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山田風太郎明治小説全集 みんなのレビュー

  • 山田風太郎 (著)
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みんなのレビュー9件

みんなの評価4.3

評価内訳

  • 星 5 (5件)
  • 星 4 (4件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
10 件中 1 件~ 10 件を表示

明治化物草紙

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:muneyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る

明治期の日本にラスプーチンが来る、
その間の「大津事件」、その周辺状況を描く、
という山田流if明治時代小説なのですが。
スーパーロボット大戦、もしくは平野耕太の『ドリフターズ』みたいな状況を思い浮かべてもらうと分かり易い。

登場するのはタイトルにもあるようにまず怪僧・ラスプーチン、
それから大津事件の主要人物達・ニコライ二世、児島惟謙、津田三蔵、
ほんで二葉亭四迷、乃木希典、内村鑑三、アントン・チェーホフ、ニコライ大教主、下田歌子(下田宇多子)、飯野吉三郎(稲城黄天)、川上操六
カメオ出演に川上音二郎、谷崎潤一郎、正岡子規、夏目漱石、森歐外、津田梅子、ベルツ、
ともうやり過ぎ感が漂うほど、明治の化け物どもが一堂に会している小説です。

で、これらをまとめて主人公となるのは明石元次郎。
ロシア革命を先導したとか何とか言われる、
実在した日本のスパイの大家である軍人。
まぁ広く知られるスパイが果たして名スパイなのかどうかはよく分かりませんが…。
天衣無縫・怪男児・快男児の彼の、明朗なヒーローっぷりは痛快。
とても合理的かつ理性的、でも既存のルールに縛られない、色々と無精で汚ない。
南方熊楠のイメージとダブらせながら読んでいました。

勿論、チェーホフとラスプーチンが出会ったという史実はありませんし、
ラスプーチンが日本に来た記録もありません。
しかし、山田風太郎の手にかかればもう、
同時代人ってだけで「関係性があるもの」として、
上記の人物達が全て一つの物語の登場人物としてまとめ上げられるのだから凄い。

ただ本当にカメオ出演の人達はちょびっとしか登場シーンが無い為、「あっ!この人知ってる!」という喜びを盛り上がらせる素材くらいに考えておいて下さい。
僕は夏目漱石と正岡子規の登場シーンで、
ほんの4、5行の描写ながらしっかりキャラクターを感じられてニヤっとしました。
どのキャラクターも非常に生き生きと描かれ、司馬遼太郎が日本人の竜馬観を決定してしまったように、色んな歴史上の人物達がこの小説によって読者に固定イメージを与えるかも。

大筋のストーリーとしては
軍人・明石と稲城黄天との、そして物語後半ではラスプーチンとの戦いとヒロイン・竜岡雪香とのロマンスが描かれます。
それだけであれば、如何にもな「伝奇小説」「時代小説」でしかないのですが、きちんと思想性が滲み出ている所が、ちゃんと「文学」しています。

例えばラストの描き方。
単なる伝奇小説であれば、明石がラスプーチンを倒して、雪香と明石が結ばれて良かったね!というハッピーエンドでも良さそうなモノを、この終わり方はまるでその後に続いて行く国勢、世界情勢を反映したかのよう。
化物共が横行し、くるくると日本や其れを取り巻く世界が急速に変化し、とてつもなく「面白い時代」であった筈の明治が、
何故その後の「暗い日本」へ続いて行くのか?
歴史観を踏まえると、ラストの描写も少し見方が違って見えるのではないでしょうか。

また、ヒロインの「聖女」としての描き方。
それは作者なりの女性への神秘性・強さに対する信仰の形であったり。「穢れ無き乙女」だからこそ、竜岡雪香はこうならなければならなかった、という結末にも思えます。

山田風太郎は忍法帖シリーズしか知らなくて、
エンターテイメント性の強い作家という印象が強かった。
勿論、この小説も有り得ぬ人物同士の邂逅、スーパーロボット大戦のようなそれぞれの人物に対するファンへのサービス的出演、
エンターテイメントバリバリです。
しかし、山田風太郎≒エログロという僕の勝手な山田観に、
この小説はセンチメンタルという属性を付加させてくれました。

