なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか みんなのレビュー
- 藤巻健史 (著)
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2012/02/08 15:28
「まだはもうなり」か?
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
藤巻氏の最新の著作である。 評者は、同氏の『1ドル200円で日本経済の夜はあける』以来、同氏の著作の相当数を読んでいる。同書を見ると、2002年1月発行となっているから、もう10年になる。そして、この10年、藤巻氏に限らず、日本国債価格低落(金利上昇)、円安を説く新聞雑誌記事、著作は相当数出てきたが、この10年間、それらの予言はいっこうに当たらず、多少は円安となった時期もあったが、日本国債は一貫して高値(低金利)を維持し、現在は超円高状態にある。 著者も言うように、「今の円高の状態は、レベル修正前の一時的な現象」だとしても、「一時的な」というには、「あまりにも長く円高が続きすぎている」(本書19頁)。
藤巻氏が常に説かれるように、全ては自己責任であることは当然であるが、評者も基本的に藤巻氏の考えに同調した資産運用をして、3年前のリーマン・ショック時には、老後生活予定に大きな打撃を受けるほどの損失を出した。昨年夏には、某所で、震災後初めて藤巻氏の講演を聞いたが、内容が以前のものとまったく変わらず、冗談まで同一であることにかなり失望した。ここしばらく、もう藤巻氏の著作など見たくもないという気持になっていた。
それにもかかわらず、本書を手に取ったのは、まさに「なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか」と思うことと、「いよいよ」、日本国債価格低落、円安は近いのではないかと思うからである。
2月2日の朝日新聞朝刊1面トップ記事は「日本国債の急落を想定」という黒抜き見出しとともに、「2016年にかけ潮目」として、三菱UFJ銀による「危機対策」を報じている。同記事は「国債の有力な買い手がいよいよ『急落シナリオ』を想定し始めた」としているが、各メガバンクでは相当以前から専任役員を置いて、いつでも日本国債を投げられる体制を組んでいると言われており、内容そのものについては、目新しいものでもないが、一般全国紙が1面トップで報じたということには、やはりインパクトを感じざるを得ない。
これを受けて、『週刊新潮』2月16日号は、「三菱東京UFJ銀行の国債暴落シミュレーション」という記事を載せている。また、藤原正彦氏は「管見妄語」で「デフレ不況と日銀」と題して、円高、デフレに対する日銀の無策を論じている。 また、本日(2月8日)の日経新聞は「国債、日銀保有1割突破」を報じている。さらに、本日配信のロイターは「11年経常黒字は過去最大の減少、1月上中旬の貿易赤字も過去最悪」と報じている。
前掲朝日新聞記事も「三菱東京UFJも当面は国債下落はないとみている」とするが、「まだはもうなり、もうはまだなり」と言う。「もうそろそろ」と考えるべきであろうか。
本書については、内容に新鮮味があるわけではないが、価格は千円、一読の価値はあるだろう。
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