紙の本
あってもおかしくない
2024/03/20 04:52
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投稿者:ママさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今現実に、となりで起こっていてもおかしくないなぁ、と思いました。違和感を感じません。酷い世の中になってしまったようです。
どの人にも感情移入が出来る、と最終的には思ってしまうのは怖い事だと思いました。
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いい作品でした^_^僕は女性じゃないから子どもを産んだ、産むまでの時間がわかんないけど、お腹にいる時間は母親になるまでの時間なんですねー^_^
悠子さんも偉いなー^_^
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さすがに、すでに定評のある作家の作品は、乾いた文章の連なりにも関わらず、全体としては、湿度と厚みと生々しさを感じとれるような、重みのある読後感を残す。
ストーリーの面では、結末には、やや違和感を感じた。いろいろな終わり方が予想されたが、それを採ったか・・、と。この結末を選ぶということは、主人公にとっては、仕返し・・とはいかないまでも、自らが払った重い犠牲や負担に対して、きっちりと代償を要求する、というのがメインテーマになるのかな。
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北海道の田舎から上京し、病院事務の派遣で働く29歳のリキ。日々の食費を円単位で切り詰める生活に疲れ切った末に、裕福な草桶夫妻の代理母となる契約を結ぶ。
一方の草桶夫妻は、夫の精子とリキの卵子で生まれてくることになる子に対して、夫婦それぞれの感情がすれ違い始める。
医学的に可能になってしまったがゆえに当事者たちの立場が複雑化する、代理母という「プロジェクト」。そこに性差や貧困の問題が絡み合い、いったいどんな結末を迎えるのだろうと一気に読んでしまった。
正解はない、と言ってしまうと逃げになるかもしれないが、当事者たちの出した結論に他人が善悪の判断を下すことはできないのだと、そう思った。
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NHKドラマ化の帯を見て購入。
悠子さん…勝手すぎないかい?
貧困、代理母、契約、題材的には面白く、内容もスラスラ読める1冊。
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代理母になることを選択したリキ
彼女の考えや行動が10代の子なら、まだわからなくもないけれど…
責任感の無さにイライラがとまらない。
もちろん、迷いがあったり孤独を感じたり共感する部分が無いわけじゃないけど、ビジネスとして捉えて命を産み落とす選択をした以上、せめてその期間は…
実際の夫婦で浮気をして、夫の子ではないかもしれない。という話とはまた別だと思うのだけれど。
最初は悠子の気持ちが、とてもよくわかったけど。
彼女も、基も、とても自分本位。子供たちの幸せを願います。
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立場によって感じ方が違うかもしれない。
最後の場面は子供のことを考えると、少し戸惑う。
リキの言動はリアルだと感じた。リキとテルの対比も良い。
考えてみると登場人物全てが勝手気ままな自己都合で動いているのかもしれないが、案外自分もそうだなと思う。
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考えさせられる作品でした。
桐野夏生さんの作品は「OUT」の印象が強く、怖くてなかなか読めていませんでした。
東京に憧れて上京しても、テレビや雑誌で見るようなオシャレなカフェや洋服を楽しむことは誰もができることではない…
貧困でどうしようもなく選ぶことになった選択。私ならどうするのだろうと終始考えながら読みました。
ここに出てくる男性はほとんどが最低でしたが、特に基の考え方が利己的で嫌でした。
最後は、私には意外な終わり方でした。読み応えがあり、おもしろかったです。
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桐野さんはほんとに人間の醜悪を書くのがうまい。一言で下品と片付ける人もいるけど、その下品さが人間を人間らしくしている。あっけらかんとしている登場人物たちも清々しく感じる。桐野さんは海外を絡めて書くことも多い印象だけど、今回は国内完結で、それも分かりやすくてよかった。
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北海道から憧れの東京へ出てきたものの、非正規雇用の生活で困窮し「代理母」をすることになった29才のリキ。
自分の遺伝子を残したいと、不妊症の妻と共に代理出産を求める43才のバレエ教室を経営する基と妻悠子。
人工授精、妊娠、出産と進むうちに乱れる三人三様の思い。
生まれた子供は誰のものなのか?
子供とは誰かの物なのか⁈
私は愛のある出産や子育てを体験できたが、そうではない人たちも実際にいるんだろうなぁ、としみじみと思いました。
そしてそんな出産、子育てで育った子供達はどんな出産をしていくのか?
