紙の本
亡くなった人の最期の願いが分かるという
2021/08/28 11:21
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
彼女の本屋大賞に選ばれた『52ヘルツのクジラたち』を読んでから、次に手に取った一冊。
読後、いえ読みながら、亡くなった人へのいろんな想いがふつふつと湧いてきました。
亡くなった人の最期の願いが分かるという「ぎょらん」。
赤い珠。
そう、もし見たとしたなら、きっと、表紙の赤いつぶつぶ、みたいなの。
かつて親友の「ぎょらん」を見たという三十路男の朱鷺(とき)。
引きこもりの時期を経て、葬儀社に勤務を始めた。
この「ぎょらん」繋がりで、
同じ街に住む人たちの人間模様が次々に書き起こされる。
亡くなった人への想いを受け止めあぐねたり、
亡くなった人の最後の願いを叶えようと、懸命に行動したり、
亡くなった人の真実の思いが時を越えて分かったり…。
一つひとつのエピソードが深かった。
時に泣きながら読んだ感動作、でした。
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あぁ、どうしようかしら。
この後、しばらくは何も読みたくない!という本に久しぶりに出会ってしまった。
この余韻に飽きるまで(飽きるほど)首まで浸かって、なんなら窒息したいくらい。
そんな本に出会えるのは、何年に一度あるかどうかだって知ってるから、困った。
三度の飯より本が好きだから、読みたくない!って思ってしまうことにも、困った。
何度もぺたんこの胸を締めつけられて、心停止するかと思った。
ぎょらんが、何なのか。それはたぶん読む人の数だけ答えがある。
どのお話も好きで、甲乙はつけがたい。
短編なようで長編。
誰も彼もに幸せになってほしい。
そしてなによりそのこちゃんがこうして葬儀屋のお話を世に出せたことが本当に嬉しい。
こんなかたちで世に出るなんて最高かよ。
おめでとう。そして、ありがとう。
次にまたなにか新しい物語を読む気になるまで、本作の布教活動に専念したいとおもいます。
ちなみに星が五つまでって少なくない??控えめにいっても100万個の星が欲しいんだけど。
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人が死ぬ瞬間にその姿を現すといういくらのような赤い珠、ぎょらん。
それを口にした者は死者の最後の思いや願いが分かるという・・・
一昔前の幻のマンガに描かれたその“ぎょらん”を自らも口にしたと言い、家から一歩も外に出られなくなったヒキニート、御舟朱鷺がキーパーソンとなる連作短編集。
ぎょらん、というインパクトのあるタイトルと生々しくも美しい装丁に惹かれました。
まるでイクラを奥歯で噛み潰して、複雑で奥深い味が広がるように、残された生者や逝ってしまった死者の想いがこちらの胸までしみてくる。
苦々しく、目を背けたくなるような感情や出来事もたくさんあるけれど、それだけじゃないよね、と思えるあたたかな読後感に本当に癒されました。
町田さんの次作が楽しみです。
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連作短編6編
「ぎょらん」という死者が残す紅い玉,それに囚われてしまった引きこもりの兄朱鷺としっかり者の妹華子,そして毅然として優しい母.朱鷺の脱ニート,葬儀社での就職とともに葬儀に絡めて「ぎょらん」が見え隠れして,登場人物もあちらこちらでつながっていく.「ぎょらん」の謎と心温まるストーリ,死に関わる話なので悲しいけれど,ただ悲しいだけではなく静かに癒されます.
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とても前向きな気持ちになれた読後。冒頭の朱鷺はちょっと怖かったけれど、実は妹思いだとすぐ知れて、その後は朱鷺で繋がるそれぞれの人の、特別な誰かの死を巡る物語になっていった。構成が見事だと感じた。どの章も決して明るい話ではないけど、どしんと心に響いてくる。各章が終わるごとに「きっと大丈夫だ」と思い、その気持ちがどんどん強くなって最終話に至る。どんな人生にも、それが例え少し訳ありの人生でも、寄り添ってくれる人はいる。とにかく生きる事だと思う。少し涙、そして「さぁ、私も!」と強く明るい気持ちになれる作品でした。
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町田さん、すごいです。
デビュー2作目です、読ませます。
人が死ぬ瞬間に遺す、いくらのような赤い珠「ぎょらん」。
口にしたものは、死者の最期の願いが見えるという―。
皆が見つけられるわけではないようだ。
連作短編には親しい人の死を受け入れる人々が登場する。
引きこもりのニート朱鷺が困難を乗り越えようとする様子に
見守る母の気持ちを知ったとき、
涙が止まらなかった。
亡くなった人とは決してもう言葉を交わすことはできない。
思いを知ることもできない。
わかっているはずなのに
粗雑に生きてる自分を反省した。
順番だって決まっていないのだ、
後悔のないようにしなくては。
この先も生きて行く人のために遺すエンディングノートは
とても大切なものなのだなぁと思い、
書いてみようかと思ったところであります(朱鷺風?)
