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神戸大学大学院の三品教授の著。
自身が抱いている日本企業の現状(本書では成長市場主義と記述)に
対して、マクロ的視点から警鐘を鳴らし、どうすべきかを述べている。
イノベーション・品質・多角化・グローバル化という4つの視点から、
これまでの日本企業の失敗について詳しく見ていき、
その中でどうすべきかを述べる構成となっているが、ややこの失敗事例が古い。
そのため、納得感の醸成はやや弱い。
しかし、言わんとするところはよく分かる本だったと思う。
個人的には、品質の章が特に印象に残った。
自社も含め、品質が良ければ価格は高くてもという風潮。
しかし、この品質の定義を改めて見直す必要性を感じた。
本書で述べられている「コンフォーマンス・クオリティ」と、
「パフォーマンス・クオリティ」は往々にして混同されていると思う。
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「戦略不全の・・・」で有名な三品先生の著書。読み物になっていて、読みやすい。が、中身は結構濃い。「成長戦略」に対しての強烈なアンチテーゼから入るが、なるほど正しい。経営にとって、やはり重要なのは、「志」と「撤退する勇気」だと思った。
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日本企業の成長至上主義に対して警鐘を鳴らす良書。今起きている世界的な変化を無視して、安易に成長戦略を描いてもうまくいかない。図に出てくる過去の出荷数量と出荷額推移のグラフや売上高と利益率のプロットを使った分析が実にわかりやすい。「体を入れ替える」「リ・インベンション」。常識を創りに行かねば、埋没するのみ。
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正直なところ、少し期待外れ。
過去の企業事例から学べることは多々あった。
しかしながら、日本企業の方向性について何かヒントがあるのではと思って手にしたが結局「心の叫びを」と言ってもな・・と正直感じた。
今の日本人には他国にはないほどの構想力がある?
新規事業が未来の指揮官を育てるという視点や、現在の若者の資質を生かしたビジネスを創るという視点など、分析部分は確かにそうしなければいけないとは思うが・・・。
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最近、外資系勤務の人の本ばっかり読んでたせいか、大学教授からみた企業論は違った視点でとても面白かった。実例を上げて、企業の方向性をどのうにもっていくのがいいか、読者に考えさせるようになっており、非常に読み応えがある。押しつけるような回答がなく、問題提起、事実に基づいた検証のみで終わっているところが、この本のいいところではないかと思う。
今の日本企業が置かれている立場、「成長」の意味、ぜひ就職活動をしている学生に読んでもらいたいと思う。
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「成長ありきの経営はもう止めよう」の帯の通り、現在の日本企業の(と言っていいか分からんが、自分の会社を思うと「そうかも…」と思ってしまった)成長ありきで、何がしたいのか見失っている様に一石を投じる本。
具体的には、目的もなく、イノベーションを目指し、品質を大事にし、海外に出ていくことに疑問を投げかけている。
この「目的もなく」というのが大事なところで、別にイノベーションも品質も海外進出も否定しているわけではないというのが俺の理解。
最後に日本企業の生きる道として提示されている「リインベンション」(=もうここまで来たら新商品もなかなか難しいから、工法やら構造やらを抜本的に変えて「再発明」を目指したら?)は一つの手段だとは思うけど、それだけでは日本の雇用は守れないと思うし、海外企業に勝つのは厳しいかなとも思う。
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第1章からの学び
成長とは、結果として実現するもの。成長を必達に掲げるのは本末転倒。
“ 仕事の醍醐味は、事業を通して世界を変えるところにあるはずです。”
→耳の痛いご指摘です。
第2章からの学び
セイコーの事例をもとに、イノベーションについて批判的に検証。
セイコーの衰退とスイス勢のけん引については、興味深く、ハイエックの熟慮しつくしたポートフォリオが光っています。
そして、セイコーがなぜ衰退したのか。これも、明快に述べられています。問題をどこでとらえ、イノベーションを行ったか。負の遺産のうえには、努力は実らないことが、示されています。
“ 要するにマーケティングのジッパーです。個々の製品を売ることだけ追い求め、販売数量に一喜一憂していると、いつのまにか経営の戦略性が失われてしまう”
第3章からの学び
ここでは、品質神話を批判的に検証。
ヤマハが事例です。
ここでも、ヤマハか自滅の道を辿りますが、販売量を追って自滅しています。。。
ヤマハは、コストパフォーマンスクオリティーを訴求していたようです。
でもそれでは、世界から存在感意義は認められないと、厳しい現実味が立ちはだかります。
“志のない事業には限界がある”
第4章からの学び
冒頭には、麒麟麦酒とアンハイザー・ブッシュなどを事例があり、本論では、鉄鋼業界の事例があり、多角化について、批判的に検証します。
多角化の二類型は、わかりやすいです。
“ ポーター教授によると、競争優位は地縁に頼って得るものではなく、他社に先駆けて有望な事業を見出すところから生まれる”
事業をみつけ、挑戦する、
これがなかなか日本企業には難しいようです。。。…
第5章からの学び
イマジネーションを働かせて、戦後の日本を新興国と捉えなおして、とわかりやすいやり方で、説明が展開します。
その当時、日本に来て期待どおりの成果をあげた外国企業など数えるほどしかなかった。現実を見つめ直そう、というのが、著者の提言。
