紙の本
もやもや
2024/04/20 16:04
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
きれいごとを言ってるような、言葉が上滑りしてるような、そんな感じ。
自分だってそんな大した人間じゃないんだかから、他人にどうこう言う必要ないじゃん。
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美味しそうな和菓子にパステルカラーの表紙というのに惹かれて購入し、読みました。
考えさせられるお話で、寺地さんの本はいつもすごいなぁと感心させられます。
職場はいろんな性格、いろんな価値観、いろんな力量の人がいて人間関係もあるしすごい悩まされることが多いと思います。
その中で会社を良くしようと声を出していける人ってのもすごいなぁと感心させられます。
私自身が、思っていてもなかなか声に出すことができない、また嫌われたくないのと、どう思われるかが気になってなかなか言い出せないタイプなのでモヤモヤしてしまうこともしばしば…。
だから一人でも信頼できる人がいれば救われるし、思いやりも大切だよねと感じました。
何か勇気をもらえるお話でした✧︎*
いろいろあるけど、お仕事無理せず自分を大切にがんばろー⚐⁎∗
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親戚が営む小さな製菓会社に転職した茉子。理不尽なことや納得できないこと。仕事をしていると目を瞑っていた方が楽だと考えてしまうあれこれに声を上げていく茉子を素直にすごいと思った。人には色んな面があるし、そう簡単には変わらない。だからこそ足りない部分を補い合う。人間関係を築いていく上で大切なことを再確認させてくれる一冊でした。
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いろいろあったけど、たぶんみんな、そんなに変わっていない。交差したり、ぶつかったり、寄り添ったりしながら、ほんのすこしだけそれぞれの背景を知ることになるけれど、考え方が大げさに変わったりはしないところがいい。
それと、寺地さんが描く人びとの、泣きそうになるツボが、わりと独特だけど共感ポイント。
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残業つけずに仕事しろって、ブラックだな…。でもきっとこういう会社まだまだ沢山あるのでしょうね。
確かに全体的に古い体制ではあるけれど、新入社員がここまでできるかな?とちょっと疑問に思う。
正しいことであったとしても他人まで軌道修正させるって相当乱暴なな気がする。でも終わりよければ全て良し…になってるから、ま、いいか。
人は自分から見える部分はほんの一部。それでその人全部を知った気になってはいけない。そんなことを茉子を通して改めて思い出させてくれるお話しだったなと思う。
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とても良かったです。
表紙の絵が和菓子だったので、もしかしたら美味しい話?と思いましたが、やはり違いました。
製菓会社が舞台の話でした。
主人公、小松茉子をはじめ登場人物たちは職場環境や人間関係で様々な経験や辛い思い、悔しい思いを過去にしてきた。
だからこそ次は失敗しないように、期待を裏切らないようにと思うのだけれど、なかなか上手く出来ない。
それでも自分を大切にして、「今」出来ることを考えてやっていこう。
と、読み進めるうちにとても力強いエールが送られているように感じました。
残念なことに甘い和菓子の話ではなかったですが、主人公たちが一歩ずつ前に進んでいる様は、やる気と元気をもらいました。
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ブラックほどではない会社でも、当たり前のようにある好ましくない暗黙の了解事項。なくならないパワハラ・セクハラ。おかしいと声を上げても無視されたり報復されたりするダークな空気漂う職場。
