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評価内訳
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紙の本白皙
2005/01/11 21:52
神が、ひとりの男になる。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由似 - この投稿者のレビュー一覧を見る
若手プロ棋士同士の恋愛を描いたボーイズ・ラブ小説。
ストーリーの軸となるカップルの職業が棋士ということで、当初、堅くてとっつきにくい内容ではないかと思っていたのだが、異色の舞台が背景となっていることも手伝ってか、ストーリー展開がワンパターンにならず新鮮な作品だと感じた。
将棋界の頂点に立つ若き天才棋士・藤沢。そんな彼に憧れてプロ棋士の世界に飛び込んだ新人棋士の嘉村。嘉村にとって藤沢は神にも等しい存在だった。二人の立っている場所は天と地ほどの隔たりがあったが、藤沢は嘉村の中に自分に共通する何かを見出し、今は遠く離れていてもライバルと認めていた。
しかし、藤沢よりも早く嘉村の才能に気づき、近づきつつある藤沢と嘉村の間に割って入ったのが、嘉村の師であり、棋界の重鎮である蜘蛛橋永世名人だった。藤沢が名人である自分をさしおいてライバルと認めた男、嘉村。蜘蛛橋は嘉村の才能に嫉妬する本心を隠したまま、世間では自らの愛弟子と呼ばれる嘉村にこう言う。「藤沢に引きずられて道を踏み外すのはよせ」
そして、蜘蛛橋の死によって、藤沢と嘉村を隔てていた壁が崩れる。蜘蛛橋の通夜に現れ、嘉村を捕らえる藤沢。
「死んだ蜘蛛橋先生には申し訳ないが、こんな席でもなければ、私には君を捕まえる機会はなかっただろう」
白皙の美貌の下に感情はなく、機械のように駒を握る藤沢の才能に嫉妬しつつ強く惹かれる嘉村。嘉村の藤沢へのそれは、愛ではなく憧憬だった。しかし藤沢が嘉村に望んだのは、棋士ではなくひとりの男に対する愛だった。男同士の恋愛、妻を持つ藤沢と嘉村の関係はただの不倫でしかない。棋士としての自分を見て欲しいと苦しむ嘉村。そして、嘉村の前ではただの恋する男になる藤沢を見るにつけ、理想と現実のギャップに苦しむのである。
嘉村のモヤモヤとした思い、ストレートな藤沢の感情表現。どうなるのだろうと中盤ヒヤヒヤしたが、ラストは二人の間に答えが出たことによって清々しく読み終えた。
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