先行投資とするか、後発参入とするか、いまうまくいっていても、それでもなお、余談を許さず、熟慮に、熟慮が必要だと警鐘を鳴らします。
第6章からの学び
飛び地へのリ・インベント、
これが、著者の提言。
アップルの事例を取り上げていますので、よく分かります。
“ 自社の「やりたい仕事」を精密にさだめることこそ、経営戦略の第一回となるのです。それは、集合で合議で決めることではありません。卓越した個人の心の叫びに従うものなのです。”
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売上が増えれば利益も増える、というわけではない。
むしろ、売上の過度な追求は会社を窮地に追い込みかねない、ということに気づかせてくれた。
最後のまとめにもう少し具体性が欲しかったのと、新規ではなく既存の根幹事業をどうするか?についても語ってほしかった。
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日本企業のたたされる厳しい現状とその原因を構造的に分析した本。経済の知識がなくても読めるようにはなっているが、見慣れないグラフが出てくることもある。
筆者の主張は一言で言えば「日本企業は今までのように商売を続けては儲けられない」ということかと。
それに対して人々が解決策として考えている"イノベーション""新興国市場""技術の卓越性"などのウソを暴いていく。
しかし筆者のいう解決策は非常に短い分量しか割かれていない。
日本企業の現状とその未来を考え始めるのにはとてもよい本だと思う。
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果たして日本企業は優秀なのか。かの日の虚構の栄光に、日本人が囚われすぎてないか。最近、外国で感じた疑問を晴らしてくれた一冊。
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成長の奴隷になっている日本企業。本来は事業を通して「やりたいこと」を実現するのが企業なのに、そうなっているか。成長は結果として実現するもの。
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素晴らしい。巷間に満ちる「通説」に対して、論理的で根拠に基づいた助言の数々。以前の著作に比べ、読みやすくかつ、実践に踏み込んだ内容。もう一度読みなおしたい。
以下内容のメモ。
第一章 本当に成長戦略ですか
売り上げ拡大を市場命題とする雰囲気への反論。豊作貧乏になるだけでは?企業としての社会的価値の追求とその結果としての利益追求を唱える。
第二章 本当にイノベーションですか?
イノベーションだけでは、勝ち残れない。マーケティングが必要である。
第三章 本当に品質ですか?
品質もコンフォーマンスクオリティではなく、パフォーマンスクオリティを重視すべき。意味のない品質追求に陥っていないか?
第4省 本当に浸みだしですか?
既存事業との類似性や応用可能性を根拠にリスクを低いと判断して実施した多角化は、成功例がほとんどない。むしろ、利益率とシャープな目的意識が必要。
第五省 本当に新興国ですか?
猫も杓子も新興国に進出を試みるが、成功パターンはなにか?日本が新興国だった時代を例に以下に外資を排除・受容してきたかを論じ、効果的な事業領域を探る。
第六章 本当に集団経営ですか?
集団的サラリーマン的リスク回避的経営への警鐘。
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何気なく経営の考えがちな、成長戦略、イノベーション、品質、多角化、新興国開拓などについて、本当にその戦略が正しいのかを事例を元に詳しく紹介されている。
例に挙げた企業の最終結末をみて間違であることを解説されている。
ここまではよいが、所詮結果論。最終章の、ではどうしたらよいかの説得力が弱いと感じた。
ゆとり教育の成果として日本人のクリエイティビティがアジア圏断トツ、とのこと。それがこれからの「リ・イノベーション」に欠かせない貴重な資源だとか。しかしクリエイティビティが断トツという説得力ある根拠はなく、著者の大学で教鞭をふるう際の学生達に接している感覚のみ。事例のところでは大量のデータでの裏付け論理で説得されているのに、最後はこれかよ?って思わず突っ込んでしまう。
経歴を見ても、経営に携わってきたようでもないし、、、
残念だな。
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現代の日本企業(主に製造業)の直面する問題を鋭く指摘した一冊。個人的に一番興味のある分野だけあって、非常にためになり興味深い内容だった。著者が母校で勤務するの教授というのも親しみの持てる点。
日本企業の抱える問題を総称すると、「成長至上主義」。不安定な時代においても中計は総じて売上増・益増の右肩上がり。リーダーが描いたビジョンを実行するための経営ではなく、やることを合議で決める手段としての集団経営の蔓延。高度成長期の終焉から20年余が経つこの時代においても、日本企業のDNAが悪い意味で根付いてしまっているのだと感じる。
窮地に陥った企業にありがちなイノベーション戦略、多角化戦略、新興国戦略が果たしていかほどの効果を持つものかということについても分析があり、今後の企業のあり方を考える上でとても勉強になった。
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戦後の保護された時代には政策が機能していたものと理解した。
現在は、政策が機能しているように見えないし(その存在も疑われるが)、通貨政策などは方針も無いように思える。
企業の力も経営者の個性が喪失しているように思える昨今、疑わしい状況である。サラリーマンとしてもひとりひとりの起業家精神が求められる時代であると考えるが、それが社会科学的分析を拠りどころとしているようでは実効的に機能することはないのではないかと感じている。