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私のことが書いてある!!とここまで強く確信できる小説はなかなかない。私は全然「彼女」のように行動できていないし、意見の違う相手との対話も避けてしまいがちだけれど。こんな経験を、こんな思いをしているのは私だけではないのだ、そして無理に自分の信念を曲げてまで妥協しなくてもよいのだと思わせてくれる、勇気と元気をくれる作品だった。
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キム・スンジュンを殴りたくなる。主人公が不愉快で読むのが辛い。
ミラーリングやスンジュンが家父長制に対して疑問に思うところなど、仕掛けがいっぱいある巧妙な作品。
スンジュンが酷いなと思っていたが、酷いのは世間。それを直視しないといけない。
『82年生まれキム・ジヨン』以来のインパクトかもしれない。
「彼女」の名前が印象に残ってない。なんで名前が出てこいないんだろうか。
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おもしろすぎた…!!!
クソみたいな世の中で愛を見つけようとするフェミの女の子の気持ちが手に取るようにわかって、めちゃくちゃつらかったです。
ミソジニストじゃない男なんてどこを探したらいるんだろうか???日本や韓国にいたら出会うことなどできないんだろうか??フェミニストの男の人っているんだろうか……
今付き合ってる人もずっとこのミソジニーな世の中で、特に問題意識を持たずに生きてきた人だからしんどい。
フェミニズムも男性との愛も諦めたくない人の本でした。
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ずっと忘れられなかった元カノと4年ぶりの再会、その「彼女」が4年前とは打って変わって「フェミニスト(メガル)」に豹変(あえてこの言葉を使おう)していたー。そんな再会と「フェミニスト」に豹変した彼女との交流が、彼氏である「僕」視点で描かれている本作。この視点での物語展開こそが、本作を非常に秀逸な作品へ導いたと言っても過言ではないと思う。
「僕」視点で描くことで「僕」が、いかにハンナム的な思想で認知が歪んでいるか逆説的に表現することを可能としていたからだ。もっと言えば、「僕」と同じような人がこの本を読んだとしたら、「僕」の違和感に全く気がつかないのだろう。ただ「元カノと復縁したけど、元カノがクソフェミで耐えきれず再び別れた話」としか捉えられないのだろう。彼は決して悪いことは何もしていない「善良な男」なのだから。
ハンナム的男性ばかりのこの社会で、家父長制が根深く残るこの世間で、私たちは純粋な気持ちで異性と恋愛をし、愛を育むことができるのだろうか。本作で描かれているように、現実でも性差別に関する議論が交わされるたびに「考えすぎだ」という世論が上がるが、フェミニズムに関して「考えが及ばない」世の中は、私たちにとって本当に深刻だ。そしてそれが恋愛に影響してしまう事実と問題を真正面から描き出したのがこの作品だ。「彼女」と「僕」がどう頑張っても交われないことが熱量を上げて明らかになる後半は、その虚しさに図らずも涙が出てしまった。「僕」が彼女に感化されて完全なフェミニストになる結末を、少し期待をしていた自分がいたのかもしれない。しかし、現実と同じようにそんなことは無理だった。
私自身20代前半からフェミニズムに関心を持ち始めて以降、少しでもセクシストの気がある異性には少しも惹かれなくなってしまった。そしてそれは悲しい哉、私が出会った9.5割の男性に当てはまる。
私たちにはライフプランを選択する権利がある。キャリアを選択する権利がある。嫌なことを拒否する権利がある。意志を表示する権利がある。快楽を求める権利がある。
私が私であるために必要なのがフェミニズムだ。あなたがあなたであるために必要なのもフェミニズムだ。女性のためだけのものでもない。フェミニズムは性別に関係なく誰にでも開かれているものだ。
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タイトル買いしてしまいました。
その期待を裏切らないくらい面白かったです。そして、韓国語の翻訳とは思えないくらい読みやすい文章でした。
簡単にまとめると「4年前に付き合ってた元カノと再会したら、過激派フェミニストだったけど付き合ってみた。」というお話しです。
物語が進むにつれ、「フェミを貫く彼女の頑固さ(ウザさ)」と「フェミを理解しようと頑張っている彼氏の健気さ」が読んでて辛いものがありましたが、その描写が今の世相を面白おかしく表現しており、最後まで読み終えることができました。
今、「論破」が流行語となりつつありますが、どちらか一方の“極端な”意見に立って、その意見以外は認めない・聞き入れない社会に変容しつつあるように思います。そんな中で自分が正しいと思った意見を盲信するのではなく、男女がお互いに理解・尊重しあって対話することの重要性をあらためて感じました。
「(本書には、)簡単にはわかり合えなくても、対話を諦めないことが大切・・・男女が同じ人間として対等に尊重し合い、ともに生きられる未来へのヒントが詰まっている」(p.334)
