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「魂」の思想史 ──近代の異端者とともに
著者 酒井健
合理主義と功利主義を基調とする近代。ゴッホ、ニーチェ、ボードレールから岡本太郎、三島由紀夫まで――、彼らは時代の趨勢に齟齬を覚えつつ、魂の声に引き寄せられ、思策と表現を行...
「魂」の思想史 ──近代の異端者とともに
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「魂」の思想史 近代の異端者とともに (筑摩選書)
商品説明
合理主義と功利主義を基調とする近代。ゴッホ、ニーチェ、ボードレールから岡本太郎、三島由紀夫まで――、彼らは時代の趨勢に齟齬を覚えつつ、魂の声に引き寄せられ、思策と表現を行った。曖昧で無限定な概念でありながら、人々を揺り動かしてきた「魂」とはいったい何か。人間の内部と外部を通わせるその働きに、著者は現代人が見失ってしまったものを看取する。近代の異端者を通して生の息吹に触れる異色の思想史。
目次
- まえがき──魂、その捉えがたさ、その恐ろしき魅力/もやもやとした何か/輪廻転生と彼岸/ソクラテスの告白/無知の知/魅惑する魂/第1章 ゴッホ/三度の大きな苦悶/働く神/カルヴァンの霊魂論/ゴッホの愛/神をよりよく知るために/絵画、兄弟、神と愛の二重性/廃墟の教会と墓地に咲く花/魂を実体化するカルヴァン/メランコリー/自然界の自律的な動き/果てしなき麦畑/自己批判、自己愛、そして大いなる静けさ/第2章 ニーチェ/天体の音楽と魂の浄化/魂の際限を、君は歩いて行って発見することはできないだろう/神と自然の二元論/終わりのない虚無/ニヒリズムの正体/『悦ばしき知』/我々の肉体は多数の霊魂の共同体にすぎない/大いなる厳粛さと精霊たちの笑い/悪霊を呪うか、肯定するか/悪循環の神から瞬間の思想へ/神々の到来/踊る神の哀愁/近代の引き裂かれる魂/第3章 ボードレール/二つの鐘、二人の詩人/「たくましい喉」と「たくましい精神」/進歩のための芸術か、芸術のための芸術か/無用性の美学/知られざる面/違いを呈示する/かつての彼らを想起させる/「取り返しのつかないもの」/踊る魂/群衆と孤独/一九三〇年代の受容/第4章 初期ドイツ・ロマン主義と両次大戦間の前衛たち/フロイトを先取りするヘーゲル/ヘーゲルとロマン主義/近代の夜明けと夕暮れ/二人の前衛的なヘーゲル解釈者/「夜」のヘーゲル/初期のドイツ・ロマン主義/世界霊魂のゆくえ/諸力の自由な戯れ/夜を讃える/ロマン主義の限界/ニーチェと自然の内奥/ピカソの精霊体験/民族誌学のインパクト/バタイユのゴッホ論/「われわれのねらっているのは、癌のように痛みのない革命だ」/第5章 日本人留学生の軌跡/近代の底力/異文化のなかへ/抽象画という解決策/対極主義とその背景/岡本太郎のトロカデロ体験/近代人の冷たい厚み/陰翳礼讃/夜を継承する/二人の挫折/無形の文化/大理石のエロス/軽やかな旅人の魂/和辻哲郎の『風土』/洪水の二つの感覚/第6章 大和魂の根源へ/二つの魂/大和魂のルーツ/外国人の感受した日本の宗教性/神道の魂/イザナミの穢れとイザナギの逃避/殯/耳なし芳一と平家の怨霊/恐山にて/久高島の大ウタキ/イヌクシュク/最後の三島由紀夫/大対立/言霊/あとがき/主要参考文献
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