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かけがえのない人を失くした
苦しみ 後悔 悔い
生きてることの 立ち直ることの
難しさと 愛おしさ
色々な思いが ぐるぐると交差して
苦しみつつも 前向きに生きる人々に
思わず涙してしまう
深い愛情の軌跡です
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御舟朱鷺の成長を6つの短編で描いた作品だが、「ぎょらん」が全体の通奏低音のように流れている.葬儀屋の天幸社の相原千帆、瀬尾和市の仕事を描く中に様々な人々がそれぞれの物語を繰り広げる展開は非常に楽しめた.どの短編も良かったが、菅原美生が茂子と会う「糸を渡す」で母 佐保子の過去が偶然にも判明していく過程がぞくぞくする感じだった.
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この作者 初めて知りました
すごいです
これからどんどん活躍されるのでしょうね
目の付けどころがいいし、構成がうまい
ぐいぐい本の中に引きずられます
わたしこれから誰かの死の場面できっと探すでしょうね,
ぎょらん
≪ 死者想う ぎょらんをそっと 抱きつつ ≫
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死を遂げた者が最期に残すと言われる赤い珠ぎょらん。
それをかみ潰すと死者の願いが見えると言う。…
あらすじにある設定と表紙から、人気の作品にも関わらず、手にすることをしばらく躊躇っていました。
もっと早く読めば良かった。
葬儀社を舞台に、様々な人達が自分の身近な人との別れの日を過ごしていきます。
亡くなった人に対して、一つも後悔をすることがないと言うのは難しいかも。
それでも、同じ世界の人に支えられ、皆それを乗り越えていくんですね。
全ての人が救い救われ、そこに向き合っていく終わり方に感動しました。
「葬儀は残された者のためにある、遺族が救われれば、それはそのまま故人への供養になる。」なるほど。
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町田さん2作目。
チョコレートグラミーとガラリと変わった世界観に、より興味が湧いた。
朱鷺が以前に知ったぎょらんの内容は怖いもの見たさ…。
でも朱鷺の優しさでこの子はこれから上を向いて生きていけると思う。
残された者は、噛み砕いて生きていかなきゃいけない。
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すごいな…この作家さん。デビュー作があまりにもよかったので期待して読んだら、完成度の高さに目眩した。ぎょらん、ってタイトルからどんな話になるのかなとワクワクもあり、ページをめくればめくるほどのめりこんでいった、その、ぎょらんの謎に。
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ぎょらん
町田そのこさん。
表紙の絵を見ると、
どんな作品なんだろう?と思うけれど。
涙なみだの本でした。
どっぷり、物語に引き込まれて、
言葉が胸に染みて。
とても良かった。
最後まで、良かった。
読んで良かった。
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死ぬ時に人が願いや思いを赤い玉にして遺すという。その、ぎょらんに纏わる短編連作。朱鷺の変化も人の気持ちも本当に泣ける。作さんの話…よかったなぁ。
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まず、すごい設定だなぁと思いました。
死者の最後の思いがわかるなんて実際知りたいような知りたくないような…。かなり覚悟がいりそう。
登場人物の背負っているものの重さに読んでいて度々しんどくなりました。
自分の立場からは見えないけど、向き合って知ろうとすることのもつ意味の大きさを感じた。
それと「葬儀社の仕事の意義」みたいなものを感じられたのは良かったなぁと思います。
『時に誰かの救いとなり、時に救われて、笑って生きて下さい。あなたたちは、それができる』
不器用な我が子を理解し見守り、自分なりの応えを出すのをずっと待ち続けてくれた母の言葉が沁みました。
1つ1つの短編がズシンと心に響いてくる1冊。
ただ、重めの内容なので疲れてるときに読むのはちょっとしんどいかなぁと思いました。