紙の本
中高生以外も是非
2017/03/24 22:10
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投稿者:おきよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう本に出会えた中高生は幸せだなって思いました。
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2017年2冊目「転換期を生きるきみたちへ──中高生に伝えておきたいたいせつなこと」読了。
久しぶりの内田樹本。と、思いきや、内田氏が信頼できる書き手の方に声をかけて書いてもらった論集。いろんな考えが中高生に向けてわかりやすく書いてあったが、中高生よりも大人が楽しめると思う。というより、中高生って内田樹本読むの?(読んだ方が良いとは思いますし、私はとても好きです。正確には好きというより物事の捉え方の勉強になるという感じですが)。ということで、さすが内田樹のお友達。それぞれに捉え方があってとても勉強になりました。
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内田樹『身体に訊く』-言葉を伝えるということはどういういことか
加藤典洋『僕の夢』-中高生のための「戦後入門」
高橋源一郎『表と裏と表』-政治の言葉について考える
平川克美『人口減少社会について根源的に考えてみる』
小田嶋隆『13歳のハードワーク』
岡田憲治『空気ではなく言葉を読み、書き残すことについて』
仲野徹『科学者の考え方』-生命科学からの私見
白井聡『消費社会とは何か』-「お買い物」の論理を超えて
山崎雅弘『「国を愛する」ってなんだろう?』
想田和弘『「中年の危機」にある国で生き延びるために』
鷲田清一『社会に力がついたと言えるとき』
以上11人の寄稿文
内田樹氏の以下の呼びかけに対応して書かれたもの
『刻下我が国の政治・経済・メディア・学術・教育・・・どの領域を見ても、「破綻寸前」というのがみなさんの現場の実感ではないかと思います。・・・・私たちが果たさなくてはならない最優先の仕事は「今何が起きているのか、なぜそのようなことが起きたのか、これからどう事態は推移するのか」を責任をもって語ることだと思います。』
各11編の寄稿は、それぞれとても意義ある内容だと思いました。
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本書は『街場の憂国会議』、『日本の反知性主義』に続くシリーズの3冊目。なぜ本作が編まれたかについては「まえがき」を読めば一目瞭然、これまでと違うのは「中高生を読み手に想定」したこと。
若い人たちに向けた「贈り物」であるところのこの本を、「中年の危機」当事者である私も読ませていただいた。伝えなければならない「たいせつなこと」の多さに、平和を享受してきた世代としては焦りの気持ちを感じる。申し訳なく、そしておとなこそ読むべき、とも思う。
「転換期」だからこそ伝えたい、たいせつなこと。
この本が次世代への福音となりますように。
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まさに今、日本は転換期を迎えている。今こそ一度立ち止まって考えるべきときが来ている。中高生だけでなく大人にも、言葉そして考えることの大切さを問いている。超高齢化、少子化、貧困、格差社会、どれをとっても、その解決策は成長戦略では、ない。と。
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年代はあるにせよ転換期ということは認識しなければいけない。
何でも吸収できる学生時代の脳は、なくした今になってほしくなるもの。無い物ねだりです。
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鷲田清一氏の章を読んでいたら、涙が止まらなくなりました。白井聡氏の文章は痛快で、内容にも共感しました。中高生には、この二つの章は難しいかな。でも、読んでほしいなと思う本でした。大人にもおすすめです。
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読了。おもしろかった。中高生向けに書かれた本。明るい気分になれて、やって行こうという気持ちにさせられる。中年の私は、対象外であるのが悲しい。娘も読めばいいと思うが、娘が中高生になって薦めるのは、反抗期にもなってると思うので、読まないだろうなと考える。もったいないな。
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尊敬する内田先生が依頼した方々の中高生に伝えたい事の寄稿文。
まさに言いたいことや、常日頃モヤモヤしてることが分かりやすく書いてあって、中高生に是非読んでもらいたいと思いました。
平和を享受して大人(中年)になった私は子ども達や次の世代にも絶対残したい!
