我が詩的自伝 素手で焔をつかみとれ! みんなのレビュー
- 吉増剛造
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2016/04/21 02:28
このクニでの、世界での「詩人」とは
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:倉田 昌紀 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著作のファンの一人の読者として、著者の原質、深層の一部を例えば幼児体験の記憶などを話し言葉で語って頂き、書き言葉・写真・映像など様々な表現の仕方への道筋やその背景にあるものを知るにはとてもいい一冊だと思う。
著者が時代の不可避の限界の中で、生活様式を選ぶ、このクニや外での姿勢、社会や政治、国家やミクロの権力、天皇制や民俗学などの文化との関わり方や愛読書など、生きるために金銭をえる方法の選択と共に、人間関係の取りかたの歴史が人柄と共にその好みが見えてくるようで、このようにして人の一生は生きて行かれるのだなあと楽しくも感慨深い本である。
著者が77歳まで生きて来られ、詩人としての天賦のその身体が持つ天才ぶりがさらに全的に発揮されて、著者がさらに深く著者に出会われんことを願わずにはいられない。その隠されている才能の発揮のためにも、どのような手段を使ってでも生活の糧が得られますように・・・。
蛇足ながら、できれば著者の好きなニーチェの、『道徳の系譜学』にある、「正直なほんと」、「正直な嘘」、「不正直なほんと」、「不正直な嘘」についてのお話も聞きたかった。著者の「いい気な嘘人間ぶり」、「虚偽意識」、「自己欺瞞ぶり」(笑)への自己意識を、五感から率直に正直に語ってもらいたかった。しかしこれは失礼ないい気な読者のお願いで、この一冊の本が暗にそのことを、読む者一人ひとりの視力に対して、相応しい読み方ができるように証明してくれているのかもしれない、と思わせてくれている一冊であると考えさせてもくれる。感謝したい有り難い本でした。
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