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『僕の狂ったフェミ彼女』ミン・ジヒョン作は、韓国で「小説家五十人が推薦する『今年の小説』」韓国文化芸術委員会(ARKO)「文学分かち合い図書」にも選定され、大手電子書籍サービスRIDIBOOKSの韓国小説カテゴリーでベストセラー1位となったそうです。
以下著者あとがきより引用
愛は非理性的なものとは言うけれど、本当に理性を手放さなければ愛することなど不可能に見えてしまうほど、現実は惨憺としている。厳しい言い方をすれば、下手に愛を見つけようとして、見かけは人の姿をしたゾンビに噛まれる可能性が非常に高い。これを書いているわずか数週間前にも、私たちは、裕福で端正な顔立ちの有名人たちが、実はドラッグを使ったレイプを楽しむ盗撮犯だったという事実を確信した。2019年の韓国のこの状況は現実だ。これだから自分の人生を安全に守り、自分らしく生きたいという欲求と、誰かと、共に生きたいという欲求が正面衝突するしかない。女性の場合は特に。
(中略)
にもかかわらず、雨の降る夜にバッファローの群れのように押し寄せてくる孤独感や「一人寂しく歳をとって孤独死するかも」という世間の脅迫があるので、こんなディストピアみたいな現実で、私はよく精神の分裂を感じる。ああ、どうしろと言うのか。そんな現実的な苦悩と迷いを、最大限ありのままに描いてみせようとしたのがこの小説だ。
以上、著者あとがきより引用。
ブクログのランキングで見つけて、何となく図書館に予約して借りた本です。
韓国の小説と言えば『82年生まれ、キム・ジヨン』を思い出しましたが、この小説は、あのちょっと暗いイメージの小説とはまるで違う、ユーモアの感じられる雰囲気で一体何の話だろうと思って読みつづけました。
そしたら、テーマは同じだったのだとわかりました。
でも『82年生まれ』とは本当に違って、小説としてくだけていて、主人公の彼女もはじけていて面白かったです。
今の韓国ってこんな感じなのかなと思いました。
日本とは少し違うんじゃないかな、違って欲しいと思いました。
この作品の彼女が「かっこいい」というレビューを何件か拝見しましたが、私はこの作品の彼女のようには生きられないと思います。
そして、自分はこんなに不幸ではないと信じています。
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家父長的な世界で育ったある種血統書付きの無自覚ミソジニー男目線で語られるフェミニストの彼女との生活を描いた恋愛小説。「世界がそんな簡単に変わるわけないだろ」「少なくとも私は変わるはず」超同感。私もフェミニズムを知る前の自分には決して戻らない。毅然とした態度で生きる彼女は本当に格好いいし、既婚女性にも夫に文句を言ったり発言する権利があるという意識を芽生えさせていて、もう勝ちじゃん!私も言うべき事は言っていきます。韓国も日本も男女同権には程遠い道のりだけど、1人が変わることに大きな意味があるはず。
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彼女がとにかくかっこいい。
私自身、この社会に対して色々思うところがあるが思ってるだけで行動に移せていなかったことを痛感してしまった。
きっと彼女はこの世に対して諦めていないから闘い続けるのかもしれない。私は少し諦めみたいなのを感じてしまっていた。でも、諦めたくないと思わせてくれた。
私も頑張りたいなと思えた作品だった。
自分らしい生き方をしたいなと思えた作品。
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あまりの面白さに大興奮。
表紙イラストのTシャツをつくって、着て歩きたい気分だ。(作中で彼女が着てるTシャツも最高)
4年ぶりに再会した元彼女が、フェミニストになっていた。
現代的・常識的な好青年だと自認する男性側の視点で描かれた、フェミ彼女との奮闘記。
女の子らしくかわいかった昔の姿にもどってほしい。
なんだかんだいって結婚出産ルートがいちばん幸せなんだから、意固地にならないでほしい。
君が必死になって戦う必要ある?
親や友人に合わせる顔がないから、フェミニズム的思考を矯正させたい…。
主人公自身も家父長制や男性同士の虚勢の張り合いに疲弊してるようなのに、そっちには矛先が向かない。
というか認識してない。
彼女が従順な良い子に戻りさえすれば万事解決と信じきってる。
いっそ根っからの差別主義者なら単純な話で済むが、
周りの評価に怯え、必死に努力し環境に適応してきた末の鈍感さなのだと分かってやるせない。
世間から見て恥ずかしくない男(家父長)でなければいけない、っていう圧がとにかく強い。
そんな中で自分の足りてなさを批判されたとき、「本当の俺は十分立派なのに、不当に扱われてる。女のせいで…」となってしまう一連の思考の流れを明かされた。
分かるとも、なら仕方ないとも決して思わないけど。
私はしんどい、って言えないから、男はつらいよって主語を大きくしてしまうんだ。
山ほどの鬱憤、憤り、そして恐怖の果てにフェミニズムに辿り着いた彼女と、一般男性として社会を生き抜く主人公。
どんなに言葉を尽くしても、分かり合えない。
話せば話すほど無力感が襲う。
傷付き合ってつぶれてしまうよりは、見切りをつける方が健全かも。
でもそれで本当にいいの?
