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電子書籍
花塵
著者 連城 三紀彦
洋画壇のなかで、男たちをカンバスにして、自分の人生を描き続けた女がいた。いつも新しい玩具を欲しがる童女のように、次々と男をとりかえ、奔放な暮らしを続けた。世間からは「魔性...
花塵
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花塵 (講談社文庫)
商品説明
洋画壇のなかで、男たちをカンバスにして、自分の人生を描き続けた女がいた。いつも新しい玩具を欲しがる童女のように、次々と男をとりかえ、奔放な暮らしを続けた。世間からは「魔性」と呼ばれる生命の破壊力で、男たちすべてに破滅を与え、その破滅こそが愛の証しと考え、激しく生きた女が遺した、1枚の絵。破滅こそ愛の証し。魔性の愛を描く、長篇恋愛小説。
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紙の本
激しすぎる人生を生きた笙子。彼女は、本当は何を求めていたのでしょうか?
2002/05/24 03:19
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投稿者:くろねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
激しすぎる人生を生きた笙子。
関わった男を不幸にすることを繰り返しながら。
彼女は、何を求めていたのでしょう?
最初から、弄び、捨て去るために男たちと関わりを持ったのではないはず。
強く、強く、欲望のおもむくままに生をまっとうした笙子。
彼女が描いた1枚の絵「花塵」。
タイトルにもなっている、この作品のイメージが、頭から離れない。
舞い散る桜の中の1人の男。
華やかなはずのその絵に確かに存在する淀んだ闇の世界。
その花びらは、その絵の前で息子に刃物を向けられた
笙子の血の色ではなかったのか…。
奔放に生きているようでいて、病床の夫やその妹を見捨てることはしない笙子。
そのくせ、絵を描かせるためだけに引取った息子を、なぜか破滅に導こうとする笙子。
この、矛盾していそうで、なのに、笙子の中でなんの違和感もなく同居する感情。
笙子の人生を追いながら、その疑問に答えを出そうとする「私」。
みんなが、知っているのは笙子の一部分ずつのみ。
それをつなぎあわせることで、答えは出るのでしょうか。
まるで、完成図のないままに、巨大なジグソーパズルに挑戦するようなもの。
だって、人間なんて、自分自身ですら、自分を分かっているかどうか確実ではないのに。
その行動だけを見ていると不可解であっても、裏側から見ると、たいていは、
これ以上はないほど理に適っているはず。
そのキーさえ見付かれば。
とにかく、私には、笙子の本質が、それほど身勝手なだけには思えなかったのです。
それは、「花塵」に秘められた「何か」のせいなのでしょうか。
単に、病身の夫やその妹を見捨てなかっただけではない何かを感じたのです。
その激しさには、どこか、『風とともに去りぬ』のスカーレットに似たものが
あるのかもしれません。