天国に涙はいらない みんなのレビュー
- 著者:佐藤 ケイ, イラスト:さがの あおい
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紙の本天国に涙はいらない
2001/11/26 16:18
好き嫌いが分かれそう
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
電撃文庫のギャグ小説シリーズといえば、田中哲弥「大久保町シリーズ」と阿智太郎「僕の血を吸わないでシリーズ」があるが、2001年ここに参入してきたのが、この「天国に涙はいらない」シリーズ。異例の速度でじゃんじゃんばりばりと新作が出続けている。
内容的には、それほど目新しいものではなく、「なんだかこんな感じの話を、前にどこかでみたな」的一作。小説というものは程度の差こそあれ、どれもこれも既存の作品をつけたりはずしたりしてできあがっているものだが、これはそのつけたりはずしたりしている既存作品のパーツが大きいように思う。
笑いの質としては「大久保町シリーズ」「僕血シリーズ」とは一線を画している。どのように違うかといえば、「大久保」「僕血」が比較的普遍的な、まっとうなギャグで走っていたのに比べ、本シリーズはマニアックな、同じ価値観・常識・知識を有するもの同士でのみ真価を発揮するような、オタク的笑いが多く盛り込まれている。漫才で言えば、正統派しゃべくり漫才に対応する、ギャグ漫才・身内漫才と言えよう。
この手の笑いは、「わかる人にはわかるけど、わからない人にはわからない」のが常である。同じように本作は、「わかる」人にとってはかなり笑える小説だが、「わからない」人にとっては何がおもしろいんだかさっぱりわからない小説である。
私は笑えたし、結構おもしろいと思ったけれども、あえて否定的な立場をとらせていただきました。電撃文庫のギャグ最高峰は、今でも「大久保町シリーズ」だと思います。
2002/07/07 01:49
どうにも好きになれないなぁ。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
外角高めのストライク(新ストライクゾーン)を強引に引っ張る「天国に涙はいらない」シリーズの第三弾。今回もやっぱり帯には「笑いと涙のシニカルコメディ」と書いてあって、ほんとに一体どのあたりが冷笑的なのか教えて欲しい。
今回のキーパーソンは、巫女少女の勘解由小路みき。
兄殺しの仇を討つためやってきたみきは、諸々あって賀茂の家に居候することになった。
同じく賀茂の家に居候することになったたまとも仲良くなり、まるで姉の様な存在になっていくみき。
だが兄の仇が判明した瞬間、みきと賀茂達の絆は崩れてしまうのだった。
鬼となり、復讐を果たそうとするみき。賀茂は、アブデルは、彼女を止められるのだろうか。
天国に涙はいらないシリーズは、コミカルとシリアスの間をいったり来たりする。
これまでの作品を振り返ってみると「冒頭はコミカルに始まり、中盤はキャラクターの個性や魅力で押し、終盤一気にシリアスになっていく」というパターンが確立しているようだ。
ある意味ではヤングアダルト系小説の構成術として正解ではあろうが、本作の場合はどうもバランスが悪くて好きになれない。もちろん各人で感じ方は違うのだろうけれど、私は好きじゃない。
序盤から中盤までのコミカルさは度を超しているように思うし、シリアスな空気の中でも笑いどころを入れてくるのはマイナスではないか。
「たま」の持っている葛藤は、小説にとってとても便利で強力な武器だと思うのに、ギャグ過ぎてなおかつシリアス過ぎる現在の状況では生かし切れていない。そんな様な気がしてならない。
笑いにもっていくには重すぎるし、シリアスにまとめてみるとそれまでのギャグが嘘くさくなってしまう。
うーむ……このシリーズは、私には向いていないのかもしれない。楽しめないなぁ。上手に気持ちを切り替えながら小説を読める人にとっては、本当に涙あり笑いありのコメディとして読めるだろうと思う。そういう人に対してはおすすめである。
2002/07/06 20:44
どのへんがシニカル?
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投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前回、主人公である「賀茂是雄」は悪魔っこ「たま」の妖気によって命を落としてしまった。結構物議を醸したエンディングからの続きである。
死んでしまった賀茂は畜生道に落とされ、間なしに転生という形で再びこの世に生まれることが出来た。
ただし、狐として。
しかも、人間の記憶をとどめたまま。
人と狐の間には、容易には超えがたい諸々の問題があり、賀茂は再び人間の体を取り戻すことを決意する。東京の霊狐を頼りにしたのだが、賀茂が再び人となるには決して低くないハードルを越えなくてはならないことが発覚する。
絶望の淵で行き倒れる賀茂。だが、彼に救いの手がさしのべられる。
さしのべた少女の頭には、猫耳が……今回は日本男児の夢、ネコミミ娘である!
外角高めのストライクを思い切り引っ張る「天国に涙はいらないシリーズ」の第二弾。ものすごいスピードで出た。
狐、猫耳、悪魔っこ、大天使——と、登場人物のメンツを見ればすさまじいものがある。
お話も、笑えるところもあれば泣けるところもありで、結構ちゃんとしたエンターテインメントに収まっている。後半に登場する敵役「根呂とパトラッシュ」は、キャラクターとしてなかなかいい。
262ページでありながら、11章編成をとっている。章の一つ一つが短くて、その分テンポがいいと言えばいい。ちょっと中途半端かなぁ、と思えなくもないが。
ところで、今回も引っかかったのは、帯のキャッチコピー「笑いと涙のシニカルコメディ」。
これのどのあたりがシニカル(冷笑的)なのだろうか。そんな感じはどこにもないと思うのだけれど。
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