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ホームズ・パロディ『黄色い下宿人』も収録

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:木野下 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 2001年7月に亡くなった、正真正銘の天才作家、山田風太郎が、シャーロック・ホームズのパロディが著していたことをご存知でしょうか。
 
 僕は、歴史小説が好き、伝奇的なものが好き、ミステリが好きでした。ですから、歴史的な事実と創作されたミステリを混淆して、登場人物たちが生き生きと活躍する山田風太郎の物語を読んだときには、これだと狂喜したものです。ずっと読みたいと思っていたのは、山田風太郎の作品なんだ、と。
 
 そして、いつの間にかシャーロキアンにもなっていた僕は、さらに『黄色い下宿人』という作品の存在を知って、小躍りさせてもらいました。この作品は、山田風太郎によるホームズ物語のパロディだからです。
  
 山田風太郎は、戦中を医学生として過していたそうです。なんとなく、医師であるドイルと重なってしまいます。医学を勉強していた作家たちというのは、どうしてこうも面白い作品を書く天才ばかりなんでしょうか。森鴎外は軍医でしたし、分野は異なりますが手塚治虫も医学生でした。興味深い符合です。
 
 エンターテイメント小説の大家、山田風太郎の作品は、いずれも傑作ばかりで駄作は何一つないと言われることがあります。そして、日本の本格ミステリ界に確固たる地位を築いた、偉大なミステリ作家でもあるということも重要です。本物の天才だったのです。
 
 これからも、ずっと読み継がれていかなくてはならない作家であると思います。
 

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明治時代に迷い込んだような気分を味わう

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さらさばく - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本で初めてのキリスト教教誨師となった原胤明の生涯を、本人の談話風に小説化したもの。

出獄人の保護をしながら絵草紙屋を始めた原は、次々と事件に巻き込まれますが、機知と勇気と十手の技で乗り切ります。
彼の侠気にふれた人びとの、有形無形の支えも大きい。

この絵草紙屋には、英和辞典の編纂をしたヘボン博士や、ジャーナリストの岸田吟香、日本画家の小林清親なども登場します。
いったいどこまでが史実でどこからが虚構なのか。
明治の世相を生きているような錯覚に陥りながら、読み終わりました。

下巻所収の「黄色い下宿人」では、ロンドン留学中の夏目漱石が、殺人事件の捜査でシャーロック・ホームズを驚かせる探偵ぶりを見せます。

大津事件に関連した「明治かげろう俥」も、読み応えあり。

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虚実が錯綜する「風太郎ワールド」に酔う

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さらさばく - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本初のキリスト教教誨師となった原胤明の生涯を、本人の談話風に小説化したもの。

風変わりなタイトルは、主人公の原胤明が江戸町奉行の八丁堀同心で、十手もちであったことによります。
その十手が、形を変えて十字架のようになる経緯に、当初はキリスト教に反発を覚えていた原が、洗礼を受けてクリスチャンになるまでの道のりが重なります。

明治維新後も人足寄せ場の見回り役をしていた原は、ある事件のために幼馴染の姉妹と出獄人保護に取り組むことになります。
江戸の町を知り尽くした元同心の存在が面白くない、明治新政府の役人との軋轢をものともせず、快男児・原の活躍が小気味よく描かれています。

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娯楽と教養そしてエロ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:広海 - この投稿者のレビュー一覧を見る

おもしろい! この馬鹿馬鹿しさがたまらなくよい。
先が読めるし、話運びに無理があるような気もしないでも
ないけれど、そんなことを言い出す気にもなれないほど
おもしろい。それに登場人物がまっすぐで気持ちがいい。
そして、この物語はその主人公が成長してゆく話
かつ人を信じるということについての話でもある。
また明治の歴史的人物や事件も、嘘と本当がないまぜになって、
いかがわしくこの物語を彩っている。
娯楽と教養そして少しのエロがセットになったお得な一冊だ。

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虚実混合のエンターテイメント

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ささ坊 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「五寸釘の仁義」の章に出てくる寅吉という人物が実在していたことを最近知った(北海道新聞社刊「樺戸監獄」による)。
 忍法帳シリーズはさておき、山田風太郎の明治物の読んだあとは、思わず登場人物や事件を調べてみたくなるほど、その作品には虚実がうまくミックスされている。
 まさかね、と思っていたことが案外真実に近かったり、なるほど、と関心したことが実は嘘だったり、読んでいくうちに知らず知らずのうちに山田ワールドにはまりこんでしまうのだ。
 
