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玩具館綺譚 みんなのレビュー

  • 石神茉莉 (著)
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みんなのレビュー3件

みんなの評価4.0

評価内訳

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紙の本人魚と提琴

2008/02/10 23:30

「人魚と提琴 玩具館綺譚」によせて

8人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:すぎやまあつし - この投稿者のレビュー一覧を見る



超越性への憧憬と反発とが私の評論の核といってよいだろう。
そういう意味では私の意識は、フランス小ロマン派の根底論理となんら変わることはない。私がキリスト教的意匠の絶対性に惹かれつつも、結局のところ反発に回帰するのは、つまるところ、二元論的発想への嫌悪に由来する。善悪の区切りが明示されて解決されるようなおめでたい発想に本質的な救済はおよばないと信じている。自意識すら懐疑の対象でしかない。今、これを書いている私自身が一番いかがわしいのだ。文学の本質は反社会性だろう。所詮はひかれ者の小唄でしかない。夜の論理でしか動き得ないものだ。いわゆる小市民的な価値観にとどまる人種には理解しえないものでしかない。私自身の本質は、ジャンル論にはまったく興味がないが、敢えていうなら幻想文学であろうか。明示化および分析を拒む不可知なものを直視する感覚。幻想文学の根底となる論理ではないだろうか。「人魚と提琴 玩具館綺譚」は、その本質において、まごうことない幻想文学であり、かつまた、作者の蓄積されたエッセンスを一挙に味わうことのできる秀作である。
「黒死館殺人事件」が作者小栗虫太郎の美意識そのものが投影されているのと同じように「人魚と提琴 玩具館綺譚」においてもそれは踏襲されている。作者石神茉莉氏の感受性そのものが形象化されている。いわゆるゴス的な怪奇的な要素と宝石などに仮託される無垢なる要素。そして、物語の根幹となるキャロル「鏡の国のアリス」との交錯や妖怪としての人魚伝説の組み込みなど、作者の内世界そのものがきわめて、美的に定位されているのだ。古典的ともいえる物語の筋立てではあるが、ぐいぐい読み手をひきこんでいくのは、まちがいなく、作品の力によるものだ。この作品の魅力は、私は〈混沌〉への直視があるように思う、二元論を超えんとするもの。その論理の追求の部分に、私はまず惹かれるのだ。光にも闇にも属し得ない中間性に支えられることでこの物語は成立している。
黄昏の物語といってもよいのかもしれない。そうした裂け目のようなものに惹かれる者たちに用意された小説のようにも思う。いずれにせよ、今後の著者の歩みに期待する。


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