それでも声を上げようと決めて臨んだ転職先の小さな製菓会社を舞台に、孤軍奮闘する1人の女性を描くヒューマンドラマ。
◇
小松茉子は、目の前に座る男を見た。
男は名を吉成伸吾といい、茉子のはとこに当たる。現在 27 歳の茉子より5つか6つ年上だが、幼い頃からよく知る相手だけに、今日から「社長」と呼ぶことに違和感がある。
そんなことを考えつつぼんやりしていると、「話聞いてる?」と伸吾から声がかかった。ハッと我に返った茉子に「会社では小松さんと呼ぶから」と伸吾は言って、社内を案内するため立ち上がった。
茉子は今日から、伸吾が社長を務める吉成製菓という、社員 35 名の小さな会社で働くのである。
事務所内には机が5つあって、事務員用と営業員用が2つずつ、向かい合わせに並んでいる。入口にもっとも近いいわゆる下座が茉子の席だ。そして上座に当たるいちばん奥の入口に向いた机が伸吾の席のようだ。
茉子の向かいがベテラン事務員の亀田の席だと言ったあと伸吾は、「亀田さんはパートさんやから、話題は慎重に選ばなあかんで」と心配そうに付け加えたのだった。
(第1章「春の風」) 全6章。
* * * * *
作品の魅力は主人公の茉子です。
前の職場での劣悪な人間関係に嫌気が差して退職した茉子は、はとこの伸吾が社長を務める製菓会社「吉成製菓」に就職しました。
茉子がこの会社に勤める気になった理由は2つあります。
1つ目は、伸吾に懇願されたことです。
急な心臓の病で引退した父親に替わり、いきなり社長に就任した伸吾は、ベテラン揃いの社員たちに言いたいことも言えません。折よく事務に1人欠員ができたので、気心の知れた茉子に来てもらうことにしたのでした。
2つ目は、「吉成製菓」に対する思い入れです。
茉子の保育園時代のこと。祖父の葬儀に参列した茉子は、焼かれて出てきたお骨を見て泣き出します。「死」というものを認識したからですが、祖父の死を悲しんでいると勘違いした1人のおじさんが、持っていた小鳥の形をしたお饅頭をくれました。
その美味しさに思わず泣き止んだ茉子にとって、おじさんがつぶやいた「涙はしょっぱい、お菓子は甘い」ということばと、そのとき食べた「こまどりのうた」は特別な存在になったのでした。
でも本作は、若社長の期待と和菓子への熱い想いに支えられて奮闘する若い女性を描いた物語ではありません。
社会や世間に根強く残っている理不尽な慣行や、パワハラ・セクハラ・モラハラ等の人権無視の言動に、いちいち異を唱えては跳ね返されイライラモヤモヤしつつも挫けずに行動する女性の姿を描く物語です。
そして、茉子が鉄の女のような闘士タイプでないところが物語のミソなのです。
小鳥にすぎないこまどりですが、大きな鳴き声を発します。まるで、自分の存在や主張をアピールするように。茉子の主張や抗議もこまどりのさえずりに似ています。
これが設定としておもしろい。
茉子のさえずりもなかなか功を奏さず、中盤までイライラモヤモヤし通しでした。
でも、寺地はるなさんらしいカラッとした文章と展開のテンポのよさで気づけば終盤を迎えていました。
勧善懲悪・万事解決とならずに、少しずつ事態が好転していくところが却って心地よい。
前途はまだまだ多難ではあるのですが、それでも現状を改善していこうとする茉子のしぶとさに希望を感じる、とてもいいエンディングでした。
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会社にはびこるおかしな習慣や意識の低さに納得できず、正しいことを主張して煙たがられてしまう茉子。
私もそうだからすごく共感したけど、間違ってると声を上げたら、正しくて望ましい方に変わることが当然だと思っている。そして、ずっとこれでやってきたからと受け入れるみんなの弱さを憎んでいる。
でも、流されている人にもいろんな人がいる。
挫折した人、どうでもいい人、実は間違ってる現状が心地よい人。(これは登場人物とは無関係な羅列)
正されるべきなんだから受け入れる方向には進んでほしくないけど、いろんな人のいろんな気持ちがあることを絶妙に表現されていて、奥深い物語でした。
すごく難しい問題を書いているのに、ちょいちょいおもしろツッコミもあって、寺地さんの魅力が溢れてる!
