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電子書籍
かちかち山
著者 尾竹 國観
わるさをするたぬきに苦しめられるおじいさんとおばあさん。うさぎがおじいさんのために、かたきをとる。一流の日本画家によってすみずみまで丹念に描かれた「講談社の絵本」が甦る。...
かちかち山
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かちかち山 (新・講談社の絵本)
商品説明
わるさをするたぬきに苦しめられるおじいさんとおばあさん。うさぎがおじいさんのために、かたきをとる。一流の日本画家によってすみずみまで丹念に描かれた「講談社の絵本」が甦る。1938年刊を現代仮名遣いで再刊。
昭和11年より出版され、昭和の子どもたちを夢中にさせた「講談社の絵本」から、選りすぐりの名作を新編集で復刊! 日本画・童画の大家たちによる本物の絵の美しさ・丹念さをご堪能ください。。
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紙の本
一番身近な尾竹国観の絵
2008/01/23 18:10
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみひこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある日、我が家にあったこの絵本をふと手にして驚いた。
昔の絵本は手を抜いた絵を描いていなかったと、自慢げに母が本屋から買ってきたこの絵本、本当に凝った作りで、絵を読み込むのがやめられない。
まず気が付いたのが、狸が悪さをしている畑の絵。イモ畑というのは、里芋の畑なのだ。サツマイモでもましてやジャガイモなんかであるはずがない。これは、昔話なのだというのが、身にしみてわかる場面だ。そして、大きな丸い月の前で、大事そうに茎付きの里芋を抱える狸の絵の美しいこと、中秋の名月の名場面だ。
狸を捕らえたお爺さんの少々不気味な微笑みに、日本人が肉食をしてきた民族なのだということがわかる。狸と人間は、作物をめぐって、食うか食われるかの間柄なのだ。
又、お婆さんの口元の黒さに、お歯黒という風習があったことを思い出す。
やがて、お婆さんが殺され、弔問に訪れたウサギが復讐を誓う場面になる。家の様子に書き込まれた、軒へ向かってかけられた井桁に絡む瓢箪の花や若い実の瑞々しさ、桶に活けられた桔梗と撫子の風情が、何とも言えず、しんとして美しい。
ここを境に物語は、復讐談になっていき、狸もウサギも着物を着て、擬人化されて描かれていく。
着流しの着物を着た狸のえへらえへらしたいい加減な感じ、船の上できているブラウスのような着物に書き込まれた氷の結晶の模様など、画家が絵の中に込めた意味が、見れば見る程謎解きのように押し寄せてきて、面白い。
お爺さんの使っている鍬、お婆さんが突いている杵、部屋の隅に置かれた竹籠など、今となっては、民俗学的興味も尽きない様々な道具が書き込まれたこの絵本、まだまだ様々なものが見つけられそうで、尾竹国観描くこの絵本から、なかなか目が離せないままでいる。