パイロットフィッシュ みんなのレビュー
- 大崎善生
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紙の本パイロットフィッシュ
2005/08/23 09:26
人生は水槽の中だけで終わるものではないから。
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はなこちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者の大崎善生さんは、かつて将棋専門誌の編集長をされていたかたで、そんな作者自身を投影しているかのような主人公が出てくる作品をたくさん書いている。その多くは、主人公の青春をたくさんの人々との出会いを通じて描いたもので、はかなく美しい世界を作り上げている。
この作品は、そんな作者の代表作であり、第23回吉川英治文学新人賞を受賞した作品である。
パイロットフィッシュとは、飼うのが難しい熱帯魚を飼う水槽を作るときに、その水槽の中の生態系を整えるため、あらかじめ入れられる魚のことだ。その魚は、生態系が完成し目的の熱帯魚が入れられると、そのまま捨てられたり、大きな魚の餌食になったりする。おそらくこの作品で作者は、人生を水槽に、過去に出会って別れた人々をパイロットフィッシュに重ねているのだと思う。人生という大きな水槽を作り上げるために、そこを通り過ぎてゆく魚たち。全ての出会いと別れが、一つの無駄もなく、人生を造り上げていくのだ。
けれども、人生は水槽の中だけでは終わるものではない、というのが、この作品のミソであろう。そこには予想外の作用が働く。人生には、理屈だけでは説明のしようもない、そんな要素が、しばしば加わってくる。そんなメッセージも、この小説には描き出されている気もする。
とりあえず、難しい小理屈はおいておいて、この小説のはかなく美しい世界を、先に堪能してみることをお勧めする。
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