和菓子、おいしそうに書かれてるのに苦手だから残念…
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「水を縫う」、「川のほとりに立つものは」の著者、寺地はるなさんの最新作ということで、本作を手に取りましたが、すごく温かみのある作品であるとともに、昨今の働き方について考えさせられる作品で面白かったです。
本作のストーリーとしては、主人公がハトコである中小企業の社長からスカウトを受け、製菓会社に就職するところから始まります。その製菓会社は一族経営の影響もあって、今だにサービス残業やパワハラまがいの教育など古い会社体質が残っていた。果たして、主人公はこのあとどうなってしまうのか…というストーリー。
本作を読んで真っ先に頭に浮かんだのは、「働き方改革」ですね。私の勤める会社も割と古い体質で、サービス残業や体育会系的な指導がチラホラ見え隠れするような環境でしたので、すごく感情移入しやすいシチュエーションでした。だからこそ、本作を通して学ぶことが多かったのかなとも思います。
特に印象的だったのは第3章と第4章です。この3章と4章でピックアップされるのは自分と年齢が近いアルバイトさん、もしくは社員さんだったこともあって物語に入り込みやすかったというのもありますが、2人が辛く苦しい経験をした中で、自分の好きなこと、やりたいことを選択する姿にすごく励まされた気がしました。
無理に働き方を変えるというよりも、人に合った働き方を見つけ、時には人と助け合ったりすることが上手く生きていくコツなのかなとも思いました。
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「川のほとりに立つ者は」が初読だった作家さん。現実感を感じる作品で楽しめ、相性いいと感じた。過去作にもさかのぼって読みたくなるのか判断するために読みたい
#こまどりたちが歌うなら
#寺地はるな
24/3/26出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3x7Rf0e
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新刊発売とほぼ同時に購入し読了。
優しく温かいストーリーながらも、現代の労働環境の問題に立ち向かう芯の通った主人公。多数の名言にも出逢えた。読了時に鼻の奥がつーんとしました。
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寺地はるな、最高傑作!人の見え方って会社、家庭でも違うし、同僚からみてもそれぞれでその人の見え方が違うものです。なぜそういう行動を取っているのかは一方の見方だけではわからないものです。映画化される浅倉秋成さんの六人の嘘つき大学生もそういう描写で人間の見え方の怖さを同じように感じました。
そういった感情の見え方は中学受験の国語問題で使われそうですが今回は関西弁満載なので?でしょうか。
P174の知り合いにお土産を買う心理描写。とても気に入っています。
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寺地はるなは裏切らない。
今回も世の中の生きづらさに苦しんでいるたくさんの人が寺地小説に救われるはず。
不器用で人に合わせることが苦手で、さりとて周りを気にせずゴーイングマイウェイができない主人公を描かせたら天下一品。
あぁ、これは私に伸ばされた手だ、これは私への応援歌だ、とそう思いながら読んだ。
生きていると、たくさんの呪いの言葉をかけられる。それは悪意のあるものであるとは限らない。
良い人がかける良い言葉も、その言葉にとらわれ身動きが取れなくなることがある。
そんな言葉からの解放。
強くなくてもいい、弱音を吐いてもいい、へたくそでも、不器用でも、逃げても、いい。そこに自分の心と身体があれば、大丈夫。
寺地はるなは、ずっとずっとそばでそう言ってきてくれた。
ありがとう、そんな気持ちでページを閉じた。
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久しぶりにここに帰っきたんだなという感覚が自身に満ちている。
ただいまとわざとらしく言うまでもない、なんだか息のしやすい空間。実家のダイニングテーブルでかつて自分が座っていた椅子とか、以前よく行っていたパン屋の香りとか、母校の制服とか、学生時代の友人がそろった時の自分の声のトーンとか、そういうものに似通ったもの。それが今日のわたしにとっての寺地はるなさんの物語。
ただいまと言うのは照れくさいし大げさ。でもここにいるとわたしはなつかしさと苦々しさと寂しさと温かさを同時に感じる。
こまどりたちが歌うなら
タイトルを目にした時、こまどりってどんな鳴き声だっけ?と思い、検索したら想像より50倍くらい騒々しい声が耳を劈いた。
おいおいどんな騒々しい物語かと思えば、たしかにこれは静かなようでとても騒々しい物語だ。
自分がここにいることをだれかに伝えるには、少し騒々しいくらいに鳴かないと伝わらない。
それが悲しいことなのか、憤るべきことなのかわからない。
でも、もしその叫びにもにた鳴き声を耳にしたならば、せめて自分は聞こえたよと答えたいなと思った。
伸吾の声も、満智花の声も、千葉さんの声も、茉子の声も、亀田さんの声も、ぜんぶ無いものにはしたくないし、もし自分の耳に届いたなら、ちゃんと届いたと伝えたいと思うのです。
この物語のだれに共感するとかそういうことではなく、これはすべての「ここにいる」がぎゅんぎゅんに詰まった騒々しい物語。
読む人にとって誰の声が聞こえるかはちがうのだろうし、きっと読むタイミングによってもちがうだろう。
ふと、あの子ならだれの声が聞こえたのか聞いてみたいなと本好きの友の顔が浮かんだ。
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2021年に「水を縫う」で河合隼雄賞 ー人の心を支えるような物語を作り出した文芸作品ー を受賞した寺地さん。なるほどと思う。
どこにでもありそうな街の どこにでもありそうな製菓会社。そこで生活する人達のお仕事と家庭の悩み。
主人公の女性は、人間関係で勤めていた会社を辞めて、親戚の製菓会社の事務へ転職。経験ない老舗で小規模な会社での働き方と人間関係に納得できない。
お仕事小説の側面はあるけれど、社内の人間関係や性格を幅広く描いて 全体を少しずつ良い方向へ向かわせていく。
数々の和菓子は、どれも美味しそうです。