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目もくらむようなスーパー秀才エリートだった人たちが、声をそろえてもはや反対することができない空気があったと言っている。ドイツ語で日記を書けるような、言葉を自由自在にあやつることができるエリートたちが、一億人の運命を左右するような決めごとを、最後には言葉でなく空気を読んで身を委ねたと語っている。
福島の原発事故直後の危機を回避するための政府首脳の重大会議、40年以上も続いた政府の憲法解釈を内閣の形式的合議だけで大きく変えてしまった経緯、いずれも議事録が残っていない。それが僕たちの国の致命的な欠陥だ。これはもう病気と呼んでもさしつかえないと思う。かつて有名な政治学者はこれを壮大なる無責任体制と呼んだ。
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共感できる言説が多かったが、ただひとつ、岡田憲治氏の主張の1点だけがあまりにも勉強不足な内容であり、そのために(それを指摘できなかった編纂側の力不足を露呈したことになり)この本の信頼性を失わせているのが残念だ。
それは152〜3ページなどに書かれている。
ネット上の反放射能派には一般に信奉されている「福島で原発事故の放射線影響はあった!甲状腺がんが増えているじゃないか」の話は、甲状腺検査数と甲状腺がんの患者数、死亡者数の相関についての、たとえば韓国の事例を無視して進めるとおかしな結論が導かれることになる。そしてその事例を学べば、この話が正しくはない可能性が高いことに気づく。
それを知らずに(もしくは言及せずに)このように書くのは、悪い世論誘導の意図があるか、もしくは単なる無知の結果である。
そのような基本的なミスを見逃しているスタッフによってつくられたこの本は、信頼性が著しく劣ると判断しなければならない。つまり、「それっぽく見えるけれどウソかもしれない」主張が他にもまぎれている可能性を否定できない。
最初に書いた通り共感できる言説が多かった本だけに、残念でならない。
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○あらゆる分野の論客達がいまの「転換期」を生き延びるために書いてある本。
この本の「まえがき」を読むだけでも、ものごとに対する見方を考えさせられます。気になった著者の本を読むきっかけになるかもしれません。
○各章も長すぎず、読み終わった後に「どうなんだろう」と良いもやもやが残る分量です。
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高校生が文章を読むに当たり、基本的な考え方をあたえてくれる、良本。
平川克美「人口減少社会について根源的に考えてみる」ではグラフの見方とともに、当たり前のようにように言われている言説について批判的な見方を示唆する。
仲野徹「科学者の考え方-生命科学からの私見」ではパラダイムシフト、疑う、シンプルに考えるなど科学を発展させている考えが書かれている。
白井聡「消費社会とは何か-『お買い物』の論理を超えて」ではボードリヤールの考えを援用し、いわゆる「消費」的な感覚が政治や教育にも適用させようとする現在の社会のゆがみと弊害を述べる。
山崎雅弘「『国を愛する』ってなんだろう」では、政治的無関心が生む危険と愛国の意味の多義性について分かりやすく述べている。
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【読書メモ】
p185
・何のために勉強するのですか?