 

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快男児明石元二郎ここにあり

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者の明治ものの一作で、主人公は軍人の明石元二郎。この人は実在の人物で、日露戦争時にはヨーロッパで諜報活動に従事し、後に大将になり台湾総督を務めたほどの男。この明石元二郎の若き日の姿、ロシアの怪僧ラスプーチンや胡散臭い占い師との争いを、二葉亭四迷や内村鑑三、乃木希典将軍、チェーホフなどなど実在の人物とロシア皇太子襲撃事件や森有礼暗殺事件等実際にあった事件を上手に使い、得意の伝奇風の色彩を加えて描いています。
メインは書名にあるようにラスプーチンとの争いなのですが、登場は物語も半ばを過ぎたころ、それまでは政界にも顔のきくインチキ占い師と一人の女性を巡って争います。この稲城という占い師、仇役だけあって良く書けていて、傲岸不遜でいかにも憎らしく、それでいてどこか面白みのある男。明石と稲城の丁々発止のやりとりは読み応えがあり、どっちが勝つかは言わずもがな、スキッと胸のすく思いが楽しめます。その分割りを食って、肝心のラスプーチンとの争いはいまひとつ盛り上がりに欠ける感じ。終わり方も、明石の将来を暗示するような終わり方ではあるのですが、なんともあっけなかったのが残念ですね。

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うーーーん、面白い!!

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投稿者:柿右衛門 - この投稿者のレビュー一覧を見る

おもしろい!!
この一言に尽きてしまうかもしれない。

日露戦争時、欧州、ロシアで間諜として大活躍した明石元二郎の青年時代の話である。
乃木希典の家族の問題を解決してみせたり、ニコライ大聖堂のうえに上ってみたり、明石元二郎は実に大物で、その大胆さぶりはとても気持ちがいい。
かれが諜報で大活躍したのもうなずける話である。
そんな明石の活躍と主に、ロシア皇太子殺傷の大津事件を奇想天外な推理を描ききった。

またこの物語には、二葉亭四迷はじめ明治時代の大物たちがちょこちょこ顔を出す。
本来なら主役級とも言える彼らのちょい役っぷりがまた面白いのだった。

明石元二郎のその後も知りたいところである。
果たして怪僧ラスプーチンには勝てたのだろうか?

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山風ミステリの最高峰

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:真  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 山田風太郎の本格推理小説。機械トリックだけでも見事だが、さらに最後のドンデン返しが強烈。推理小説好きなら必読の一冊でしょう。

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明治の混乱すらも、ミスリードに姿を変える

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投稿者:竹井庭水 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 忍法帳でおなじみ山田風太郎の明治もの。太政官弾正台(役人の汚職を取り締まる役所)に勤める大巡察、香川経四郎と川路利良がフランス人美女エスメラルダの力を借りて、不可能犯罪を解決する連作短編。

 中央ホールに螺旋階段のあるホテルで胴体を真っ二つに斬られた死体が見つかった。容疑者の一人は30メートル上の展望塔におり、もう一人の容疑者の刀は以前からポッキリ折れて使い物にならなかった。容疑者がホテルに現れた理由もわからない。犯行はどうのようにしてなしえたのか?(「怪談築地ホテル館」より。)

 洋館のホテルと日本刀、人力車と生霊、望遠鏡と女形など、この本で起こる事件は全て明治時代でなければ起こらないものばかり。発端はなかなか興味を引かれるものの、解決編がすぐやってきてちょっと物足りない。「頭の体操」のようにページめくるとすぐ答えってな感じ。バリバリの機械トリックはオモロイけど、なんか違和感あるなーなんて思いながら最終章。な、なんとこれらの不満、全部計算づくじゃないですか!

 最終章のサプライズもさることながら、明治開期と維新政府も丹念に書かれてその癖飽きない。混乱する世間と政治は、現代の姿すら透けて見えそう。歴史小説と探偵小説が融合した極上のエンターテイメントに仕上がっております。まさに20世紀に読んでおくべきだった本。忘れてはならぬ人々が、そこにいる。

(初出:いのミス)

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