「愛も権利も譲れない、あなたのための物語」
帯のコピーが素晴らしく冴えてる。
ボロボロになってでも、自分が得られるはずのすべてを望んでいいんだ。
もちろん手放してもいい。
終盤での彼女の言葉が本当にかっこよかった。
特大の絶望感と無力感とともに、ほんの少しだけ希望の光も見えた気がする。
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あとがきの祈りが良かった。
教えないと分からないことは教えても分からないんだよ。に全てが詰まってた。
私も会社で同じ目にあったことがある。証拠を提出してもうやむやにされ、何度も挫けそうになった。負けてたまるか、と再度思った。
彼女が真っ直ぐでカッコイイ。
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『僕の狂ったフェミ彼女』
学生時代の失恋を引き摺るスンジュンが再会したかつての恋人「彼女」はゴリゴリのフェミニストになっており…から始まる話。
主人公の男が何かと地雷を踏みまくるのが、イライラを通り越して心配になる程だったけど、それに対する「彼女」のつよつよぶりには心から尊敬してしまう。
差別もなくならない、同性婚も選択的夫婦別姓も実現しなくて、社会マジで変わらんすぎん?絶対変わった方が良くない?と毎日腹を立てているけど、(帯にあるように)愛も権利も手に入れようねと強く思った。
「彼女」には名前がなく、風変わりで特別な存在ではなく「彼女」は私でありあなたであるという仕掛けもとても素敵だった。
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「狂っているのは世界か、自分か」ーーこの小説に当てはめるなら「狂っているのはフェミニストか、現実か」となるだろう。
中絶の権利、リプロダクティブ・ライツ、盗撮に怯えない日常、年中行事で無料の家政婦扱いされないこと......これらを求めることは「ワガママ」で「異常な」ことなのか?
この問いに「そうだ、フェミなんか異常だ」と思う人、女性に関わらないことを願います。あなたのような狂ったセクシストに踏み躙られる女性が減りますように。
「そんなことない、当たり前の権利だ」と思う人、ようこそフェミニズム世界へ。決して楽ではないけれど、一緒に社会を変えましょう。社会は変わらなくても、私たちは変われます。
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私が彼女の立場だったら、彼女のように振る舞えるかな。
ミソジニーな男性を目の前にして、自分が傷つきながらもそばにいれるかな。
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すごく面白かった。「フェミ彼女」がとても強くて、でも弱いところや人間らしいところも沢山持っていて魅力的。彼女のまっすぐさが周りにも主人公にも影響を与えていく。こんなふうに在りたいと思わせられるような小説。
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【読んだきっかけ】
Twitterをよく拝見する方が読んでいた。最近フェミニズムに関する違和感を感じる機会があった。
【感想】
登場人物(主人公、その友達や家族)が当たり前の感覚でする言動が、とてもひっかかる。こういうことを、小説にしてわざわざとりあげる人がいることが素晴らしいなと思った。
ジェンダーに関するステレオタイプの認識は、これまで長年人々の間に蓄積されてきてしまったから、まだまだ女性差別的なことをする人がたくさんいると自分の周りでも感じる。ジェンダーの話は気づくか気づかないかの部分が大きくて、気づかない人は、そもそも気づくべきことだという認識すらないのだろうな…。
きっと気づいていない人は女性にも多くて、違和感がありつつも「そういうものだ」とそれまでに醸成された価値観でなんとなくスルーしてる人も多そう。主人公の友人の妻たちみたいな。
そういう人たちからしたら、ジェンダーのことや女性差別のことで声をあげる人が「狂ったフェミニスト」に見えるのかもしれない。たしかに過激な方法を使ったアピールをした方がいたのか、フェミニズム自体が「おかしい」みたいな印象もなんとなく社会にある気がする。私も女性だし、誰かの発言に「ん?いまのおかしくない?」ってジェンダー的な観点から思うことあるけれど、その場でそれを伝えたら「面倒なフェミだ」と思われるのかもと懸念して言わないこともある。
フェミニズムの主張を「女がなんか言ってるよ笑笑」みたいな感じで片付けようする空気が社会に広がりやすいのも、まだまだ社会に占める男性の存在感や発言力が大きいからなのかな。
そもそも「フェミニズムが」「フェミニストが」「女が」とカテゴライズする前に、「自分と対等な存在の主張である」ということを互いに理解して接せたらいいのに。これはフェミニズムに限ったことではないけれど。
あと、フェミニズムをテーマにした本の読者の男女比率はどうなんだろうと思った。女性にもだけど、男性にも読んでほしい。一体何に対して、どのように違和感を感じでいるのか共感しなくてもいいから、まず知ってほしい。