれば影響は大きく、さらにアメリカの大統領選ともなると世界の運命がかかるといっても過言ではありません。しかし民主主義は数だ、という政治家さえいるのに、一票の価値の不平等はその民主主義の根本をも否定してしまう。世の中を「数学」という眼鏡を通して見ると、世界がまるで違ったものに見えてくるでしょう。数学はおもしろい!
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紙の本
幸福を計算してみる
2010/03/07 19:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここ数年になるだろうか、一般向けの「わかりやすい」「やさしい」を謳い文句にした数学書が目につく。たしかに、数学がわかるようになると、なんだか頭が良くなりそうだ。いや、その気になるだけかもしれない。ただ、それで何かがわかりやすくなるのであれば、よしとしておきたい。
本書の売りも、多くの著作をあらわしてきた統計学の教授が、世間のさまざまな事象の根底にある数学的な仕組みを解説した、というものである。民主主義や金融工学、格差まで、多様な事柄を扱っており、きっかけづくりにはちょうどよい。いずれも、ここ数年に限ってみても、よく話題にのぼる事柄ばかりである。著者も序文でいうように「エッセイ」のようなものなので、肩肘張らずに読める。ただ、より深く学びたい人にとっては、説明がやや物足りない面があるかもしれない。本書を入り口に他書に挑まれたい。
ところで本書を読んでいると、「難しそうなことをわかりやすく解説する」ということは重要であることを痛感する。その好例が本書2章「幸福の計算」である。世間的な建前は「幸福は測れない」ということになっている(あの有名なCMでは盛んに「プライスレス」を強調しているではないか!)。しかし実際には、しばしば幸福はカネやモノに還元される(あのCMも、結局は「プライスレス」な幸福のために、商品購入を喚起するものである)。こうした議論は、学問の世界でもさんざんにされてきている。
ただ、「効用」とか「厚生関数」などと言われても、なかなかピンとこないのが人情であろう。「平均**がこれだけ上がった」などといわれたほうが納得しやすい。しかし、「平均」のみをみることで「皆が幸福になった」と言えるのか。納得しがたい部分は残るとしても、世間的な建前も邪魔をして、それ以上に考えを進められない。たとえば、それに答える道具の一つが「パレート原理」なのである。こうした専門用語で表現すると小難しく聞こえるが、中身は意外にシンプルであることに気がつかれよう。
そんなこんながわかるだけでも、大いにプラスである。ただし、博識な著者だけに本書の叙述は意外に脱線も多く、読者は惑わされることもあるので注意されたし。