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紙の本受精
2002/02/20 01:43
優秀な遺伝子と言われても、選ばれたくない
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「死んだ恋人の子供を産める」と持ちかけられて、何の疑問も差し挟まずにほいほいブラジルくんだりまで行くとは、危なっかしい主人公である。最初はそんな思いばかりが強く、精神的に参っている人間を騙して洗脳する手口も新興宗教っぽく感じて、たるい展開だと思っていたが、妊婦が殺害されたあたりからテンポが良くなって来る。
遺伝子診断チップを利用してある目的のために資金をかき集める。その謎が明らかになって行く過程はうならされた。舞子が優秀な遺伝子を持っているから“選ばれた”らしいが、その情報はどこから漏れているのかと考えると、日常の中にある怖さも感じたりして。
医学的知識ゼロの私だが、ツムラ医師と友人の弁護士・サカガミの間での遺伝子診断商用化の是非の話には、真面目に考えさせられた。
補足になるが、私が上に書いた“新興宗教っぽい手口”は、素人的には怪し気に感じるものの、文庫本解説によると「精神疾患の治療法、あるいはその意図的な悪用のお手本のような運びである」との元医学部教授のお墨付。
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