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NHKでドラマ化と知り、読んでみました。
文庫では結構厚い本ですが、あっという間に読み終わりました。草桶夫婦、とくに悠子の気持ちはわからなくもないけど、あまりにもころころ考えが変わりすぎて、共感できず…一方、りりこがかなり個性の強いキャラなのに、最後の方は一番リキに寄り添ってて、最初と最後の印象が大きく変わった人物でした。
これを映画化じゃなく、地上波でドラマ化ってどうやるんだろうと、興味津々です。
久々の桐野夏生作品を読みましたが、やっぱりすごかった。
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文庫の裏書に「女性の貧困と生殖医療ビジネスの倫理を問う衝撃作」とあったので、興味をひかれて購入。さすがの桐野夏生さんです。
北海道から上京してきて、病院の受付で非正規雇用で働くリキは、とにかくお金がなくて、苦しく希望のもてない毎日を送っている。同じ職場で、同じく派遣のテルは、給料は自分と同じだが、奨学金の返済などで自分よりもっと厳しい状況にある。
最近は貧困、ワーキングプア、非正規雇用が問題になっているが、貧困家庭が奨学金を借りて子どもを進学させることで、子どもは社会に出た瞬間に借金を背負わされてるという現象が起こっている。深刻だ。テルは風俗にも足を突っ込んでしまい、貧困ゆえに見た目も清潔とは言い難いが、桐野夏生さんが描くと置かれた境遇の中で一生懸命に生きている魅力的な脇役だ。
リキはテルに誘われて、お金のために「卵子提供」をしようかと悩む。
一方、交互に描かれるのは卵子を提供してもらう側の夫婦。バレエダンサーの草桶基とその妻。長い不妊治療の末、卵子提供をうけることを決断するわけだが、これは辛い決断だ。当然、妻は悩む。夫が「自分の遺伝子」にこだわるのにもモヤモヤする。そりゃそうよね。私も長く、不妊治療をして、40歳まで妊娠しなかったらあきらめようか、その場合養子縁組はどうか、などと悩んでいた。その時やはり、自信がなかったのが「血のつながった(遺伝的につながりのある)本当の子供じゃなくても愛せるのか」ということだ。
基の妻も、モヤモヤとしながら、夫の勢いに押されてしまう。
リキはエージェント(?)の手配で、卵子提供ではなく代理母出産まで引き受けることになる。
普通に代理母を引き受けるだけでもドキドキハラハラだが、リキは人工授精にチャレンジする前後で、けっこう無謀なことをしてしまう。つまり、他の男とセックスしてしまうのだ。読者は「なんでそんなことするん!?(怒)!!!」って思うよね笑。そこがやっぱり、さすが桐野夏生!と私は思った。お金をもらって代理母を引き受けて、生まれてきた子が依頼主の子じゃないかもしれないというリスク。
しかもリキは、自分がやってしまったことを打ち明けてしまう。さあ大変。
もう赤ちゃんはお腹のなかでどんどん育って(しかも双子)、間もなく生まれてくるのに、「産みの母」も、「遺伝的な父」も、「育てる予定の母」も、大人たちは全然定まらない。どうなるどうなる?というドキドキ感。
↓ここからネタバレですが
しかし、救いがあるのは、赤ちゃんの命というのは、本当に、生まれてくるだけで尊いのだ。生まれるまでにどんな紆余曲折があろうとも、生まれたあとにどんな環境が待ち受けようとも、やはり生まれてくることは尊い。
貧困に絶望していた、妊娠してもお腹の赤ちゃんになんの感情もわかなかったリキでさえも、命が生まれ出たことの尊さにはかなわない。育てる予定を放棄しようとしていた基の妻悠子も、(遺伝的に)自分の子ではないかもしれないと心配していた基も、命が生まれたことに抵抗できない。
貧困にあえぎ、お金と引き換えに「女である自分のカラダ」を差し出したリキは、生まれてきた子ども��女の子の方)にささやく。「クソみたいな世の中だけど、それでも女はいいよ。女の方が絶対にいい」。
私もそう思う。女だから苦労することもたくさんあるけど、やっぱり女の方が絶対にいい。
(そして、男に生まれた人たちも「男の方が絶対にいい」と思える世の中だったらいいな、と思う。)
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北海道の田舎町から上京し、憧れの東京で働くリキ。
思っていた状況とはとはかけ離れ、貧困生活を送りながら暮らしていた。
そんなとき同僚のテルから、お金になるからと、卵子提供の仕事を紹介される。
不安ながらも、貧困から逃れるためにクリニックへと向かうが、そこで代理母出産の話を持ち掛けられる。悩みに悩んで引き受けることになるのだが…。
単純に考えれば、子供を持つことが難しい夫婦にとっては希望の光なのだが、
じっくりと未来を見据えて考えるとやはりいろんな障害が立ちはだかるし、
代理母にもリスクは大きすぎることのほうが多い。
ただ、貧困がそうさせるのであれば、虚しさは大きい。
代理母の依頼者夫婦は、夫はプライドが高く、妻は優柔不断すぎてイライラさせられた。
リキも子供を産むということをビジネスと とらえようとしてるからか、危ない橋を渡ってしまう(ヒヤヒヤ)
しかし、ラストに意外な展開があり 少し清々しい気持ちになった。
500近いページ数なのに一気に読み終えた。
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設定があまりなくて、とても面白そうだったので、本作を手に取りました。手に取った時は、出産後の話がメインに書かれているのかなと思ってましたが、実際は出産前の葛藤が描かれており、そこに人間らしさが見られ、個人的には面白かったかなと思います。
本作のテーマは「代理母出産」。妊娠が出来ない女性の代わりに人工授精等で出産するというもの。本作の主人公は、困窮した生活から逃れるため、バイト感覚で代理母出産を引き受けます。本作では、その代理母出産の決断から受精、妊娠、そして出産の過程が描かれます。
代理母出産というテーマを通して改めて、通常の出産に向き合うことができる作品であるように思いました。特に、妊娠に必要な性行為やパートナーとの関係性、身体的な痛みを伴って産まれた子どもへの愛情など、各フェーズごとに主人公が自分の感情と向き合う姿が印象に残りました。
男性の自分では絶対に出来ない、こうした未知の領域を疑似体験できるのが、読書の良いところだなと改めて思いました。
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GWの最後に一気読み。相変わらず人間の昏いところ、自己本位、いい加減さをジワジワと炙り出して、おそろしい。桐野夏生ワールドに、またしても『してやられた』感あり。もう少し先が知りたいところ。