自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を言う。ただそのためだけに勉強するのです。山本義隆
p190
・同じことを、違った側面から考える視点を与えてもらうためにディスカッションをするのです。当たり前のことですが、自分は自分の考えに染まりきっています。そこへ、違う刺激を与えてもらって、自分の考えを方向転換させたり、バージョンアップさせたりすることが重要なのです。
p103
・科学がグローバルである最大の理由は、真実をあつかうからということです。
…科学的な視点は予測できない社会を生きるうえでの全員にとってマストなものの見方なのかもしれない。情緒的に考えたとしても、それを相手に理解できる自分の言葉で伝えて、ブラッシュアップしていかなきゃいけない。誰かが先に答えを用意してくれている時代でないのであれば、自分の考え、意思を言語化して、まず自分を納得させることができなければ、何も頼りにするものがなくなってしまうから。自分を納得させるために、何故自分がそう考え、思ったのか、その前に何が頭に浮かんだのかを自分自身に伝えなければならない。
科学的なものの見方とは、パラダイムが人間の思考をいかに制限・固定・維持しているかを理解したうえで①まず疑う、②データに基づいて具体的に説明する③合理的に考える④いっしょに考えてグロ−バルに展開してくという流れ。
・消費社会について
…資本主義がすすみ、消費社会が到来した。最初は「必要だから」何かを求めていたものが、今では「これを持っていると周りから羨望の眼差しを向けられるから」といった“意味”に価値が置かれている。だって、物が溢れる時代に、物をほしがり続けてもらわないと資本主義は回らないのだから。
しかし、そうした消費社会の高度化が人間精神の在り方に異常を来していると筆者は述べる。「お買い物」の論理を、その論理が当てはまらないもにまで当てはめようとしているからだ。
選挙の投票や教育はその良い例。
投票は、投票したい候補者がいないし行っても無駄、という合理的な考えで処理されることがあるが、その危険性はでかい。あなたがほしがるものをお膳立てしてくれるわけではない。あなたが何もしなかった行為そのものが、結局はあなたとあなた以外の人にふりかかることになる。だから、「もっともマシ」だと思う人に投票することが求められる。
また、教育はお金を払えばすぐに分かりやすい商品価値が返されるものではない。つまり、商品として捉えるならば出来損ない。さらに教育が商品とみなされたが、教育は不可能になる。学ぶ主体が「消費者である」と自己認識している限り、最低限の支出で最大限の有用性を得ようとしている限り、教育は死ぬ。お客様→学ぶ主体
・「愛国心」について
…そもそも「国」をどう捉えるかは3種類ある
①外国的に「独立国」として承認されている国家の領土
②その領土内に住む国民を特定の政府が統治する国家体制
③政府��統治される側の、一人一人の国民の命と生活環境
時代的背景によって、上記の優先順位は前後する。
第二次世界大戦で、ドイツ軍に攻め入れられたフランスは、わずか6週間で降伏を宣言した。③市民の命を最優先にし、①領土の半分を失い、③ドイツ寄りの中立の立場をとることになった。
一方、太平洋戦争中の日本は、軍人や市民の命が犠牲になったとして、早く負けを認めて戦争をお渡せようという空気は起きなかった。なぜなら②天皇とその天皇が統治する国家体制が何よりの崇高なものであったわけで、③はそれを支えるために存在していると解釈されていたから。
日本で「愛国心」というと、この戦時中のイメージが先行されてしまうきらいがある。なぜなら、平和な時代の③を優先する愛国心(いわゆる新バージョンの愛国心)の概念ができあがっていないから。
反戦運動をする人に対して「裏切り者」や「売国奴」などど軽々しく言うひとにとっての愛国心は、②と③を最優先にさせたもので、指導者が決めた物事について疑いをかけずに従順に突き進んでくれる都合の良い存在。いわゆる「馬鹿」なのだけれど、そんな存在を刺激するには近隣諸国に敵をつくって、危機を煽れば良い。そういったかれらにとっての愛国心は、本当は国を破滅に導くとも知らずに、彼らはついてくるから。
「もしかしたら、自分の国の指導者は間違った判断をするかもしれない」と考える市民、そして命を最優先に考える市民にとっての「愛国心」は上の人たちとは違うことを理解しておく必要がある。
自国の黒歴史、つまり、戦争のために命を落とした人たちの死が無駄であったか、そうでなかったかは軽々しく結論付けられないが、それを決めるのは現在と将来の私達の行動にかかっている。
P281
ブレーズ・パスカル「われわれは絶望が見えないようにするために、何か目をさえぎるものを前方においた後、安心して絶望のほうへ走っている」(パンセ)
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副題「中高生に伝えておきたいたいせつなこと」とあるように、中高生へのメッセージとして書かれた本。
難しい内容でも平易な文章で書かれていて、著者が読者に伝えようという真摯な姿勢を感じた。
高校生ごろに出会うととてもいい本のように思う。
未来の日本を憂いて、どうにかしたいと真面目に思っている大人もいるんだよ。